立憲民主党が「紙の保険証」を復活させる法案を出した。三木谷浩史氏と堀江貴文氏が不快感を表明している。「汚い言葉を使うなあ」とは思ったが、結論からいうと堀江さんと三木谷さんがいうように「立憲民主党はマジで消えるべき」かもしれない。
三木谷浩史氏と堀江貴文氏が何にイラついているのかはよくわからない。遅々として進まない日本のIT事情に苛立ちを持っていて「リベラルは抵抗勢力だ」と思っているのかもしれない。
実際の医療現場ではこんな事が起きている。
高齢者は普段かかりつけ医に行く。ここでなにか大きな病気が見つかると紹介状を書いてもらう。紹介状は実際に「手紙」の形式になっていて封筒に入っている。患者はこれを持って大きい病院に言って検査を受ける。しかしこの時点で「うちではこの検査はやっていません」と言われることがある。すると連携コーディネータという人が出てきて調整をする。患者はさらに検査オーダーが書かれた紙を持って検査に出かける。内容に不備があると病院同士でやり取りが始まる。さらにここで「大きい病気が見つかった」とすると今度は画像データなどを携えて別の病院に診療に行く。
実際の医療現場にいる人は特にこの状況に違和感を感じておらず「こんなもんだろう」と思っている。しかしながら普段「クラウド」を使い慣れている人は、なぜ紙やディスクを持って患者がいちいち最初から説明をしなければならないのだろう?と感じるだろう。
こうした状況はすべて共通医療基盤があれば解決する。ところがここに河野太郎大臣(今にして思えば疫病神のような大臣だった)が出てくると話が複雑化してしまう。
実際には民間を適切に指導・観察したうえでベンチャーも入れて共通基盤整備に乗り出したほうがいい。このためにはキーが必要になりマイナンバー健康保険証が有効に利用できる。またオープンな開発のためには共通仕様の策定も重要だ。
つまり、問題は自民党の囲い込み型のマインドセットとプロジェクト管理の稚拙さ(更に河野太郎氏の場合には行き過ぎた自己顕示欲)であって、マイナンバーカードと電子健康保険証が悪いわけではない。
だが、おそらく立憲民主党は全国の病院で極めて不効率な事務のやり取りが行われているということに気がついていないか興味がないのだろう。単に票がほしいだけなのだ。
ここから「総合的に判断」すると立憲民主党のような「妨害系野党」は百害あって一利なしということになる。だから「マジでいらない」という結論が得られる。
ポイントになるのは「病院のことを医療関係者にだけ語らせるべきではない」という点にある。外からの視点をどう持ち込んで行けるかという広い視点を持った野党が生まれるべきであり、そのためには与野党に実業を経験した政治家を登用すべきということになる。だが専門家が分科会を作るだけでは事足りない。野党は専門が異なる人同士が語ることができる言論的共通基盤を作るべきである。
Comments
“紙の健康保険証に固執する立憲民主党はマジで消えるべき” への8件のフィードバック
どうでしょう?実際には紹介状は基本的に事前にFAX送信(そもそもこれが時代遅れではあるが)されますし、いずれ画像もメール添付等に置き換わるでしょう。プライバシーの観点からは厳重な情報保護が必要ですし、クラウド型において国家が十分なセキュリティを構築できるかは現時点でかなりの疑問符がつきます。要に、仰るように拙速すぎるのです。医療対象の大多数が高齢者、超高齢者であることも拙速な技術革新よりは、遅くとも確実な現状のシステムの維持が必要だと考えます。完全なシステムなどありえないとしても、少しでも完成に近づけてからリリースすべきです。なんなら、公務員のみで5年くらい検証してからにしても良いのではないでしょうか。
出先(スマホ)で拝見したのですが、日本人って出来ない理由・やらない理由・変わりたくない理由ならこんなに雄弁になれるんだなあと新しい発見をしました。新しい知見を与えてくださってありがとうございました。
中国とアメリカのAI競争のニュースを調べたあとなので日本はまだ紙の保険証がどうとかというレベルで揉めているんだなあと思ったんですよね。
ただ、まあたしかにそうですね。夫婦別姓なんかもずーっと未来永劫検討していればいいのかもしれないです。自民党保守の人たちの中にも変えない理由・変わらない理由がたくさんあるみたいですし。
次世代の方々は石破総理の「高度経済成長期は楽しかったぜ」自慢を黙って聞きつつ生まれてきた時代と国が悪かったんだなあと悟ればいいんですもんね……
書き込みありがとうございました。今後ともお手柔らかによろしくお願いいたします。
理想的なのは、今のマイナ保険証の問題点を洗い出し、改善案を出してシステムを構築する手伝いになることですが、党派の拡大を優先すると、そういう風にはならないのですね。政治家は少しぐらい「滅私」の心を持っていても問題ないと思うのですが・・・。
「やる」方向で叡智を結集すれば良いものを「やらない」理由を探してしまうんですよね。ただコメント欄の指摘を見る限り「怖いから何も変えない」という姿勢を有権者の一部が支えているのも事実ですよね。
まぁ、マイナンバーカードの暗証番号関連は、高齢者にとって鬼門であることは確かだと思います。暗証番号を忘れたり、忘れた時の対処の手間もかかりますし、介護職員が労働負担を理由に、暗証番号を管理したくない気持ちは分かります。
素人考えですが、コスト面や生体情報登録の忌避感さえ解決できれば、静脈認証みたいなものを使うほうが良いんじゃないかなと思います(指紋は皮膚の状態で読み取れない可能性があるので静脈のほうが良いと思う)。
実際に病院で観察してみたんですが「マイナンバー管理」以前のレベルでかなり混乱しているみたいですね。
窓口の人に要領の得ない説明をして窓口の人がそれを読解するというような光景を何度も見ました。多分「相手が何を知りたがっているか」ということが推理できなくなるんだと思います。そのたびに後ろに長ーい列ができます。でも窓口の人は患者当事者の情報しか頼りになる情報がないですからなんとか聞き出そうとする。
マイナンバー健康保険証って高齢者に操作を要求するのでその時点で設計思想としてはNGなんでしょう。必要とされるのはこういう高齢者が来ても「だいたい何をしに来たか」を把握できるオートメーションシステムのようなものだと思います。医療従事者間の連携システムみたいなものですよね。
が、おそらく国会で党派争いをしている国会議員さんたちって高齢になっても病院とかで長い時間を過ごしたりしないと思うんですよ。ですから現場のニーズには気が付かない……
なるほど、そもそもの設計思想から見直さないといけないのですね。そうしないと、私が発言した「静脈認証」のような小手先の改善では、焼け石に水になってしまいますね。
マイナンバーカードのような仕組みを成功させるには、要件定義が重要なのでしょう。そのためには縦や横のつながりをつなげる人材の確保や、情報連携のどれだけ末端までに出来るかが重要なように思います。そういうことを考えていると、「SHOGUN 将軍」を成功させたような人材と運用方法に習うことがありそうですね。
現場を見ていると、顔認証とかややこしいのは無理(そう)という人がたくさんいるので「手のひらをこの機械にかざしてください」的なソリューションは有効なんじゃないですかね。顔認証にしたのって某国内メーカーがその技術を開発していたという程度の話なんじゃないかと思うんですよね。エビデンスはないですけど……