民進党の福山議員が委員会審議の中断を申し出る異例の事態となった。Twitter(最近反安倍の人がタイムラインに増えている)はことの順番がわかっていないとご立腹だ。
委員会の中断を申し入れたのは良い判断だった。野党は自民党と安倍政権を追い詰めたい(他に話題もない)のだが、さすがにミサイルが飛んできているのにそれを差し置いて攻め続けるわけにもいかなかったのだろう。もしそれをやっていれば「節操がない」と言われていたはずである。
しかし、それ以上に心配なのが安倍首相のマインドだ。首相側から「北からミサイルが飛んできたから国会を休ませて欲しい」などと言えば「隠蔽だ」と言われかねない。法律は無理やりに通してしまえばいいのだが、さすがに民意が相手ではコントロールが難しい。そこで、委員会を休ませて欲しいと言い出せなかった可能性がある。
これは裏を返せば、北朝鮮よりも森友問題の方を深刻に受け止めているということだ。北朝鮮からのミサイルは秋田県沖350km圏内に飛んできているので状況はある程度は緊迫しているように思える。だから、考えられる可能性は2つある。
一つは「北からのミサイルを脅威」と言っているが、本音では「アメリカが対処してくれるので大丈夫だ」とタカをくくっている可能性だ。つまり普段の言動は「フェイク」ということになる。次の可能性はミサイルの緊迫性はわかっているのだが、それよりも森友問題の方に(政権にとっての)危険性が高いというものである。
安倍さんは国民のことを第一に政治をしてくれていると思いたいが、政権の維持が自己目的化しているように思える。
そうすると民進党から国会審議の中断を言い出したことの空恐ろしさがちょっと垣間見える。つまり、総裁選挙を控えた安倍さんの頭の中は森友問題一色になっており、国防上の問題を正しく判断できなくなっているのではないかと思うのだ。
NSCは20分ほどで終わったようで、委員会開催を全く中断しなければ開けなくなるようなものではなかったようだ。アメリカが状況を把握する(そして日本にどこまで状況を教えるかを決めるまで)は何もできないはずで、トランプ政権がどのような挙動を取っているのかも含めていろいろと不安が募る。
どうしてもTwitterのタイムラインのようにワイワイと騒ぐ気にはなれない。意外と深刻なことになっているのではないか。