モスクワでウクライナの情報機関が高位軍人を殺害した。ロシア側はテロと断定し操作を行っている。実行犯はウズベク人だったがウクライナの情報機関も関与を仄めかしているようだ。
「戦争は対岸の火事」と思っていたモスクワ市民は今回の事件にかなり不安を感じるのではないかと思う。街中には乗り捨てられた電動キックボードが多数あり、爆弾はその中に仕込まれていた。プーチン大統領はトランプ次期大統領とウクライナに関する交渉をしても良いと考えているようだ。ウクライナの行動は却って過激化するかもしれない。
モスクワで放射線・生物・化学兵器の防御部隊を率いていた中将が殺害された。ウクライナ側はかねてから化学兵器の使用は戦争犯罪だと訴えてきたことから「おそらく報復であろう」ということは容易に想像できた。ウクライナの情報機関も声明は出していないようだが関与をほのめかす発言はますます大胆なものになっているそうだ。
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これまでモスクワの市民はプーチン大統領に対してさほど反対運動を行ってこなかった。言論活動が弾圧されているという事情もあるのだろうが、モスクワ市民にとって見れば所詮遠くで行われている戦争であり自分たちには関係がないという気持ちもあったことだろう。
しかし今回のテロ攻撃は街中に溢れている打ち捨てられた電動キックボードに仕掛けられていた爆弾が使われている。つまり自分たちの身の回りでいつ事故が起きてもおかしくないということになる。
BBCはウクライナの情報当局はこれまでも「関与をほのめかす」事が多く、その手口は大胆になってきているとしている。ただし「ロシアの内部闘争による」と考える人もいるという。ウクライナの敵意が街中に潜んでいることを匂わせつつ曖昧さも排除しないというやり方は市民に恐怖を与えるうえではかなり大きな効果を生み出すだろう。
プーチン大統領はトランプ次期大統領と交渉ができると考えている。トランプ次期大統領も自分が戦争を終わらせたと主張したい。しかしながら終戦はウクライナの領土的犠牲が前提になっておりしたがってウクライナの反発はより強硬なものになることが予想される。プーチン大統領はチェチェン紛争を解決し国内のテロを解決したことが支持率向上のきっかけになっているが皮肉なことにウクライナ問題の解決が新しい不安定要素になっている。
ロシアの政治的内紛の可能性を排除できないことなのかもしれない。ウクライナ側がモスクワを動揺させるためにそう言っているだけなのかもしれないが「そうではない」とも断定できない。プーチン大統領は敵が外にいるのか中にいるのかわからないという厄介な状況を自ら招き寄せてしまったと言えるだろう。
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