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アメリカ合衆国の株価下落は最悪期を脱したか?

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アメリカ合衆国でトランプ大統領をきっかけとした株価下落が止まらない。マスコミは連日「トランプ大統領の関税政策が庶民の財布を直撃するであろう」という不吉な予言を流しており、世論調査でも経済政策を支持しないという人が増えているようだ。こうなるとトランプセッション(トランプ大統領がきっかけの景気後退=リセッション)という話を信じたくなるが「株価は最悪期を脱したのではないか」とする観測がある。ただしこれが回復するかどうかは未知数だ。

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トランプ大統領は就任以来アクセル全開だった。このため「100日間はハネムーン期間」というマスコミとの暗黙の協定は破棄された。

マスコミは連日トランプ政権の関税がアメリカ人の暮らしを直撃するという不吉な予言を流し続けている。結果的にトランプ政権の経済運営にネガティブな評価を下す人たちが増えている。

こうなるとトランプセッションを強調したくなるが、Bloombergは「米国株の調整は最悪期脱した公算大、信用市場が示唆-JPモルガン」という記事を出している。先行指標である信用市場が回復し始めているという。

下落率はおよそ10%程度でありトランプ大統領に対する過度な期待が剥落しただけに終わったという評価だ。もちろん最終的には自己判断だが株式投資家は大惨事を予測すべきではない=慌てて株を売らなくても良いということなのかもしれない。

ただしこれは新たな問題を生み出す。

これまでアメリカの株価には過度な楽観論があった。アメリカには富裕層だけでなく「資産に余裕のある層」がいて家計資産を増やしてきた。

インフレが加速し転職するたびに賃金が増えるのだから積極的に仕事を変えて賃金を増やしたい人も多い。内部昇進よりも転職のほうが手っ取り早く収入を増やすことができる。ここで音楽が止まっても急に踊りをやめることはできないということになる。

今回の株価縮小では5兆ドルが失われたそうだ。余裕のある層や退職したばかりの人たちの家計を直撃する結果となった。株式投資が手軽にできるようになっているだけでなく収支が把握しやすくなっており株価の上下動と消費が連動しやすくなっているという。

今回株価が下げ止まったとしてもこれまでのような「値上がり」は期待できそうにないため、これまでの過度な期待が一気に失望に変わってしまう可能性がある。

極端から極端への揺り戻しだ。

アメリカの国民はトランプ政権の経済運営に疑問を感じ始めている。CNNやABCなどは「岩盤支持層だけは支持をやめていない」とMAGAの孤立化を図っている。

トランプ大統領自身の心はおそらく大いに揺れているのではないかと思う。

国際社会からの批判をかなり気にしているようだ。一転してウクライナの支援を継続する姿勢を示し、ガザからパレスチナ人を立ち退かせることはないとも表明した。

一方で「内なる敵」を強調することで支持者たちを満足させようとしており教育省の解体に向けて約半数に当たる1300人の職員を解雇し外国人留学生への支援の打ち切りを表明している。

さらに間違いを認めることができない性格も大きく災いしている。ウクライナのゼレンスキー大統領との面談も大惨事に終わったが、今度はアイルランドの首相を首脳会談の現場で批判したそうだ。経済政策について話し合う現場でも戦争について話し合う現場でもなかった。単にアイルランド二春の到来を告げるセントパトリックスデーのお祝い対談だったそうだ。カナダとは実質的に経済戦争状態に突入しており解決の糸口は見えない。

マスコミはマイルドなトランプ支持者たちが経済を優先していることを知っているため経済が混乱すればするほどそれを強調する。すると岩盤支持層たちが孤立する。トランプ政権はマイルドな支持者が離れれば離れるほど岩盤支持層を満足させる極端な政策が選択される。するとまたそれがマスコミを刺激し……

という悪循環が生まれつつある。

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