Yahooニュースに「石破首相「バンキシャ」衝撃発言で炎上中 トランプ大統領に約束した投資151兆円→「民間がやること。政府が言う問題じゃない」 ネット大荒れ」というデイリーの記事が出ていた。コメント欄が盛り上がっているらしい。「いまさら気がついたのか」と思った。
なおヤフコメでは「ネット民も一般国民だろう」という意見が多かった(ように見えた)ため、タイトルは「日本国民」にした。
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石破総理とトランプ大統領の会談は成功だったとされている。トランプ大統領のイジメのターゲットにならなかったからだ。みっともない総理大臣がトランプ大統領を称えにやってきたという構図を作り難局を乗り切った。
しかしおそらく経済界は怒っている。日経新聞の「金メッキ」記事についではすでにお伝えした。林官房長官は「日本製鉄が画期的なアイディア(全く異なる大胆な提案)を持っている」と主張するが、日本製鉄の幹部は「過半数は握らないという話は聞いていない」し「橋本会長の訪米は決まっていない」としている。おそらくかなり当惑しているのではないかと思う。
一般の日本国民は「これまでのような日米同盟が維持できれば(少なくとも当面の間は)自民党政権でも構わない」と考えているのではないかと思う。海外で稼いでいる企業は日本政府にバックアップしてもらいたいと考えているだろうが日本政府と自民党にそのつもりはないということがわかる。
孫正義氏が率いるソフトバンクのような例外を除き、おそらく多くの企業はますます日本政府の言うことは聞かなくなるだろう。経済団体が参議院選挙で積極的に石破自民党を助けるのかに注目が集まる。経済界に恨まれれば石破政権は短命に終わるかもしれない。
経済産業省の無能ぶりについては分析記事がない。日産は「メインバンクがお金を貸してくれなくても政府がなんとかしてくれる」と考えているようだ。鴻海に買われそうになった日産をなぜホンダが救済しようとしたのかはよくわからないが「経産省の働きかけがあったのではないか」と考える人もいる。結果的に日産の危機意識は薄いままでホンダも「もうやっていられない」と手を引いてしまった。鴻海は日本当局に睨まれないように静観の構えだったようだが「くびき」が外れたことで再び日産と何らかの協業を目指すのではないかとされている。
パナソニックも家電を整理するものと考えられているが経済産業省がこれに対して危機意識を見せているという話も聞かない。
REUTERSが「アングル:トランプ氏の関税政策は効果薄か 他国の利下げ継続で」という記事を出している。アメリカ合衆国は経済的に一人勝ちの状態にあるがトランプ大統領の政策はますます経済にブーストをかける。するうと国内ではインフレが加速し中央銀行(アメリカの場合はFRB)は金利を下げられなくなる。一方相対的に負けているヨーロッパなど他の国は利下げを行う。すると為替が調整されて25%の関税がかかっても海外で生産したほうが割安になる。つまりトランプ氏の関税には意味がないということになる。
実際に今回の鉄鋼やアルミに対する関税の発表を受けて(まだ具体案は全くでていないのだが)ドルが値上がりしているという。関税政策自身もインフレを助長するのだ。
- 米ドルが上昇、トランプ大統領の鉄鋼・アルミ関税発言受けて買われる(Bloomberg)
- 円は152円台前半に反落、トランプ関税でドル買い-米インフレ懸念(Bloomberg)
- 【日本市況】円が下落、米関税政策受け-長期金利は約14年ぶり高水準(Bloomberg)
日本はすでに(デジタル赤字が拡大しているにも関わらず)経常収支は大幅な黒字になっている。つまり石破総理が誘導しなくてもこのままアメリカへの投資が拡大することになる。これはすなわち日本企業が日本に投資しなくなることを意味し地方経済を崩壊させることになるだろうが「あとは知らんもんね」という性格の石破総理がそれを気にすることはないだろう。
おそらく今回の一連の騒ぎでネットの人たちも「何となく石破総理はいいかげんな人だ」と気がついた。だが一連の状況を理解するためには高校・大学レベルで経済を理解する必要がある。故に何度この文章を読んでも「何を言っているのかさっぱりわからない」という人も多いはずだ。わからないことが増えると人は変化を嫌うようになる。
トランプ大統領は「掘って掘って掘りまくる」をスローガンにアメリカの原油生産を奨励しているがすでにエネルギー採掘・生成コストが割高になっているようだ。
米国の石油輸出プロジェクトに暗雲、生産の伸び鈍化で-シェブロン(Bloomberg)
トランプ大統領が経済を熟知していることは確かなのだが、それは「80年代までの知識に基づいたミクロ経済的な経済」に過ぎない。こうした庶民感覚は1セント硬貨はお金の無駄だという姿勢に現れており一般のアメリカ国民の人気はそれなりに高い。ただ、残念ながらマクロ経済は彼が考えるよりも複雑だ。
財務長官はこれがわかっており次のような発言をしている。つまり人々の暮らしに直接関係がある住宅ローンやビジネスローンの金利さえ抑えることができればトランプ大統領は満足なのだろうということだ。市場はFRBへの介入はないと理解しているはずだ。ただし長期・単金利は実態を映さなくなり「トランプ後」の懸念は強まる。
ベッセント米財務長官は今週、トランプ大統領が低い金利水準を望むと発言する場合はFRBが操作する短期金利を指しているのではなく、米住宅ローン市場や銀行の企業向け貸出金利を左右する米長期金利(10年国債利回り)のことだと述べた。
アングル:トランプ氏の関税政策は効果薄か 他国の利下げ継続で(REUTERS)
また「安くなりすぎた円」に対する圧力も高まるかもしれない。ベッセント財務長官がどのようにこれを制御するかは未知数だが日本の総理大臣(それは石破さんではないかもしれないが)は無理難題を突きつけられることになるのかもしれない。
Comments
“石破茂総理の無責任さにやっと気がついた日本国民” への2件のフィードバック
正直に言って、日本の総理大臣とアメリカの大統領の外交のニュースを見ていると、自分が生きている間にこんなことになるなんてという気持ちが大きくなり、少しクラクラしてしまいました。
仮にアメリカに日鉄を売り渡すようなことをしなかったとしても、それならあのトランプ大統領にどう立ち向かうのかは思いつかないですね。少なくとも、バイデンさんの時みたいに、特別区連邦控訴裁判所に提出したのに書かれているようなストレートな批判は出来ないだろうし、やはり上手におだてて丸め込むような方法でも考えているのでしょうかね。
もし言葉通りに、日本がアメリカへの投資が拡大するのならば、ますます国内での外貨建てや海外証券商品を買う動きが活発になりそうな気がします。
ということで(どういうことなんだ、という気もしますが)今回は「ハシゴを外された石破総理」というタイトルで記事を準備しております。石破総理は政治的失点をせずに済んだが、かといって日本経済がOKだったというわけではなかったということですね。投稿についている「いいね」は(同じトピックであっても)石破総理を批判すると多く集まりアメリカに注目すると関心をなくす人が多いです。政治に対してなにかアクションを起こすよりも苛立ちを現在の政権にぶつけたいという人が多いのだろうなあという気がします。