直前まで3月1日に延期になるのではないかと言われていたが、トランプ大統領は予定通り2月1日からカナダとメキシコに25%の関税をかけることを決めたようだ。また中国に対しては追加で10%の関税がかかる。今回のニュースの最も特異な点は「どの品目にどれくらいの関税がかかるか」がよくわかっていないという点にあるようだ。政府の準備不足もあるのだが弱冠27歳の報道官がその機能を果たしていないのだ。
トランプ大統領はカナダ・メキシコ・中国に関税を課す。カナダとメキシコは25%で中国は10%などと伝わっている。しかしカナダ産の石油に関しては10%などどの品目にどれくらいの関税がいつからかかるのかなどがよくわかっていない。
問題の中心にいるのは若干27歳のレビット報道官である。トランプ氏の支持を若者に広げたことが評価されたようだ。多様性推進は能力主義ではないと主張するトランプ大統領なのだが「この報道官は果たして能力で選ばれたのか」と疑念を抱かざるを得ない。
レビット報道官はトランプ大統領の言葉には非常に敏感だが政策にはあまり興味がないようである。支出全面禁止のときには「凍結指令」が出ることを把握していなかったようだ。今回も「関税の詳細については情報がない」としている。結果的にメディアはSNSと同じ程度の情報しか得ることができなくなる。
レビット報道官は記者会見でこの報道を「誤報」とした上で、免除に関する質問に対しては「最新情報や説明はない」と応じた。
メキシコ・加・中、関税阻止できず 2月1日発動へ=トランプ氏(REUTERS)
本来であればメディアは100日程度は政権について悪く言わない事になっているが今回はすでに冷戦モードに入っている。ABCニュースは関税がかかるとスーパーマーケットの食料品の価格が上がるなどと報道。標準家庭の年間負担額を具体的に報道していた。
おそらくトランプ政権は関税は外国の企業が支払うと説明し「関税を財源にした減税」などを訴えるものとみられるが報道機関は「実際に支払っているのはアメリカの輸入業者だ」と説明するのではないかと思う。
金や銀がアメリカに流入していると言う話も出ている。何が値上がりするかわからないということなのだろう。将来的に貴金属の価値も大幅に高騰するかもしれない。
当ブログとスペースはトランプ大統領の場当たりな政策をかなり批判的に書いている。しかし多様性プログラム廃止などに擁護論が多いのも事実だ。日本人の男性の中にも「女性に地位を脅かされている」とトランプ大統領に期待する人がいるのだろう。
あえて肯定的に捉えるならばこれまで「できない・やらない」という説明が虚偽のものだったと示すことはできるかもしれない。しかしながら、内外支援の打ち切りのように「とりあえずボタンを押してみて、騒ぎが起きたら慌ててもとに戻す」というようなことが増えている。不法移民の取り締まりもアメリカ人の拘束につながっているようだ。成果と犠牲のバランスが良いようには思えない。
トランプ大統領は今回も「短期的には混乱するだろうが長期的に見れば関税はアメリカを豊かにする」という真偽不明の主張を続けている。レビット報道官はおそらくこの主張を右から左に垂れ流すことになるだろう。
アメリカのジャーナリズムは割としっかりしている。つまり独自に取材をして「混乱」を伝え続けることになるはずだ。さらに疑問点をレビット報道官にぶつけることになるだろう。連日激しいやり取りが展開されている。地方局から叩き上げてホワイトハウスに登り詰める記者が多く日本とは「肝の座り方が違う」という気がする。航空機事故で真偽不明の主張を展開するトランプ大統領にも容赦ない質問が浴びせられていた。
トランプ大統領は「関税をかけて恫喝すれば相手の国はアメリカの言うことを聞くだろう」と理解しているようだ。この成功事例になったのがコロンビアだ。不法移民をジェット機で送りつけようとしたがコロンビアの大統領に拒否される。トランプ大統領はコロンビアに関税をかけると恫喝し一転受け入れを勝ち取っている。
この「成功体験」があるためにEUも標的にした関税を予定していると発表し波紋が広がっている。
所詮は他国の話なので「とりあえず押したいボタンを押して怪我をしながら一つずつ覚えて行けば良いんじゃないか」という気もするのだが、日本の企業もアメリカ向けの製品をカナダやメキシコで作っている。当然週明けの株価にもそれなりの影響が出るだろう。
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