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新事実露見にローカル局経営危機 フジテレビ問題が加速

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デイリー新潮が「新たなA氏の被害者」の告白を掲載した。またローカル局のスポンサーも一時撤退を決めている。キー局フジテレビよりも経営基盤が弱いところが多く経営危機も予想される。また複数の企業がフジテレビに返金を求めてゆく考えだ。

テレビ局は対応が分かれている。今回の教訓は「絶対にない」といい切ってしまう危険性だ。これを最も早く理解したのはTBSだったがテレビ東京と日本テレビも同じような対応を決めたようだ。日本テレビは通報窓口を改めて社員に伝えたという。一方でNHKはこの禁句「絶対にない」を口にしてしまった。何も出ないことを祈りたい。

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世間は「問題そのもの」に怒っているというよりはそれを見て見ぬふりをする企業の姿勢にいらだちを感じている。TBS・テレビ東京・日本テレビの姿勢は短期間のうちにそれをよく理解したと言ってよいだろう。

権力の集中が囁かれることもあるテレビ朝日は「一時調査を終えたが何も出なかった」と主張しておりやや危うさを感じさせる。テレビ朝日にはフジテレビと同じ体質がある。フジテレビの場合はエンタメが王様化していたがテレビ朝日はスポーツ局が王様化しており社長の交代劇が起きた過去がある。経費の私物化が問題になっていた。企業体質は未だに改まっていないのかもしれない。

一方でNHKは「そんな事はありえない」から調査はしないと言っている。対応としては最も危険な対応だ。国が予算を承認するNHKのコンプライアンス意識が高いことは間違いがないだろうが仮に不祥事が出た場合には取り返しが付かないダメージを受けるだろう。世論は性被害そのものではなく「隠蔽体質」に大きく反応しているとNHKは理解していないようだ。

フジテレビの港社長の会見は引き続きフジテレビと系列局の経営に大きな波紋を広げている。企業の一部には返金を求めるところが出てきた。スポンサー都合ではなくテレビ局の対応の瑕疵がCM引き上げの要因であるところから当然の要求だろう。また一部ローカル局にもCM差し止めの影響が出始めた。ローカル局独自制作ではなくフジテレビが制作している番組に関するもの。経営基盤が脆弱なローカル局には大きな影響が出そうだ。

Quoraのコメント欄では「世論が一定方向に傾くのは危険だ」と指摘する人が多かった。このため報道の自浄作用に期待する指摘があった。この穏健な世論を考慮すると極めて残念な報道もある。

文春は政治担当の役員が実力者を忖度し社長といっしょにクローズドな会見を決めたと指摘している。いわゆる報道には政治面と社会面がある。フジテレビが権力に忖度する体制を持っていたとするとフジテレビの政治報道は死んだと言ってよいだろう。社会部も「カメラ取材をさせてください」とは言えなくなる。

「当初、港社長は『会見はやりたくない』と拒否していたが、最後は周囲に説得されて渋々応じた。一部の取締役から『会見はオープンにしないと批判を浴びる』という意見が出たものの、フジの天皇と言われる日枝久相談役に忖度した政治部出身の石原正人常務取締役が中心となって抵抗したのです。結果、日枝氏と港社長による“機関決定”が下り、動画撮影なし、静止画のみのクローズドな“紙芝居会見”になった」

《中居正広・フジテレビ問題》「会見はやりたくない」港浩一社長は一時拒否も…異例会見の真相「当日には社員に“弁明メール”が…」(文春オンライン)

今回の件は奇妙なことに中居正広さんが何をやったのかについて事実認定が行われていないにも関わらず様々な噂が飛び交っている。これを細かく拾い上げれば複数の異なるストーリーを展開することも可能だと古市憲寿氏が指摘している。かなり長い間「隠蔽」を行っていたことで噂が収拾不可能なレベルになっていることがわかる。

と同時にある種の不思議さも感じられる。実名や準実名で話を聞くと「世間の空気で論調が一気に変わるのは危うい」とする人が多い。しかしながら匿名の群衆になると大きな空気が作られてしまう。また社員に話を聞くと「膿を出し切るべきだ」という人が多いが集団になると組織防衛に走る企業もある。

個人と集団で振る舞いが全く異なるのが日本人なのだ。

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