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朴槿恵政権末期の状況を繰り返す韓国の保守政党「国民の力」

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尹錫悦大統領の弾劾裁判が始まる。事件としては一山越えた印象なので人々は次第に興味を失ってゆくだろうが、個人的な興味から報道を見ている。

本来は尹錫悦大統領のと一部側近の個人的な問題だったはずだが、なぜか与党「国民の力」が崩壊寸前になっている。韓東勳氏の解任騒動に発展した。

「どうしてそうなる?」とは思うが実に不思議な国だ。

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まず本体から整理する。

尹錫悦大統領は憲法裁判所で戦う意向を示している。検察が出頭を要請したようだが大統領府はこれを拒否した。内乱罪で拘束されることを恐れているのだろう。ただし憲法裁判所の判事は現在6名しかいない。9名の定員のうち少なくとも7名がいないと裁判ができない仕組みだそうだ。今後6人で話し合うか判事を新たに専任するかは不透明なのだそうだ。朴槿恵大統領の弾劾裁判は汚職を証明する必要があったが今回は衆人環視のもとで事件が進行しており裁判自体はそれほど複雑化しないものと見られている。つまりいったん裁判さえ始まってしまえば判決が出るまでには時間がかからないだろうと見られている。

韓悳洙国務総理(大統領代行)は低姿勢だ。野党「共に民主党」が要望した協議体に同意した。限定予算しか認められていない政府はこの提案に乗りたいが「国民の力」が反発している。つまりこのままでは多数野党・首相・政府の間に協議体が作られて「国民の力」が政策意思決定の蚊帳の外に置かれることになる。

ただし「国民の力」はそれどころではない。

韓東勳氏は弾劾に対してあやふやな態度を取り続けたため執行部から反発された。執行部は全員辞任してしまったため韓東勳体制は崩壊したそうだ。現在韓東勳氏が代表を辞めるか辞めないかが争点になっているそうだ。

保守系議員たちは朴槿恵時代に混乱し分裂した苦い経験を持つ。その後紆余曲折を経て「国民の力」を成立させるのだが所詮は大統領権限を背景にした選挙共同体・分配政党に過ぎなかったということなのかもしれない。

尹錫悦大統領は「とりあえずなんとかなるだろう」と非常戒厳令を発令した。韓東勳代表も「とりあえずどうにかなるだろう」と考えて個人的に権限を委譲されたと発言してみせた。野党も「とにかく弾劾だ」とばかりに憲法裁判所の判事が揃っていないのに弾劾決議を提出。憲法の規定では180日以内に結果を出さなければいけないが実際に裁判が始められるのかは微妙な情勢だ。

国民情緒法が法律や憲法の上に来るとされることが多い韓国だが「빨리빨리(早く早く)精神」というものもありとにかく落ち着きがない印象である。これが韓国の民主主義に一種異様なダイナミズムと興奮状態を生み出している。

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