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トランプ大統領の関税政策にメキシコとカナダが報復措置

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トランプ大統領がメキシコ・カナダ・中国に対して関税措置を発表した。実際の課税は4日からになるそうだ。メキシコ・カナダは報復するが中国はWTOに提訴する。

法的権限が曖昧なため、アメリカ国内でも訴訟になる可能性があるという。アメリカ合衆国には1つの懸念がある。政府内部を統括している人が誰もいない。単に「ボタンを押しまくっている」印象だが騒ぎが起きてもまとめてくれる人がいないのである。

日本は自動車産業などに影響が出ると言われているが突然の関税だったため影響の度合いがよくわかっていないようだ。石破総理は訪問前に突然北米大陸の関税競争にまきこまれることになった。つくづく運の悪い人だ。

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トランプ大統領がメキシコ・カナダ・中国に対して関税措置を発表した。カナダとメキシコは報復関税を準備している。中国はやや慎重な構え。貿易戦争を懸念しているものと見られWTOへの提訴を示唆しつつ対話の道を探っている。「恫喝してからが本番」というトランプ流のゲームもよくわかっているのだろう。

しかしながら今回の関税には懸念点も多い。貿易問題であれば一定の譲歩を勝ち取って関税措置を終わらせることができる。ところが今回は「国家緊急事態」ということになっている。フェンタニル汚染の遠因は鎮痛剤の規制が強まったことが遠因になっているとされている。つまり国境対策との相関は薄い。そもそも問題と対策の相関が薄い上に新関税で何が起きるのかもよく精査していないようだ。

また法的な裏打ちも曖昧だそうだ。法廷闘争に発展する可能性があるとロイターは指摘する。

トランプ氏は関税の裏付けとして、「国際緊急経済権限法」と「国家非常事態法」に基づき国家非常事態を宣言した。これにより、大統領は危機に対処するために制裁を科す幅広い権限を得るが、専門家によると、両法に基づく広範な関税発動の権限については未検証という。

トランプ関税4日発動、メキシコ・カナダ・中国に 貿易戦争に発展か(REUTERS)

トランプ氏の選挙キャンペーンでも同じようなことが起きていた。しかし選挙キャンペーンにはスーザン・ワイルズさんというゲートキーパーがいた。この人が選挙キャンペーンの全体のトーンを決めていたため全体に大きな矛盾がなかった。

ところが現在のアメリカ行政府にはスーザン・ワイルズさんに当たるまとめ役がいない。つまり全体に混乱が広がってもどこで何が起きているのかを把握する人がいないのだ。弱冠27歳のレビット報道官もほとんど何も把握をしていないようだ。

全体的に何が起きているかよくわかっていない間にも波紋は急速に広がっている。カナダメキシコは独自で制裁を加えるほか、会談も予定している。退任間近のトルドー首相は「カナダ国民にも被害が出るだろうが、アメリカ国民の被害のほうが大きいだろう」と予想している。つまりどっちの国民により大きな被害が出るかという消耗戦に陥る可能性がある。カナダは経済の失速を予想しすでに中央銀行が利下げを行っているという。

経済失速からの回復が急務の中国は貿易戦争が起きることに警戒心を持っているようだ。WTOに提訴すると言っている。ただし「トランプ氏は恫喝してからが本番だ」というゲームのルールを良く理解しているようで「これから対話しましょう」とも言っている。

当然、日本も関税による影響を受ける。ところが加藤財務大臣は「これから影響を見極めます」としか情報発信していない。現在の国会は予算審議を行っているが未曾有の少数与党状態のためスケジュールがタイトな中で予算の組み替えが行われる可能性が高まっている。結果的に「ポップアップイベント」には対応ができない。国会の審議については別の投稿にまとめたい。

日本の自動車産業はトランプ関税を織り込んでいなかったようだ。特に経営危機の日産自動車にとっては「ダメ押し」になる可能性がある。日産の工場に依存する地方自治体は戦々恐々としているのではないか。週明けの株価にも影響を与えそうだ。

石破総理は7日に訪米しトランプ大統領と会談することになっている。ここでどんなメッセージが打ち出されるか期待したいといいたいところだが、おそらく何も言わないのではないかという気がする。仮にここでトランプ大統領に「お土産」を渡されてしまうと、おそらく国会審議は更に紛糾するだろう。

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