8,600人と考え議論する、変化する国際情勢と日本の行方

「安全」という贅沢について考える ニュー・オーリンズのフレンチ・クオーターで10名が亡くなるカーアタック

Xで投稿をシェア

どうやらアメリカ市民・退役軍人の犯行であり単独犯ではなかったようである。

昨日のABCニュース(アメリカの大晦日にあたる)ではニューヨーク市のカウントダウンの準備が放送されていた。検問が作られていて参加希望社たちは金属探知などを受けないと中にはいれない。ABCニュースはこれを「当局の準備は万端である」と好意的に伝えていた。

ルイジアナ州ニュー・オーリンズのクレンチクォーターに車が突っ込む事故があった。10名が亡くなったそうだ。射殺された容疑者はシャムスド・ディン・ジャバールと特定されたが動機などはわかっていない。厳重な警戒は行われていたものの安全柵が機能していなかったそうだ。

このニュースを通じて日本では当たり前の「人混み」が先進国では贅沢品になっていることがわかる。

Follow on LinkedIn

コンテンツのリクエストや誤字脱字の報告はこちらまで

|サイトトップ| |国内政治| |国際| |経済|






BBCの日本語記事によると当時フレンチ・クオーターは警官などが出て厳重に警備が行われていたそうだが、容疑者はそれを迂回して有名観光地に突っ込んでいった。容疑者はアサルトライフルのようなものを持って外に出ようとしたところで警官たちと撃ち合いになり、その場で射殺されたという。周辺は新年に向けたお祭り騒ぎが行われており銃撃の音と騒音は区別できなかったそうだ。

その後、容疑者はシャムスド・ディン・ジャバールと特定された。ABCCBSの記事を読んでみた。ABCの記事を読むとかなりショッキングなことが書かれている。

まず車内からはISISとのつながりを示す旗が出てきた。

It appears that the truck the suspect rented was spotted in Texas on Tuesday, but it was not clear if the suspect was in the vehicle at the time, according to a source citing preliminary law enforcement information. An ISIS flag along with weapons were found in the vehicle and investigators were trying to assess the suspect’s connection to terror groups, the FBI said.

New Orleans attack updates: Suspect identified as Army veteran, did not act alone(ABC News)

しかしタイトルが「New Orleans attack updates: Suspect identified as Army veteran, did not act alone」となっている。つまり退役陸軍軍人でなおかつ単独犯ではないということだ。当初のタイトルは「アメリカ市民である」とされていたためその後情報が次第にアップデートされていることがわかる。

記事は同時に「セキュリティボラードは機能していなかった」としている。金属製の車止めを意味するようだ。ニューヨーク市のカウントダウンの準備からわかるように、アメリカで人混みが安全に成り立つためには周囲を安全柵などで囲み拳銃をすべて取り上げなければならないということがわかる。CBSニュースによるとニュー・オーリンズ市もリスクを認識していてフレンチ・クオーターの安全装置をアップデートしようとしていたようだ。だが、このときはたまたまそれが機能していなかったということになるだろう。

The city had been in the process of upgrading the pedestrian bollard system in the French Quarter to modernize and bolster protections, with work ongoing through February. 

At least 10 killed on Bourbon Street in New Orleans after driver intentionally slams truck into crowd; dozens injured(CBS)

日本でもハロウィンや新年の渋谷や新宿の若者たちの行動が問題視されることがある。しかし日本の場合に問題になるのはせいぜい交通障害、若者の飲酒、ゴミの問題などである。つまり先進国のスタンダードで言えば渋谷や新宿の状況というのは奇跡に近いものといえる。だからこそ大勢の観光客を魅了することになる。都市の安全そのものが「観光資源」となっていることがわかると同時に、そんな贅沢が許される先進国はもう多くないということもわかる。

コンテンツのリクエストや誤字脱字の報告はこちらまで

Xで投稿をシェア


Comments

“「安全」という贅沢について考える ニュー・オーリンズのフレンチ・クオーターで10名が亡くなるカーアタック” への7件のフィードバック

  1. 細長の野望のアバター
    細長の野望

    「人混み」で事件と言うと、かつて日本でも「秋葉原通り魔事件」があったことを思い出しました。当時は氷河期世代が引き起こした事件と言う印象や、トヨタ自動車の期間工で働いていたことが事件初期には報道されていたが、すぐに言わなくなってしまい、「あぁ…。」と思っていた記憶があります。
    現在、日本の現状を見ると、あの事件のようなことが再び起こると思います。そして、犯人やその家族に対して誹謗中傷が起こり、事件が起きた背景に対して深堀されることはないのでしょう。

    1. アメリカでは事件が起こると「車止め」を整備すべきだという議論になります。そういえば秋葉原の事件の場合はどうだったのだろうと思ったのですが、しばらく歩行者天国が中止されていたんですね。
      https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/2993/

      日本では急速に経済が悪化してあのような事件が起きているわけですが、その後停滞に慣れてしまったところがありますよね。

      1. 細長の野望のアバター
        細長の野望

        「秋葉原通り魔事件」では歩行者天国が中止するし、「京都アニメーション放火殺人事件」ではガソリン販売に規制をかけていましたね。こういう表面的な対策も必要だとは思いますが、結局のところ根本的なところを何とかしないといけないでしょうね。表面的な対策だけでは、無差別事件を少しだけ抑制する効果しかなく、根本的なところを何とかできれば、さらに多くの人にとって良い効果をもたらすはずです(かなり難しいことなのでしょうが)。

        1. 根本的なところで「何かをする」ためには、コミュニティを再構築するしかなく、コミュニティを再構築するためには「一つひとつ」石を積み上げないといけないということですよね。で、具体的には「人の話を理解する時間を取る=聞き取る」から始めないといけない。
          ところが、これをやっている人が極めて少ないように思えます。Quoraの政治議論とかだと自分の主張を一方的に述べる人が多く、逆に「これはこういう意味なんでしょうか?」と聞いてくる人は殆どいません。

          ただこのままではいけないと考える人は増えているようなので、次第に(気がついた人から)新しいコミュニティが作られてゆくんじゃないですかね。

      2. 匿名を希望のアバター
        匿名を希望

        京都アニメーション放火事件の頃に後から続く様なのが出てこないのは
        ネットが抑止力になってるからだという声が時々聞かれたりしますね、
        特定のネットサービスが終わったら予備軍が野に放たれるとかって感じで。
        ただ以前無差別殺傷して自殺した人みたいにそれすら無かったりそれで
        すら抑えられなくなった人が出てきたらその限りではありませんし、ネッ
        トで差別や誹謗中傷をし続けて発散してても不平不満の慢性化にしかなら
        ないでしょうから限界が来るのも時間の問題な気はします。

        1. >特定のネットサービスが終わったら予備軍が野に放たれるとかって感じで。
          そうなんですね。それは怖い。Xとかもなくなったら不安になる人は多いのかも。

    2. 匿名を希望のアバター
      匿名を希望

      秋葉原連続殺傷に関してはその後すぐ事件の根源が毒親の両親(主に母親)の
      養育にあった事が明らかになってましたね。しかもその後犯人の弟を自殺する
      にまで至らせたと言う(当時の報道も原因の1つですが以後も両親がほぼ変わらなかった為なのが主な原因です)。
      似た様な家庭があればまた続々と出てくるでしょうね、現に京都アニメーショ
      ン放火の犯人の自殺(事件とは無関係)した父親も相当問題があった様ですし。