このところ「トランプ大統領の話ばかりを書いている」なあと気になっている。国際政治から見出しを眺めはじめるといよいよ国内政治を見なくなってしまうので、共同通信と時事通信のRSSから眺めることにしているのだがそれでも「書くことがないなあ」という気がする。そして、その理由もよくわかっている。経済政策が手詰まりなのだ。赤澤経済再生担当大臣の発言を聞いているとその事がよく分かる。
いいねに使っていたWP-ULikeに脆弱性が見つかりましたので利用を停止しました。ご迷惑をおかけします。
アベノミクスは表向き「デフレはいけないものでマイルドなインフレはいいものだ」という単純な認識から始まっている。ところが実際にインフレが始まってみると「これはいいインフレではない」ということになった。とはいえアベノミクスの結果「いいインフレが起きること」になっているので「出来上がったインフレは想定外でした」とも言い出せない。
部屋の中に巨大な象(みんな存在には気がついているが触れてはいけないもの)がいる状態だ。
そんな中、赤澤経済再生担当大臣の発言が揺れている。日銀は日本はインフレ状態にあるという。赤澤経済再生担当大臣は日銀の植田総裁と認識が違っているとは思われなくない。そのためにまず「日本はインフレである」と発言した。
すると当然「ではデフレ脱却ですね」と言われてしまう。しかし赤澤経済再生担当大臣はこれも肯定できない。需給ギャップは依然深刻である。このためインフレでありながらデフレ脱却も出来ていないと言い続けるしかない。
そもそも経済の現況が示せないのだから対策を立てることはできない。つまり今の日本の経済政策はすでに詰んでいるのである。
今の物価上昇について、日銀の植田総裁がインフレの状態にあるとの認識を示したことなどをめぐり、赤澤経済再生担当大臣は「経済学的に言えば、インフレの状態というのはそのとおりで、植田総裁の認識と特にそごはない」と述べました。
赤澤経済再生相 今の物価上昇“経済学的にインフレの状態”(NHK)
赤沢亮正経済再生相は7日の閣議後会見で、デフレ脱却を判断するうえで重視するGDPギャップが「足元はマイナスであり、デフレ脱却を判断できる状況でない」と述べた。
GDPギャップ足元マイナス、デフレ脱却判断できる状況でない=赤沢再生相(REUTERS)
GDPギャップと需給ギャップは同じ意味になり「企業の設備や人員が過剰になり物余りの状態」を指している。しかし現在は「人手が足りない状況」になっている。このことから生産設備が過剰な状況になっていることがわかる。生産設備が過剰にも関わらず人手が足りないのはなぜか。常識的に考えれば「無駄な作業が多い」からだろう。
ただこれを政策に落とすためにはそれなりに精緻な分析が必要だろう。
対策を立てるためにはそもそも現在の状況がどうなっているのかを示さなければならない。赤澤経済再生担当大臣は経済学的にはインフレだが政府が望んでいたインフレになっていないという点は認めている。ただ、なぜそうなったのかについて総括をするつもりはないようだ。
おそらくこの「日本経済には手のうちようがない」という認識は野党とも共有されている。だから野党も抜本的な経済提案はしない。せいぜい「基金に無駄が多かった」とか「高齢者は医療費を使い過ぎている」等と言いながら負担を誰に背負わせるかという議論ばかりをしている。漠然とした不満を刺激して票を獲得したほうが手っ取り早いということなのだろう。政党助成金があれば予算を握らなくてもそれなりに食って行けるがある程度の世帯は必要だ。
ある程度の世帯を作ればそれなりに議員団として食べて行ける政党助成金は政治を腐らせる方向に作用している。
与野党の協議はしょせんプロレスだと思うのだが最終的な落とし所を決めないままでドタバタとした争いが続いているというのが現在の衆議院の状況のようである。
田崎史郎氏が出てくるのは「自民党の落とし所」を宣伝するタイミングだが、このところワイドショーでは出番が減っていて、トランプ大統領関連の識者ばかりが活躍している。番組制作や国内政治担当記者たちも困っているのではないだろうか。