ロシアのウクライナ侵攻が国際問題に発展しそうだ。トランプ大統領になり支援が撤回されることを恐れるウクライナはロシア側への攻撃を強めている。そのターゲットになっている地域が南部のロストフ州とチェチェン共和国だ。無人ドローンによる攻撃が激化している。事故当日はロストフ州側に攻撃がありチェチェン共和国も厳戒態勢だった。折しも霧が立ち込めておりGPSもジャミングされていたようだ。結果的にロシア側の過剰防衛だった可能性があるが関係悪化を恐れるアゼルバイジャンはロシアの姿勢を批判できない。ロシア側もウクライナに追い込まれている弱気なところは見せたくないようだ。
BBCが「アゼルバイジャン機墜落、「ロシア防空システムが原因」との指摘 「仮説」広めないようロシアは警告」と伝えるようにロシア側は「仮説」を広めないように警告している。
トルコが支援しているアゼルバイジャンもロシアとの関係を悪化させたくないが「バードストライクである」というロシア側の主張は受け入れない考え。アゼルバイジャンのナビエフ運輸相は27日、旅客機が外部から攻撃を受けたと表明したがロシアの名前は出さなかった。
当日はロストフ州にウクライナからの攻撃があったとされる。しかしチェチェン共和国側にもたびたびドローンが襲来しており過去に被害も出ていた。ドローンと言ってもミニヘリコプターのようなものではなく小型飛行機タイプのものがいきなり降ってくるという過激なもののようだ。前回もご紹介した映像を再びご紹介しておく。
AFPが伝えるところによると当日はGPSが混乱していた。この混乱がロシア側によるものなのか(ドローンの操縦を妨害できる)撹乱を狙ったウクライナ側のものなのかはわからない。霧も立ち込めていたということで目視による管制や迎撃は不可能だったことだろう。
BBCの記事を合わせると次のようになる。
アゼルバイジャン航空の飛行機はグロズヌイ上空まで到達していたがなかなか空港に降りられなかった。三回目のチャレンジのときに何かが起きたようだ。ただしこれは乗客の記憶に基づいた証言。
生存乗客の1人はロシアのテレビ局に対し、パイロットは濃霧に見舞われたグロズヌイ上空で、2度着陸を試みたが、「3度目に何かが爆発した。(中略)機体の外板の一部が吹き飛んだ」と語った。
アゼルバイジャン機墜落、「ロシア防空システムが原因」との指摘 「仮説」広めないようロシアは警告(BBC)
アゼルバイジャン航空はロシアのその他の空港への着陸を求めたが応じてもらえなかったという話がある。結果的に459キロメートル離れたカスピ海対岸のカザフスタンに避難したが無事に着陸することは出来なかった。
これらの話を総合すると「そもそもなぜこの地域を飛行禁止にしなかったのか」とか「着陸が予定される航空機に対して警告しなかったのか」という疑問が湧く。BBCはこれらを疑問視しているが、そもそも前提として「ロシアが迎撃した」と認めない限りは質問すら出来ない状況。
当初アゼルバイジャン航空は「霧が濃かったためにカザフスタン側に避難した」というかなり無理な説明をしていた。運輸大臣も外部から攻撃されたとは言っているがロシアが迎撃したとは言っていない。アゼルバイジャンは民族的にトルコと近くロシアとの関係は必ずしもよくないという印象があるが、それでもロシア側に対する怯えのようなものがあるのだと感じる。
いずれにせよ追い込まれたウクライナ側が少ない資源を使って過激な攻撃を行っていることは間違いがなく、ロシア南部の空の安全は大きく損なわれている。トランプ次期大統領は「ロシア・ウクライナの戦争をすぐに終わらせる」と言っているが、おそらく「戦争が終わった」としてもこうした混乱は続くのだろう。
だだしロシア側が混乱を認めるとウクライナの作戦が成功していることになる。プーチン大統領の威厳を保つためにも「事故」は認められないのではないか。