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「やっぱりコメが足りません」 農水省の政策の失敗で高いコメを押し付けられる消費者

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江藤農水大臣が備蓄米の放出を宣言し静かな波紋が広がっている。コメの価格高止まりは農水省の間違った政策のせいだと主張する識者が盛んに批判記事を書いているがそれだけでなく21万トンものコメが行方不明になっているという情報もある。

少なくとも地震の影響で一時的にコメが足りなくなったという説明は正しくなく、何らかの構造的な問題がある事がわかってきている。

議論をまとめた。

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読売新聞が「備蓄米」放出を柔軟化、農水省が指針見直し…米価高騰は一部業者の在庫積み増しが原因との見方という記事を出している。コメの価格を下げるために備蓄米を放出するという内容。JAに配慮してコメの価格が下落した場合には政府が引き取るという方針も合わせて表明したために実効性はないのではないかとして反発が広がっているのだ。

だが反発はそこでとどまらなかった。

かねてより政府のコメ政策に異論を唱えてきたキャノングローバル戦略研究所の山下一仁さんは衆議院議員選挙の前にJAと自民党の不適切な関係について指摘していた。

しかも、総理が単独で改革を実行できるわけではない。コメ政策に影響力を及ぼすと考えられる森山裕幹事長や小野寺五典政調会長は、農林族議員でもあるうえ、必ずしも農政改革に前向きではない。党の幹部だけでなく選挙地盤が弱い他の自民党農林族議員やJA農協を説得しなければならない。国会論戦になれば、民主党の戸別所得補償との違いも説明できなければならない。農相に相当な知恵と覚悟と腕力が必要とされるが、農林水産大臣に起用される小里泰弘氏は石破氏の主張を実現できるだろうか?

JA農協&農水省がいる限り「お米の値段」はどんどん上がる…
スーパーにお米が戻っても手放しで喜べないワケ

森山裕氏のWikipediaを見ていると「農水省新次官人事は「異例中の異例」、自民党農林族の抵抗必至」という記事へのリンクがあった。農林水産省はJA改革をやりたかったが森山氏ら農水族が抵抗したという内容になっている。農林水産省は農政改革をやりたいが自民党が反対しているという筋書きになっている。

 奥原氏とソリが合わないとされた農林族の代表格、森山裕元農相が自民党の国対委員長として存在感を増しているほか、改革の旗手として活躍した小泉進次郎氏は自民党農林部会長を退任した。同部会幹部ポストには、地域農協の上部団体出身の国会議員が複数、就任している。

農水省新次官人事は「異例中の異例」、自民党農林族の抵抗必至(ダイヤモンド・オンライン)

つまり農林水産省は改革の必要性を感じているが、自民党が改革をブロックしているということになる。しかし構造的な問題が露呈しているため場当たり的な備蓄米の放出を決めたということだ。いずれにせよ今回の備蓄米放出が呼び水となり山下さんはいくつかの記事で政策を批判している。

背景にあるロジックはかなり複雑だがバターが足りない・生乳が足りないという騒動と似たような印象がある。国内産業保護のためと称して不完全な市場を維持してきたため市場原理が働いていない。この構図では「生産者対消費者」ということになる。だが実際には酪農家も減っているようだ。今回の事例でも山下さんはJAが儲かっているだけで一般の農家には恩恵はないと主張している。結局、自民党が支持母体を維持する他は誰のためにもなっていないのである。

これだけでもうんざりしてしまう話なのだが更に続きがある。立憲民主党は農家への直接支援を訴えている。これはこれで良い話のように聞こえるのだが、自民党の支持母体潰し(つまり意地悪)という側面がある。結果的に自民党にも「立憲民主党に負けてはいけない」という間違った防衛意識が生まれる。このためコメの価格が適正化されない。

品薄感が高まると中間流通業者が出し惜しみをすることになる。これはコロナ禍のマスクでも見られた現象だ。コメが21万トンも行方不明になっているそうだ。政治が生み出した市場の混乱に乗って儲けようと言う人がいるのかもしれない。

農林水産省の政策の失敗、自民党の地方(JA)依存、与野党の支持母体のつぶしあいなどが複雑に絡まり、結果的に日本国民は高いコメを押し付けられている。これでは瑞穂の国の名がすたるというものである。

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