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「16日以降に予算審議のヤマ場」という国会の茶番

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共同通信が「予算案、衆院通過へ駆け引き激化 与野党の政策協議、ヤマ場に」という記事を出している。何を言っているのだろう?と感じたが同時に国会を真面目に取材している人たちは本当にこれがヤマ場だと考えているかもしれないと感じ背中に寒いものが走った。

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Quoraのコメント欄なども参考にするとそもそも「政治が何かを変えることができる」などと考えている人が少なくなっていると感じる。

当ブログはアメリカの状況も観察しているので「民主主義はときに変えすぎる」という感覚がある。このためアメリカの政治に反応する人と日本の政治に反応する人に対するコメント返しには異なる感覚が必要になり「なんだか不思議だなあ」と感じてしまうのである。

そもそも政権も野党も自分たちの政策が国の形を大きく変えることができるとは考えていないようである。総務省見解を棒読みし「こんなのは単なる答弁のための答弁ですよ」と示した村上総務大臣が典型だが、有権者の間に大胆な変化に対する要求がないのだから野党の提案もどこか似通ったものになる。

これまで自民党と公明党は「野党の言い分など1ミリも飲まない」から「乗るバスを間違えないでください」としてきた。これまで頑なにこの方針を貫いてきたことから逆に「1ミリ(グラムなのかリットルなのかはわからないが)でも飲ませたら野党の勝ち」という不思議な状況が生まれている。

当ブログの当座の目的は政権批判ではなく現状認識だ。政治的意見はそれぞれ好きに持っていただければよいと思う。

どうせ自分たちの政策が日本を再成長させることなど出来ないという与野党共通の諦めが「巨大な象」として部屋の中に存在する状況で、時事通信の記事によると野党の姿勢はそれぞれ微妙に異なっている。

立憲民主党は「1ミリでも飲ませたら勝ち」というゴールを置き「無駄な基金の取り崩し」により「財源」を確保しようとしている。維新は無駄の削減と特別会計で予算が捻出できると考えているようだ。国民民主党だけはトーンが少し違っている。インフレ調整をしてこなかった国が「一人勝ち」してきたのだからそれを還元すればいいと言っている。

いずれにせよ、日本が過去の資産の取り崩し状態に入ったことを印象付ける。結果的には「限られた予算をできるだけ多く支援者に分配したい」という競争に過ぎない。地方議会ではよく見られる「共産党以外すべて与党状態」が国会でも形成されようとしているといえる。

このため立憲民主党の長妻昭代表代行は「予算賛成の余地がある」と発言。国民民主党の榛葉幹事長も「満額ありきではない」と密かにゴールポストをずらし始めた。自民党の森山裕幹事長は「複数与党の賛成を目指す」と主張している。

これまでの体制にできるだけ長くしがみつくレースを共同通信は「激化した駆け引き」と言っている。

村上総務大臣の発言をきっかけにして「地方にはもっと大胆な財源委譲が必要だ」とするコメントを貰ったが限られた国家予算を各政党が取り合うという状況を考え合わせるととてもそのような大胆な権限委譲は望めそうにない。特に集票を地方に依存する自民党には死活問題である。

大胆な委譲どころか「地方税の枯渇」につながりかねないガソリン減税に自民党が抵抗しているそうである。地方には5,000億円の減収になるそうだが大きな恩恵を受けるのも通勤や買物を車に依存する地方の住民である。

廃止が実現すればガソリンの小売価格が下がるが、最大の障壁は税収減だ。ガソリン税の暫定税率は1リットル当たり25円10銭。財務省によると、軽油に課されるものを含め、税収の規模は1年間で国分が約1兆円、地方分は約5千億円に上る。

ガソリン減税、25年中困難か 与党から慎重意見(共同通信)

アメリカ合衆国は工場の自国引き戻しのために関税を武器化しており、工場に依存する特定の地方自治体にとっては死刑宣告になる可能性がある。機会があれば別のエントリーでご紹介するが「まずは関税を引き上げると宣言してから2国間交渉をしてお土産をかっさらう」のがアメリカ合衆国の方針だ。

現在オーストラリア特命全権大使だった山上信吾氏が盛んに外務省批判を展開している。いろいろなところで目にするなあと思ったのだが、どうやら本が売れており出版業界で「数字を持っている男」という評価がついているようだ。

1980年代を思わせるような日米貿易摩擦が再燃しかねない中で「弱くて内向きな外務省」と「リベラル化した自民党」に対するシニア世代の視線はますます厳しいものになってゆくのかもしれない。

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