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そうだ、騒ぎを起こして名前を売って参議院議員になろう

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兵庫県知事選挙で情報をリークした兵庫維新の3人組が揃って記者会見を行った。

離党した1名は反省をしたのかなと思ったのだが立花孝志氏に「参議院議員になりませんか?」と誘われているのだそうだ。維新に拘る必要がなくなったのかもしれない。悪名は無名にまさるというが「露出が増えたこと」で全国進出の足がかりが掴めたと考えても不思議ではない。

ローカル局出身の地下アイドルであれば「まあそういうこともあるのかな」という気がするが、これは政治課題であって同僚県議会議員の死につながっていることを考えると「本当にこんなことでいいのかな」という気がする。

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一応、今回の件は「維新の議員の謝罪」と伝わっている。

しかし記事をよく読むと、彼らが謝罪しているのは「ルール違反」だけ。やったことに関しては「県民の知る権利を守ろうとしただけ」と正当化している。吉村代表は気持ちはわかると曖昧な表現で曖昧な総括をしている。TBSの各番組ではこの姿勢がかなり批判され「戦前の青年将校擁護のようだ」とまで表現されていた。

ルールを破ったことが悪いのだからルールを作る側になればいい。倫理をさほど重要視しない人が議会に紛れ込んでいるという恐ろしさがある。

経緯を見るかぎり、維新の議員たちは自分たちで風評を流布してしまうと名誉毀損になりかねないため突破力があり「何でもあり」の立花孝志氏に頼ったのではないかと思える。一部では斎藤与党の地位に拘ったのではないかとも指摘されている。

ただ、立花孝志氏の向こうには日々実名社会で抑圧されている(という被害者意識を募らせる)匿名の人たちがいる。何らかの理由をつけて集団で誰かに圧力をかけて潰したいという気持ちが渦巻いており「なにかのきっかけ」を探しているような人たちだ。

結果的に彼らは真面目な議員とその家族に集団で圧力をかけて死に追いやっている。「あること」と「ないこと」を曖昧に混ぜたうえで集団で誰かを死ぬまで追い詰めることを「知る権利」と嘯くのは無理があるだろうが、彼らはあくまでも「知る権利」にこだわる。

この一連の騒動でもっとも厄介な問題は「誰かを潰したい」という匿名の悪意が無視できないところまで大きく膨らんでいるところなのかもしれない。停滞した失われた30年の間に鬱屈した「民意」が蓄積しているということだ。

参加した議員は岸口実氏、増山誠氏、白井孝明氏。この内の増山氏は維新を離党した。立花孝志氏に参議院選挙のお誘いを受けているそうだ。

政治家として「上を目指す」のは悪いことではないし維新も増山氏にとって見れば単なる政治家になるための道具だったのだろう。また国会の予算審議を見ていると政策を貫く人より国会内の狭い村社会の論理にどっぷり浸かっている人が多い印象である。「政治家になれれば何でもいいのか?」と増山氏を責め立てるつもりにはなれない。

むしろ何らかの政策を実現し問題を解決してほしいという人よりも今の体制などめちゃくちゃになってしまえばいいと考えている人のほうが多いのかもしれない。増山氏はこうした人達の道具として自らを差し出そうとしているのではないかと思う。

ただ現実を見ると「自らの正義に誠実な人は精神的に潰されてしまい」「名前を売りたいだけの愉快犯」のほうが成功するという社会が健全なものであるとはどうしても思えない。

維新の岩谷良平幹事長(衆院議員)と県組織「兵庫維新の会」の金子道仁代表(参院議員)はガバナンスに問題があったとしている。しかし資金に乏しく名前も売れていない政党が党勢を拡大するためには「なんでもいいから政治家になって名前を売りたい」という人にも依存せざるを得ない。これはおそらくガバナンスではなく維新の存在そのものに付随する問題なのだろう。

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