立憲民主党が議事進行権を掌握した予算委員会で51年ぶりに多数決による参考人招致が決まった。自民党は反発を強めており元安倍派会計責任者は参考人招致に応じないものと見られている。自民党は共犯者意識を高めているようだが外部の倫理観とは衝突する。巻き添えになりたくない公明党は議事に加わらなかった。
この一連の出来事からわかることがもう一つある。それがフジテレビでも見られた「老害」の問題だ。石破政権の姿勢が試されている。
衆議院予算委員会では参考人招致は全会一致でという不文律があるそうだ。これが破られたのは1974年以来となるという。
しかしながら参考人招致に応じる義務はないため元安倍派会計責任者の松本氏は招致には応じないものと見られている。さらに言えば裁判では刑が確定しているため新事実はでてこないだろう。このため参考人招致には「特に意味はないのでは」と感じた。
しかしながら公明党は採決の際に議事に加わらなかったという。つまり今回の多数決による参考人招致決議は公明党にとっての踏み絵となった。
大阪で公明党と敵対関係にある維新の吉村代表は「公明党はどちらにもいい顔をしている」と批判している。公明党と自民党の協力関係を崩しそのあとに座りたいのかもしれない。いずれぬせよ「連立政権に加わっていると政治とカネの問題で共犯者と見られかねない」という危機感が感じられる。
日本の組織や集団によくある奇妙な共犯者意識を感じる。
先生に内緒でちょっと悪いことをするというのは極めて男子的と考えたのだが、よく考えてみれば女子も共犯関係を結ぶことがある。私達と仲良くしたかったらあの子と遊んではダメというような陰湿な関係がある。
これが「男子的」なのか「女子的」なのか「日本的」なのかはよくわからないが、似たような事例はいくらでもでてくる。
例えばフジテレビの問題では当事者意識も問題解決能力もない役員たちが日枝会長だけは頑なに守ろうとしている。日枝会長は「こんなことくらいで負けてはいけない」と頑なになっているものと見られている。コンプライアンスに詳しい遠藤副会長ですら日枝氏のことになると口数が少なくなる。清水新社長の会見も日枝氏を守る傾向が強かった。日枝氏もなにか発言したことは認めたが「誰が何を言ったのかは絶対に」言えないと言っている。
フジテレビが信頼を回復するためには記者たちの質問に素直に応じる必要がある。だが、それでも「日枝氏を守るボク達」という図式からは抜けられない。こうして本当に大切な信頼を失いスポンサーの復帰を難しくしている。
森友学園の問題では情報の開示が決まった。地裁では「将来の捜査が行われる可能性」に配慮して不開示とされてきたが、高裁は「捜査は終わっているから」と認定している。ただし高裁判決のため最高裁判所に上訴される可能性があり判決は確定していない。
この問題は外から見れば「佐川宣寿氏が指示したこと」は明らかだ。つまり文書が開示されたとしてもそれほど世間の認識に大きな変化は生まれないだろう。にも関わらず財務省が頑ななのはどうしてだろうかという気がする。
前回の記事を読み返すと財務省が存在する文書を隠していたこともわかっている。結果的に文書が見つかると麻生財務大臣(当時)は官僚たちのせいにしている。
財務省の「隠蔽や不開示」の問題は、野党に得点を稼がせたくないという当時の安倍政権(安倍総理大臣と麻生財務大臣)の単なる意地のようなものだったのかもしれない。
特に今回「上告するかしないか」で重要なのは石破総理が麻生氏に気を使って(忖度)してあくまでも裁判を維持するかこのまま開示するかということになる。開示されたときに「何だこんな文章を隠したかったのか」とあっけに取られる可能性もあるだろう。ただ赤木さんの妻はこのために何年も法廷闘争を余儀なくされている。
安倍派の裏金問題も「幹部の誰かが何らかの意思決定をした」ことは明らかだ。そもそもすでに守るべき安倍派はもうない。となると最終的に残る動機は「意地でも野党の言い分を認めたくない」という子供じみた秘密結社的な共犯者意識だけだ。
石破総理には、こうした子供じみた共犯者意識を払拭し自民党の倫理観を有権者の倫理観と合わせるという選択肢がある。しかしフジテレビが結局変われなかったように自民党も変わることが出来ないのかもしれない。
状況の変化に対応できなくなった人がメンツを優先して組織を道連れに自滅するということはじつはよくあることなのかもしれない。こういう人のことをおそらく老害というのだろう。
Comments
“元安倍派会計責任者の参考人招致が決定 試される石破政権” への2件のフィードバック
映画だったら、情報の開示で明かされなかった新しくて重要な事実が判明するのでしょう。しかし現実だと、分かり切っていることが確定するだけの場合が少なくないですね。
そんな情報を開示させるために、何年も色々な人の時間を奪うことは「罪」だと思います。仕事だったら、必要のないことのために他の人を動かさそうとする人は注意されます。ただ、情報を開示しようとしない国側の人間には、罪の意識はないのでしょう。
罪の意識はなさそうですよね。中にはそういう意識を持っている人もいるんでしょうが組織の中では黙らざるを得ない。