岸和田市で市議会議員選挙が行われ「市長解任」を訴える議員たちが当選した。このため永野岸和田市長に失職の可能性が高まっているという。当初は「維新が選んだ市長の人格」について書こうと思ったのだが、ちょっと違った視点で見てゆきたい。
不倫はその人個人の問題であって政治家としての適性とは関係がないのではないかという問題提起である。テレビのワイドショーでは決して扱えない話題だろう。クレームが噴出するに決まっている。
あらましを整理する。永野市長が女性から訴えられた。しかし市長と女性の間に500万円の和解が成立したため訴訟は取り下げられた。大阪維新は説明責任を果たさなければ市長を除名するとしたが、一定の説明責任は果たしたため離党勧告にとどめた。
しかし議会は納得せず不信任決議を可決させてしまう。市長は対抗のために議会を解散。市民は議員たちの多くを再び信認したため、永野市長の解任が既定路線になった。維新の吉村代表は「選挙はやる必要がなかった」として謝罪した。
モヤモヤとする点が多い。
維新は永野市長から説明を聞いているのだから納得したのならば「そもそも離党勧告」を出す必要はなかった。おそらく不倫はなんとなくいけないものという空気があり、それと大阪維新を切り離したかったのだろう。さらに吉村代表は「選挙はやる必要はなかった」と言っている。であれば大阪維新は選挙を回避するためになにかやっただろうか?
今回不信任に反対した候補者が3人いたそうだが、その中に奥さんが入っている。
アンケートでは、候補者29人のうち26人が、不信任決議案に「賛成する」と回答。「反対する」と答えたのは3人で、このうち永野氏の妻・紗代氏(38)と前議員の2人が当選し、政治団体「NHKから国民を守る党」の新人は落選した。
岸和田市議選「反市長派」が過半数、再び不信任決議の公算(読売新聞)
そもそも永野さんの奥さんは不倫をそれほど問題視していないようだ。あくまでも永野市長を支援するとの立場を強調している。奥さんの意見には賛否両論あるだろうが「家庭の問題において当事者が問題がないと言っている以上、回りが騒ぎ立てるべきなのか」という論点がある。
不倫問題が発覚した永野氏のことは「変わらず大事な家族の一員」と述べ、永野氏の市長続投が妥当との考えを示していた。
不倫発覚でも夫支える 大阪・岸和田市長の妻が市議初当選、議会9割超は失職「賛成」勢力(産経新聞)
ただこれも厳密に考えるとモヤモヤする。
そもそも奥さんが「不倫は許せないが市長としての適性はある」と考えている可能性はある。しかし永野市長は「不倫をするような人は許されない」という空気によって失職危機に陥った。故にこの議論は成り立たない。
そもそも奥さんが不倫された妻として同情されて当選したのかあるいは子育て世代の代表として選ばれたのかがよくわからない。
このように総論すると「なんとなく不倫というなにか穢らわしいもの」が嫌われたのだろうなあという気はするのだが、一体何が問題になっているのかがさっぱりわからない。
しかしながら「不倫は悪だ」と考える人がテレビで「奥さんが許しているなら別に良いのではないか?」との主張を聞けばクレームを入れたくなるだろう。
意見があるならば言えばいいと思う。だが意見がある人よりも「自分と違う意見を見つけて叩きたい」人のほうが多い。
そもそも日本にはもはや「これが絶対善である」というような了解は存在しないのだが、テレビを見ている人たちは自分と違う意見を受け入れられない。とはいえ議論をまとめる人もいないままだ。結果的にSNSではまとまりがない意見が飛び交いムダな選挙や議論が横行することになる。
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