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私大好きトランプ次期大統領が石破総理に贈ったのは写真集だった

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安倍昭恵さんと面会したトランプ次期大統領は石破茂総理に本を贈ったことになっているが政府はどんな本だったのかを公開していない。読売新聞が関係者に聞いたところ「写真集」だったそうだ。いかにも自己顕示欲が強い自己愛型の人格という気がする。そのトランプ次期大統領がアメリカの議会政治を早くも大混乱に落とし入れている。残り半日弱で連邦政府が閉鎖される。

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読売新聞が伝えるところによるとトランプ氏が贈ったのは写真集でPEACEと署名されていたそうだ。いかにも自己愛が強いトランプ氏らしい自己顕示欲満載で一方的な贈り物である。

トランプ氏はノーベル平和賞を狙っていると言われており「平和の使者」としての自分を売り込みたいのだろう。石破総理はトランプ氏就任前に面会するものと言われているがこのときに日本の要望を伝えるのはNG行為である。ひたすら平和の使者としてのトランプ氏を褒め称えなければならない。このときには何らかの貢献を自発的に申し述べる必要があるがおそらくトランプ氏は一方的な要求を付け加えるだろう。これを笑って受け流す度量が石破総理には求められる。

そもそも双方向の会話など望んでいない人なのだ。

そんなトランプ氏が議会を混乱させている。トランプ氏の名誉欲を満たすためには多額の資金が必要だ。このときに邪魔になるのが債務上限である。ただし面倒くさいことはやりたくないためにバイデン政権下で問題を処理させようとしている。このため連邦政府予算を人質に取り「債務上限が撤廃されない限り予算を認めるべきではない」と主張した。これをSNSで一方的に発表したが「具体的にどうするべきか」は指示しなかった。

単に一方的な思い込みを伝えて終わりになっている。

ジョンソン下院議長は慌ててトランプ氏の意向に沿った予算案をまとめた。民主党は当然反対するが共和党保守派の中からも造反者が出て大混乱している。

つなぎ予算案に反対票を投じた共和党のロイ議員は、「財政責任を掲げる党があつかましくも国民に対し、これが財政的に責任のあるものですと主張する姿勢には心底うんざりする」と切り捨てた。

トランプ氏支持の新たなつなぎ予算案、下院で否決 政府閉鎖迫る(REUTERS)

先日Quoraでソ連が崩壊した理由を書いた。

ソ連の企業は国営企業であり潰れる心配がない。このためソフトな予算制約という状況が生まれる。イノベーションが阻害され日用品が作られなくなった。これを改善するためにペレストロイカと呼ばれる改革運動がおきた。結果的に中央統制と自由主義が秩序なく混じり合う状態となりソ連は崩壊する。

中国も同じ頃に資本主義を導入するのだが香港というモデルケースがあった。政治的には統制を緩めず特区を作って漸次的に資本主義だけを導入した。このため中国は資本主義の導入に成功している。

トランプ大統領について「好き嫌い」はあるだろうが構造的に問題を見るとこの好き嫌い問題を回避して問題が分析できる。トランプ氏は自由主義を一部残したままで(企業・富裕層に対する自由主義と文化戦争での州の決済権は容認する)大統領権限を強化し中央からの統制を効かせようとしているようだ。このときに「特区を作る」ような管理体制は作らないので、結果的に連邦全体が混乱することになる。あとはストレステストに耐えられるかが問題になるだろう。耐えられなければ連邦は崩壊する。

これがよく現れているのが関税問題である。アメリカ産の原油をもっと買わなければヨーロッパに関税をかけると言っている。だが実際にアメリカの企業は設備投資を行って原油の供給を増やすつもりはなくすでにヨーロッパはアメリカの上得意になっている。つまり、自由主義経済下で企業や国家に何かを命令してもそれがアメリカの貿易赤字の解消に役立つことはないものと見られる。

ただし国内政治が混乱すればするほどトランプ次期大統領はヨーロッパや日本に対する理不尽な圧力を高めることになることは容易に予想できる。そのコミュニケーションはおそらく一方的な通告になるだろう。

すでに高い関税問題はカナダで問題になりつつある。

国境政策に「後ろ向き」なトルドー首相を「カナダ知事」と揶揄しカナダ国民の対米感情が悪化しつつあるとBBCが伝えている。この話はカナダでも政治問題化している。総選挙を控えて低所得者を繋ぎ止めたいトルドー首相と高い関税に備えるべきだとするフリーランド財務大臣の間で政治的見解の違いが露呈しフリーランド氏が辞職する騒ぎになった。

自己愛に満ちた性格と部分的な独裁の導入はアメリカの政治と経済を混乱させるだけでなく同盟国の政治も動揺させそれぞれの国で国内問題化する可能性があるということだ。

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