いよいよ予算審議が大詰めを迎える。2月中に衆議院を通過させることができれば衆議院の優越規定により年度内の予算成立になり「自民党・公明党の勝ち」だ。
ところが野党は省庁別審査を要求している。また立憲民主党は2月中旬に独自修正案を提出すると表明した。余り考える時間を与えずに「選挙のときにアピールできるポイント」を作りたいのだろう。
結果的に予算審議はタイトになり「ポップアップイベント」に対応できなくなる。結果、有権者はますます政治に興味を持たなくなり政治の透明化が進んでゆく。
野党にとって今回の予算案のポイントはなんといっても「参議院選挙に向けたアピールポイントづくり」である。ところが増税は避けたい。このため「自民党の要求を削って予算を付け替える」ゲームになる。このため野党は個別に省庁担当者を呼んで「この予算はムダなのではないですか?」と問い詰める作戦に出た。
省庁担当者は財務省に詰められ、自民党の政調にて「ご説明」し、更に野党に応じて国会審議にも付き合うことになる。
基本的質疑の終了後は、5~7日に「省庁別審査」が初開催される。従来も審議の終盤に「分科会」を実施してきたが、序盤で予算案の細部にスポットを当て、修正要求につなげたい野党の意向で実現した。
予算修正、熱帯びる与野党攻防 衆院予算委、初の省庁別審査も(時事通信)
もちろん、これが直ちに「悪い作戦である」などと言うつもりはない。中身を注目すべきだろう。だがおそらく「自民党の支持母体からのお金を自分たちの支援者に付け替える」ものになることが予想される。地方や業界団体向けの支援がやり玉にあげられる一方で無党派層向けの「無料」や「減税」などの看板政策が議論されることになるのではないか。このあたりは推移に注目したい。
さらに日程についても様々なトラップが準備されている。まずは自民党が嫌がりそうな安倍派の吊し上げが予定されている。参考人招致がうまく行かなければ「疑念が解消されない」として証人喚問に切り替えたい。地方の裏金疑惑も野党にとって追い風になりそうだ。ただし世論が日程妨害に否定的になる可能性もあるため「慎重に見極めたい」としている。
招致が実現しない場合、野党の出方次第で予算委が停滞する可能性も否めない。立民などは強制力のある証人喚問もちらつかせながら、真相解明に後ろ向きな政権の姿勢をあぶり出したい考え。ただ、国民生活に直結する予算案の審議日程を交渉材料とすることには「簡単ではない」(立民国対筋)との慎重論もある。
予算修正、熱帯びる与野党攻防 衆院予算委、初の省庁別審査も(時事通信)
さらに立憲民主党は2月半ばに「数千億円規模」の独自修正案を出す。仮に中旬に出ると審議時間は更に削られることになるだろう。日本維新の会は独自に高校授業料無償化を推進してゆく考え。これらの「考え」はNHKの日曜討論で示された。国対ではなくテレビカメラの前でアピールしたというのがポイントだ。やはり選挙対策なのだ。
仮にこれが国民生活の向上につながるのであれば「選挙で少数与党に状態が生まれた」と肯定的に評価したいところだ。しかしながら先日まとめたような米の問題などが全く解消されていない。米の問題は単なるインフレではなく農政の行き詰まりが原因になっている。
さらに時事通信は「目立つ女性の地方離れ 取り組み10年、止まらぬ一極集中」という記事を出している。地方から若い女性が東京などに集まっているようだ。
Quoraのコミュニティを見ていると「コミュニティに政治や心情を持ち込んではいけない」と考える人が増えていることがわかる。そもそも政治が何も解決していないことは明らかである上に政治を議論する人たちが自分たちの主張を押し付け合う様子を苦々しい思いでみている人も多い。試しに何か言ってみても「お前ごときが政治の何がわかる」とおじさん・おじいさんたちに否定されてしまう。
こうした状況が10年以上も続くうちに「そもそも政治に期待しない」どころか「政治問題をなかったことと考える」という政治の透明化が起きているのかもしれない。こうなると、政府がいくら少子化対策や地方対策をやったところで何も効果を産まなくなってしまうだろう。
前回のAIオペレータの議論で書いたように、我々一人ひとりが次世代に対応するためには「少なくともベルトコンベアに流されるような大人になってはいけない」ことがわかる。しかし、実際には思想信条を持たず政治にも意味を感じない大人が日々量産されている。
しかしながら与党も野党もこうした事情を知ってか知らずか、テレビカメラの前で「支持者の争奪戦」を行っている。ある意味滑稽でもありホラーでもある。
さらに2月7日には石破総理が訪米する。ここできちんとお土産を渡さないと更に宿題を背負わされることになるだろう。現在のトランプ大統領は関税で興奮状態になっているが、石破総理はおそらくトランプ大統領には対応できないのではないかと思う。せめて「何も成果がなかった=変な宿題も背負わされなかった」という結果を望みたい。
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