今回はトランプ関税を軸に支援に期待する国とパートナーシップを期待する国の反応を見ている。ここで「日本はどうなのだろう?」という議論をしたくなる。ところが日本はどちらでもない。精神的にアメリカに依存が進んだ国だが支援を受ける側でもない。
石破総理の外交姿勢を見ていると「ああこれは危ないなあ」と感じる事が多い。7日に訪米を予定しているそうだが、おそらくトランプ大統領に無視されて何も成果が出ないのがベストシナリオだろう。
単なる石破総理の悪口ではと思いたい人はそう思ってもらっても構わないが、それなりの根拠はある。
石破総理がAPECの集合写真に遅れたというニュースを覚えている人もいるのではないか。アルベルト・フジモリ大統領の墓参からの帰り道だった。自らも汚職疑惑のあるボルアルテ大統領とフジモリ家は敵対関係にある。つまりボルアルテ大統領を刺激する可能性があった。「外務省はなぜ止めなかったのだろうか?」という気がした。
このときに問題になったのが石破総理の外交マナーだった。詳しいペルーの状況に興味を持つ人はいなかったが「みっともない総理大臣」に反発した人は多かった。
結果的に議論は深まらず、外務省と石破総理の関係が悪かったのか、石破総理が外務省の言う事を聞かなかったのかはわからないままだった。
岩屋外務大臣はこのところ一部の自民党議員からも反発を受けている。中国の富裕層に対するビザ要件を緩和したからである。折しも春節シーズンに入っておりマナーの悪い中国人観光客の問題がテレビでは注目されている。
ところがここでまた別の問題がでてきた。トランプ大統領批判を繰り返すアーミテージ氏と会談したというのである。
中居氏報道を巡る「文春しれっと訂正」の例もあるため週刊誌報道の引用を出すのはいかがなものかと考える人もいるだろう。しかしながら問題は組織(自民党及び外務省)の不満が週刊誌に引用されてしまうという点にある。それなりに不満が溜まっているのではないか。
「会談は岩屋が自分でセットしたそうで、自分に独自のパイプがあるとアピールする狙いだったとか。ここまで外交センスが欠如していたとは驚きだよ」
中国人ビザ緩和「岩屋毅外相」がアメリカで“大失態” トランプ大統領の神経を逆なでした「ある人物との面会」とは(デイリー新潮)
おそらく外務省は対トランプ対策に戦々恐々としているのだろう。もともとアメリカ合衆国に対する依存心が非常に強い官庁だ。にも関わらず外務大臣がトランプ大統領を刺激しかねない人物との面会を強行した。おそらく「対トランプ外交がうまく行かなくても自分たちのせいではない」と言いたかったのではないかと思う。
トランプ大統領は独自の政策立案能力を持たないため問題の解決策の提示を相手に依存する傾向がある。そのために用いるのが「関税恫喝」だ。関税で相手を恫喝したうえで「それが嫌ならお前の方から解決策をもってこい」と言い放つ。そしてこのやり方をパートナーシップを求める同盟国にも行っている。
キア・スターマー首相のようにトランプ大統領との対立を避けている人もいるが、やはり「なにか吹きかけられるだろう」という準備はしておいたほうが良い。
しかしながら石破総理はまだこの事に気がついていないようだ。
国会では次のように答えている。
石破茂首相は3日の衆院予算委員会で、トランプ米大統領と7日に予定する首脳会談で、半導体分野での日米協力の重要性について認識を一致させたいと表明した。「トランプ氏が台湾に対し、非常に強烈な問題意識を持っていると承知している」とも述べた。覇権主義的な動きを強める中国を念頭に「法の支配、自由で開かれた太平洋という概念は米国と共有する。齟齬が生じるとは思っていない」と語った。
日米、半導体協力で一致へ 首相、首脳会談を控え意欲(共同通信)
これまでの協力関係を一方的に破棄すると脅して相手から提案を引き出すのだから、そのための準備をしなければならないのだが、石破総理は「(日本との関係で)そんなことが起きるはずはない」と考えている。つまり対策はなにもない。石破総理が対策を出すように言っていないのだから外務省側が先回りしてあれこれ提案することは出来ない。
おそらくAPECから見られた外務省とのボタンの掛け違いの原因はこのあたりにあるのではないかと思う。そもそも空気が読めない上に長い間「党内外野」が長かった。
外交音痴というと単なる悪口にように考える人もいるのだろう。だが、石破内閣が発足して以来、外務省と石破政権の間には微妙なボタンの掛け違いが続いていることがわかる。
そんな中さらに背筋がゾクッとするようなニュースを見つけた。石破総理がガザからの難民を受け入れるというのだ。これを読んでも「人道支援の何がいけないのか?」という人が出てくるだろう。日本語の記事しか読んでいない人はそう思うかもしれない。
トランプ大統領はガザ地区からパレスチナ人を追い出したうえでガザ地区をリゾート地として開発したいと考えているようだ。エジプトはガザ地区に封じ込めた反体制派を自国内に戻したくないという事情がありこれに反対している。そしてアラブ圏では「トランプ大統領はエスニッククレンジングを画策している」という反発が高まっている。つまり日本はエスニッククレンジング共犯国になりかねない。またクルド人難民問題でわかるように一旦パレスチナ人を受け入れてしまえば日本に定着することになる。川口市では外野も巻き込んだ大きな騒ぎになっており解決の糸口は見えないままだ。
石破総理の外交音痴と空気の読めなさはもう対処のしようがないと思う。一連の報道を見ていてもマスコミの関心は高くない。こうなるとベストな選択肢は「何も成果がでないままで日本に返ってくる」ことになるのではないか。
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