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やっぱり行かなければ良かった 岩屋毅外務大臣が歴史認識で苦しい言い訳

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岩屋毅外務大臣が歴史認識で苦しい言い訳をしている。中国側は今回の成果として「日本側は植民地支配を謝罪した談話を継承している」と宣言した。当初、日本政府はこの箇所に触れておらず、あとになって「村山談話だけに言及したわけではない」と苦しい言い訳をしている。

中国が日本と仲良くするつもりがないということがわかったという成果はあったのかもしれないが、果たして政治的リスクを取ってまで中国との関係を修復すべきだったのかには疑問も残る。

ただ、この文章は「石破政権は媚中であり本物の自民党政権ではない」と主張するつもりはなく「保守」の人たちにとっては苦い結論に落とすつもりなので、読みたくない人は読まない方が良いだろう。

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時事通信は「岩屋氏、中国の発表「不正確」 外相会談の歴史発言」というタイトルを付けている。個人的には日中歴史認識問題にあまり興味がない。Quoraで保守と中国寄りの人たちの不毛な議論をさんざんモデレーションしてきたからだ。数年間議論を見守ってきたがこの議論から得られるものはなにもないと感じている。このため、一体記事が何を言っているのかさっぱりわからなかった。

要するに中国は自分たちの都合のいいところ(村山談話)だけを切り取ってあとは無視したという話のようだ。

中国側は、歴史問題について岩屋氏が「村山談話の明確な立場を堅持し、深い反省と心からの謝罪を表明する」と述べた、と発表していた。

岩屋氏、中国の発表「不正確」 外相会談の歴史発言(時事通信)

戦後50年の1995年に閣議決定された村山富市首相談話は、植民地支配への「反省とおわび」を表明した。岩屋氏は会見で、日中外相会談では「石破内閣は村山談話、安倍(晋三首相)談話を含む、これまでの首相談話を引き継ぐと説明した」と述べ、村山談話のみに言及したわけではないと強調した。

岩屋氏、中国の発表「不正確」 外相会談の歴史発言(時事通信)

日本のEEZに「しれっと」ブイを置いて平然としているのと同じように、歴史認識を「しれっと」書き換えようとしたということになる。とても日本と仲良くしたい国の態度とは思えない。「中国とは距離をおいて付き合うべきだ」という人は多い。敵対・断絶しろとまでは言わないが、このような中国の態度を見ると「まあ、そう言われるのもやむを得ない」と感じるところである。

だが、日本政府の態度のほうが目に余る。最近は検索をすると関連記事が見つかる。実は当初日本側は全くこの箇所について触れていなかったそうだ。例によってこれを蒸し返したのは産経新聞だ。「日中外相会談で岩屋外相が「村山談話」に言及と中国側発表 日本側発表文には記載なし」と記事にしている。

ネット保守と言われる人たちは日本は先進国中国は「偽物」の発展を遂げたと思い込みたい。しかしながら一部の保守の人たちは未だに自民党支持をやめられない。こうした苦々しいアンビバレントな感情があり石破政権の対中政策を監視したがるのかもしれない。

さらに経済浮揚政策を持たず「これから新しい経済政策を議論します」といっている石破政権は中国の富裕層に頼って地方の産業をなんとか活性化させたいという苦しい事情を抱えているのだろう。国内の支持基盤からの反発は耳に届いているはずだが王毅外務大臣を2月に日本に来日させることにしている。

さらにいえばアベノミクスを通じて日本に低成長を定着させたのも自民党支持者の人たちである。地方の産業空洞化は加速し残っているのは観光資源しかないという地域も多いだろう。

仮に日本の経済がそれなりに再成長していれば「しれっと」中国に依存する必要などなかった。またアメリカが自国優先主義に走るなかでアメリカ依存からの脱却も同時並行的に進めなければならない。「中国と仲良くすべきだ」と言う人達にネガティブなコメントを投げつけて憂さを晴らすばかりでは眼の前にある現実の問題を解決する事はできない。

そもそも村山政権は自民党が社会党に頼って出来た政権だった。その後も談話の否定はせず軌道修正をして「徐々になかったこと」にしようとしてきたという歴史がある。石破政権は経済政策においてもアベノミクスからの軌道修正を図っているが党内外からの批判を恐れて「安倍岸田路線を継承する」としている。疑似政権交代の限界が露呈した形だが、変化を嫌う日本の有権者(これは保守もリベラルもだが)は概ねこの疑似政権交代を容認してきた。

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