石破総理の10万円商品券問題を題材にして「お気持ち優先」の文章とその解題をした。
そんな心情論はどうでもいいよという人もいるだろう。「今起きている問題をコスパ・タイパよく知りたい」という人もいるに違いない。ここでは現実的な問題を取り上げる。
年度内の予算成立が流動化している。最悪の結末は不信任案と選挙となる。予算案がすべてリセットされたうえで予算空白の中で選挙が行われることになりそうだ。ドリフで言うところの「盆回し」である。
ただこの場合は早めに決断をしてもらったほうが傷が浅くなる。石破内閣が予算が成立させられないままダラダラと夏を迎える可能性もあるのだ。
石破総理の10万円商品券問題は国民が薄っすらと持っている「この政権は自分たちの方を向いていないのではないか」という疑念に火をつけた。
とはいえ日本人は「俺だって10万円がほしいよ」とは言わない。権利を主張した出る杭は打たれるという文化だ。代わりに倫理違反について厳しい目が向けられる。しかし、日本の倫理コードは明文化されていないため落とし所がない。ここまでは解題パートで説明した。
ここでもっとも難しい立場に立たされた政党がある。それが日本維新の会だ。万博という利権がネックになっている。万博成功のためには政府との協力が欠かせない上に失敗した場合の尻拭いもお願いしなければならない。これがよくわかっている自民党は高校無償化について大幅な譲歩をした。つまり衆議院での日本維新の会は「準与党」になった。
ところが石破政権は弱いものいじめをしているという印象がつきつつある。距離の調整を図った日本維新の会は参議院では野党として振る舞っていた。これではまるでジキル博士とハイド氏だ。
石破総理が高額療養費問題で折れてしまい二転三転した後に現在は「衆議院に差し戻す」ということになっている。日本維新の会はジキル博士に戻るのかあるいはハイド氏として暴れまわるのかの二者択一を迫られていた。
結果的に政治とカネの問題では立憲民主・共産・れいわという「左派政党」と行動をともにすることになりそうだ。現在各党が持ち帰って「どう行動するのが最もトクなのか」を協議するという段階。
維新は極めて難しい問題に直面しているのだがその場その場で「損得」を決めている状態で定見が持てない。
結果こうなった。
仮に「政権から距離を置く」ということになると衆議院では予算が成立しなくなる。自民党・公明党では過半数を持っていない。
その後のことはもう誰にもわからない。野党連合が新しく予算案を組み直すということも考えられるだろうがおそらく意見の隔たりが大きすぎてまとまらないだろう。
独自案も出せないとなると「予算がまとまらなかったのは石破総理のせいである」として不信任案が出てくる可能性がある。予算に反対した政党は行きがかり上はこの不信任案に賛成せざるを得ないすると石破総理の過去の約束が生きてくる。
石破総理の「自称」ポケットマネー150万円は庶民感覚から見ればかなり大きなお金ではある。しかし、この150万円で国家予算が吹っ飛び、そのまま衆参同日選挙あるいは衆議院単独選挙という可能性も出てきてしまうのである。
問題は「いつ予算ができないだろうなあ」とみんなが悟るかである。
衆参同日選挙は「会期末に合わせて不信任案が提出される」という前提に基づいたものなのだが、4月1日から6月22日まで予算が決まらないという自体が許容されるのかも含めてシナリオがない。
通常国会は来年1月24日に召集される方向。参院選は会期延長がなければ、公職選挙法の規定で7月20日投開票の見通しだ。立憲民主党など野党が6月22日の会期末に合わせて不信任案を提出し、可決されれば、参院選とのダブル選挙となる公算が大きい。
首相、衆参同日選「ある」 不信任可決、予算否決で(時事通信)
そんな極端なことなど起こるはずはないと思いたいところだが、過去にバカヤロー解散(3月14日解散で選挙に突入)と細川内閣の暫定予算(本予算成立はその後の羽田内閣)など事例はあるそうだ。
コメントを残す