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楽しい日本じゃだめだ、強い日本だ!

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石破総理が「楽しい日本」を掲げ当惑が広がっている。話を詳しく聞いてみると単なる石破さんの昭和自慢だったようだ。しかし思わぬところから反発の声が上がった。小野寺五典政調会長が「日本は強い国を目指すべきだ」と主張している。

高度経済成長期どころか「贅沢は敵だ」がモットーだった戦中に戻ってしまいそうな勢いだ。自民党が完全に政策立案能力を失い「精神論」で政権を維持しようとしていることがわかる。高齢化し問題解決能力を失った政党が「気力」で日本を運営しようとしているのだ。

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石破総理が「楽しい日本」を掲げて当惑が広がっている。ReHacQで詳しく話を聞いてみたが要するに昭和の自慢話だった。同じ感想を持った人は他にもいたようだ。古市憲寿さんも「高橋弘樹さんが孫のように石破総理の話を聞いていた」と言っている。

日本はアメリカの政策に従ってアジアにおける資本主義社会のショーケースとしての役割を果たしてきた。太平洋ベルト地帯で生み出された富は国家に集約されそれを再投資することで高度経済成長が加速した。ただマクロ経済の話をしても仕方ないと思ったのだろう。池田勇人総理大臣はこれを「所得倍増計画」と表現している。自民党のマクロ経済政策に従えばあなたの所得は伸びますと説明したのだ。この成果が実感されたのが「東京オリンピック」や「万博」だった。

つまり、石破総理は原因と結果を完全に取り違えている。

しかしながら現在の日本ではこうしたコンセプチュアルな分析は全く流行らないようだ。感覚的な評論ばかりが飛び交っている印象だ。

そこで登場したのが小野寺五典政調会長だ。「この人も精神論なのか」と感じた。

楽しさの追求が弱さにつながるというのは戦中にもあった考え方だ。楽しみばかりを追求する享楽的姿勢が「弱さ」につながると考えたのかもしれない。「楽しい日本というキャッチコピーはよろしくない」と苦言を呈したという。「楽しさ」を追求するのはリベラル的弱腰であるという含みもあるのだろう。ただし総理大臣とのやり取りは全く噛み合ったものではなかった。まるでXでつぶやき合っているような印象。

「最終的な目標として『楽しい日本』を目指すことは必要です。そのためにもまず作り上げるべきは『強い日本』、トランプ大統領流に言えば、『メイクジャパンストロングアゲイン』ではないでしょうか」

【速報】自民幹部“「楽しい日本」よりも、まずは「強い日本」” 石破総理の方針に異論(TBS NewsDig)

そもそも、この「強い日本」には疑問が多い。第一に日本人は苦しい事や辛いことが大好きだ。とはいえ自分が苦しいのが好きという人はおらず「他人が楽しいことをしているのが嫌」と考える傾向がある。他人が楽しくしていることに苦々しさを感じてしまうのだろう。小野寺政調会長は日本人の多くが抱える「他人の楽しみを妨害したい人」の支持を集める可能性がある。

日本が独力で「強い日本」を目指すというのであれば、まあそれは一つの見識なのかなという気がする。

トランプ次期米政権で国家情報長官に抜てきされたギャバード元民主党下院議員は日本の再軍備を問題視している。そもそも日本は独立軍を持たない。アメリカ軍の補完に過ぎない自衛隊の正規軍化にも苦労している有り様だ。さらにアメリカ合衆国にはアメリカが日本の瓶の蓋になっているという認識を持っている人も多い。

このように「強さ」を求める人達は、同時に他者に対する依存が非常に強い人達なのだ。

日本人の中に根深くある「他人の楽しさを奪いたい」という根源的な欲求は生産性向上を大きく阻害する。生産性向上とは要するに「楽してもっと儲けたい」ということだ。アメリカ人は暇さえあればどうすればもっと楽ができるだろうか?と考えておりこれがイノベーションの原動力になっている。日本が成長できなくなった要因の一つは「楽の追求」に対する罪悪感だろう。実際には新興IT勢力を全力で抑え込もうとする傾向もある。ライブドアのフジテレビ買収阻止から続く一連の流れがそのピークだった。新しくでてきた人たちを嫉妬し「楽して儲かるはずがない」と考えるのが日本人だ。

自民党は生産性向上の議論ができなくなっており「景気は気の持ちよう」という精神論に堕落した。ところがそれを批判する人たちも「そもそも楽しさを追求することはけしからん」と総理大臣を批判している。結果的に議論は噛み合わず、なにの成果も生み出さないまま不毛な「熟議の国会」が延々と展開されている。

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