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「経済ファースト」の首相が誕生 カナダ自由党に新党首

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カナダの二大政党は保守党と自由党。そのうち自由党(リベラル)で新しい党首が決まった。カナダ銀行とイングランド銀行で総裁を務めたマーク・カーニーさんだ。カナダは議員内閣制だがカーニーさんは議員ではない。にも関わらず投手に選ばれたということになりカナダ自由党が置かれているギリギリの状況がよく分かる。

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カナダは保守・革新の二大政党制。保守党の党首はポピュリスト色が強いポワリエーブル氏。カーニー氏の対抗馬は財務大臣のフリーランドさん。女性初の財務大臣だった。

フリーランド氏も「トランプ大統領に対する強い打ち出し」を強調していた。しかしトランプ大統領が対カナダ関税を強行する中「より強いリーダー」が求められていたのだろう。カーニー氏は「アメリカが態度を改めるまで対抗策を続ける」と徹底抗戦を宣言している。

カーニー氏は投票結果を受けた最初の発言で、米国との緊張関係の高まりに言及し、カナダ政府は信頼できる貿易相手国と新たな貿易関係を築くと述べた。カーニー氏はまた、「米国が我々に対して敬意を示すまで」米国に対する報復関税を維持すると言明した。

カナダ与党党首選、カーニー氏が勝利 米政権との対決姿勢を維持(CNN)

フリーランド氏は財務大臣経験者でカーニー氏は中央銀行総裁だった。「リベラル」にも関わらず経済系のリーダーが党首選を争うという展開でありカナダ国民が経済に強い不安を持っているのであろうとうかがえる。

個人的にはカナダとトランプ大統領の関係ばかりが気になっていたのだがよく考えてみればカーニー氏はイングランド銀行総裁経験者なのだ。信頼できる貿易相手国はヨーロッパ(特にイギリス)なのではないかと感じる。つまり世界的な枠組みの組み直しの新しいフェイズということになる。

一方のメキシコは「相互関税は回避する」と言っておりアメリカ合衆国依存から脱却し中南米で経済ブロックを組み直すという考え方はしないようである。

カナダ経済はそれなりに好調なのだそうだが、インフレと金利上昇による国民の不安は大きかったようだ。カナダは移民を積極的に受け入れている。労働市場は逼迫しているそうで受け入れ余地は大きいのだろうが住宅事情はかなり逼迫しているようだ。

人々がリベラルさを求めるのは当然「衣食住などの基本的環境が守られてから」ということになる。こうした国民不安と現在の政権への不満を背景にして出てきたのが「ポピュリスト色が強い(と言ってもトランプ大統領ほどではないが)」の保守党ポワリエーブル氏だたった。

このようにカナダでもトランプ氏に影響を受けた(あるいはインスパイアされた)政治家が台頭するものと思われたのだがこのところのカナダはトランプ大統領に対抗しナショナリズムが盛り上がっている。これがポワリエーブル氏の人気にどのような影響を与えるのかも注目したいところである。

なおカナダでは議員でなくても首相になれるそうだが首相に選出されたあとで議席を獲得するのが一般的なのだそうである。今のところカーニー氏がいつ議席を獲得するかについては報道が出ていない。

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