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ヘグセス国防長官候補がアジア情勢に曖昧な認識

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トランプ次期大統領の就任式まで一週間弱となった。上院では急ピッチでトランプ政権の閣僚候補の審査が行われている。中にピート・ヘグセス氏のような問題のある人物も含まれている。ヘグセス国防長官候補が「ASEANの加盟国を正しく答えられなかった」と時事通信が伝えている。

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ヘグセス国防長官候補は過去の発言が問題視されている。

起訴・逮捕されたことはないそうだが数々の性的スキャンダルが報じられている。また軍隊に女性は必要がないと発言したこともある。現在はポジションを修正しているようだが「発言に一貫性がない」ことは明らかだ。

上院の承認委員会ではクイズ大会のようなことも行われている。わざと答えられそうな問題を出し「あなたは合格した」という共和党の委員もいるが、難しい問題を出し「あなたは何も知らない!」という人もいる。日本の国会でもたまにクイズ大会が行われるがアメリカでは事前通告はない。

では「ASEANの参加国」は簡単なクイズか、あるいはひっかけ問題か。

ヘグセス氏は公聴会で「同盟・友好国と協力し、インド太平洋地域で中国共産党の侵略を抑止する」と表明した。しかし、インド太平洋に関連して東南アジア諸国連合(ASEAN)の加盟国数を尋ねられると、「正確な数は分からないが、韓国、日本、オーストラリアと同盟がある」と回答。上院議員から「それらの国々はASEANではない」と指摘を受けた。

米国防長官候補「中国を抑止」 日韓豪とASEAN混同も―閣僚審査の公聴会始まる(時事通信)

ヘグセス氏は「アメリカは中国を阻止しなければならない」と述べた。そのために同盟国・友好国と協力するという。しかしその同盟国・友好国に対する認識そのものは極めて曖昧だった。

おそらくASEANについてはよくわからないが韓国・日本・オーストラリアと同盟関係があるということはなんとなく知っていたのだろう。質問した議員から「それらの国はASEANではありません」と言われてしまった。

ヘグセス氏はFOXニュースの司会者出身だ。アジアにうっすらとした蔑視感情を持っているアメリカ人が多いことはクリーブランド・クリフスのCEOの発言からも明らかである。CEOの認識は1945年の終戦で止まっている。さらに中国(中国は連合国の一員だったことになっている)と日本の区別もよくついていない。

へぐセス氏の曖昧な認識からはFOXニュースの司会者にはアジアに対する特段の知識は求められていない事がわかる。アジアには興味がないという内向きなアメリカ人がFOXニュースのお客さんなのだろう。

ヘグセス氏の発言には問題が多く適性も極めて怪しい。ただ、ここでヘグセス氏を承認しなければ審査委員の人たちがトランプ次期大統領に攻撃されかねない。このため、少なくとも上院共和党側はトランプ氏の就任式までに超特急で人事を承認してしまいたいと考えているようだ。

つまり、アジアに興味もリスペクトもない人が中国さえ攻撃していれば視聴率が得られる程度の認識を持った人が石破政権のカウンターパートになる可能性は極めて高い。

個人的な次の注目ポイントは「日本側がこれをどう処理するか」だ。日本人はうすうすはアメリカに蔑視されているであろうと感じながらも「アメリカと対等である」と思い込もうとしてきた。

このためヘグセス氏が国防長官になり日本に防衛費の負担を求めてきたときに

  1. これは日本のためになるのだ
  2. 地域大国日本はアメリカから期待されている
  3. 日本はアメリカの期待に応えるために積極的に行動しなければならない

というファンタジーをベースにしたある種自己催眠的な報道が行われるのではないか。

背景にある疑念が強ければ強いほどマスコミの創作活動には力が入ることになるだろう。敗戦から出発しているうえに問題を情緒的に捉える傾向が強い日本人にはそれ以外の選択肢はないのかもしれない。

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