コメントによるフィードバックが少ないため当ブログを読んでいる人の生活実感はよくわからないがQuoraのスペースには「生活実感が徐々に苦しくなっている」という人が多い。時事通信の報道によると78%の人たちが先行きに不安を感じているようだが、この調査と合致する。Quoraのほうがコメントが入れやすいようなのでご意見のある人はQuoraのスペースをフォローしてもらったほうが良いかもしれない。
また、政策議論が錯綜し複雑化する中でソリューションが得られないという苛立ちを感じる人も多いようだ。とはいえ「苦しくなっている」と言われると「それはお前の努力が足りないからだ」と押さえつけられることも多いようでなかなか共有化も進まない。独特の意見の言いにくさがあるようだ。
そんななか「今から経済政策を作りますからどうぞご期待ください」と言うメッセージがどのように響くのかと考えた。「いい加減にしろ」と思うのではないか。
時事通信が「石破政権の経済モデルを議論 新しい資本主義を継承―林官房長官」という記事を出している。安倍政権や岸田政権を否定できない石破政権だが今の政治路線が不評だと言うこともわかっている。このため「新しい何か」を作るという。
- 蕎麦屋の出前じゃないんだから
と言う気がする。新しいモデルは「最低賃金の強制的な引き上げ」や「地方への分配」などになるのではないかと言われている。総理大臣は鳥取県選出であり腹心の経済再生担当大臣も鳥取県選出だ。
自民党の問題点とはなんだろうか。
小野寺五典政調会長の発言から、自民党は分配型政党だと言うことがわかってきた。小野寺氏は国民を4割の納税者と6割の非納税者に分けたうえで(これが統計的に正しい数字なのかは証明されていないものの)自民党は非納税者のための政党だと言っている。数としては非納税者の人が多いため政権を維持するためには最適戦略となると考えているのだろう。
ところが納税者はこれを「働いたら負け」「労働者が報われない社会」と考えているようだ。
自民党が分配型政党であることは間違いがない。問題はおそらくその分配政策が支える側のモチベーションを削ってゆく点にあるのだろう。経済のパイが増えないためどうしてもそうなる。誰かに分配するためには誰かに泣いてもらわなければならない。
自民党は「支える側は何も言わずにいくらでも税負担をしてくれる」という前提をおいている。黙って搾り取られる家畜のような存在だとみなされているわけである。
この分配政党を支えてきたのが情報感度が鈍くデジタルネイティブでもないという旧来の安倍支持者だった。安倍晋三総理大臣は日本に古くから根づいているリベラルや左派に対する嫌悪を利用して自民党の支持基盤としてきた。いわゆるレイトマジョリティやラガードと呼ばれる人たちが自民党を支えてきたのではないか。
しかしこの戦略はさすがに賞味期限切れである。旧来の支持者たちは徐々に高齢化し、情報取得した「新しい保守」に置き換わろうとしている。
新しい保守の人たちは政治構造を自分たちなりに吟味する傾向にあり「単に搾取されるだけの存在」からの脱却ができるかもしれない。維新や国民民主党などがこの受け皿になりつつあるようだが、お互いの幹部たちの間に意地の張り合いがありなかなか協力が難しいようだ。
政治とカネの問題でもこの「分配志向」を見て取ることができる。日本の政治にお金がかかるのは地方議員や支援者たちに対する心配りがあるからだ。「集票のためには武器になるお金」が必要になる。支出が完全に公開されていないため、相手を出し抜いて支出したほうが勝つという状況が生まれている。つまり密造銃を隠し持っていた人のほうが有利になるというゲームだ。ここから脱却するためにはこれまでの使用目的を公開する「武装解除」が必要だが自民党議員たちは自分たちでこれを成し遂げることが出来ない。
これまでなんとなく自民党を支えてきた高齢者が政治とカネの問題で離反し自ら情報を取ることができる現役世代は自民党を自分たちの利益代表とみなさなくなっている。しかし自民党はなぜ自分たちが離反されているかに気がついていないようだ。
政治とカネの問題さえ解決すれば「あとは支援者にばらまくだけ」と考える自民党は不記載額7億円相当の寄付を検討しているという。しかし支出先は未定のまま。また冒頭で紹介したように「今からみんながあっと驚く経済政策を作ります」と言っている。
自民党は生活習慣病のように身に着けたバラマキ体質から脱却することが出来ない。麻薬中毒に例えるか太っている人が甘いものをやめられないことに例えるのかは迷うところだが、企業団体献金は温存したい考えで「第三者機関を作ればいいのではないか」とか「有識者聴取をして時間を稼げばいいのではないか」などと考えているようだ。
もともと自民党は派閥抗争によってお金がかかりすぎる政治を是としていなかった。しかし自分たちでは問題が解決できなかったため下野したあとで細川・河野会談が行われ税金を原資とした政党助成金という制度を作り企業団体献金と置き換えようとしてきた。現在の状態は「二重取り」になる。
福島氏によると、河野氏は「企業・団体献金をやらないために政党交付金を導入した。(当時の)細川護煕首相もそう思っていた」と強調。首相の認識に関しては「その時に石破さんは(離党して)自民党にいなかったはずだから、分からないのだろう」と述べたという。
企業献金「禁止されないのは問題」 河野元衆院議長が講演(時事通信)
確かに政治とカネの問題が解決しても即座に生活者への還元につながるとは言えないため「支える側」の関心は薄い。しかし自民党が「分配(人によってはバラマキ)体質依存」から脱却できないと、結果的に物言わぬ勤労者が搾取されるという構造が温存されることになるのも事実だ。
これが改善されるかどうかはひとえに自民党を支えてきた「保守」と呼ばれる人たちがどう置き換わってゆくかにかかっているのではないかと思う。
Comments
“「これから新しい経済政策を議論します」と石破政権” への2件のフィードバック
>コメントによるフィードバックが少ないため当ブログを読んでいる人の生活実感はよくわからない
76年生まれの国家公務員です。
仕事から帰って毎日必ず読んでいます。今回のテーマに関してではなく、いつも勉強になる文章を投稿いただいていることに感謝の気持ちを伝えたくコメントしました。これからも是非継続していただきたいです。応援しています。頑張ってください。
過分なご支援の言葉を賜り恐縮です。コメントありがとうございました。