非常戒厳令に揺れる韓国で無事に来年度予算が決まり暫定予算(準予算)が回避された。ただし野党「共に民主党」が勝手に押し付けた縮小予算のため政府は反発している。
また、金龍顕(キム・ヨンヒョン)前国防部長官が共謀罪で逮捕された。共謀がいるということは首謀者がいるということになる。首謀者とされる尹錫悦大統領には出国禁止命令がでている。
このように世論時計と捜査時計がチクタクと時を刻んでおり与党国民の力は追い込まれている。与党は野党の大統領候補の公民権停止を待ってから大統領選挙を実施したい考えのため、混乱はしばらく続きそうだ。
韓国で新しい予算が可決された。韓国の会計年度は1月から12月までであり「暫定予算は避けられない」とされていたため、まずは「朗報」といえそうだ。しかし、与党と相談することなく野党が勝手に予算を決めてしまい政府から反発の声が出ているという。
またウォンの低迷もしばらく続きそうだ。
政権を持っていない野党が予算を勝手に押し付けるなど「あってはならないこと」のように思えるのだが、もはやそんなことはどうでもいい事になりつつある。同一国会一事不再理の原則があるが野党側は「弾劾が通るまで何度も法案を出す」と息巻いている。また今回の事件を裁くために政府が管理しない捜査当局を作るべきだとも主張している。もはや何でもありの状況だ。
正常性バイアスの強い日本では「尹錫悦大統領のご乱心」という評価が広がっているが、実際には「局地戦」で朝鮮有事を作り与党を含む政治家を拘束して大統領府が事態を掌握しようとしたという見方も定着しつつある。まさに官製クーデター(内乱)だが、軍が協力しなかったことにより成功しなかったに過ぎない。
逮捕するよう命じられた政治家には、禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長、最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表、朴賛大(パク・チャンデ)院内代表、金民錫(キム・ミンソク)最高議員、「祖国革新党」の曺国(チョ・グク)代表のほか、リベラル寄りとされるジャーナリストや、与党「国民の力」の韓東勲(ハン・ドンフン)代表も含まれていたということです。
「非常戒厳」から1週間 数々の新事実明らかに(KBS)
こうした混乱をよそに与野党の間で次の政権に向けた駆け引きが始まっている。
李在明「共に民主党」代表には11月に二審有罪判決がでている。最高裁審理に半年かかると言われているそうなので4月から5月ごろに公職停止になる可能性が取り沙汰されている。当然共に民主党はそれまでの間に大統領選挙を行い李在明氏のセルフ恩赦を実現したい。
国民の力は選挙を5月以降に引き伸ばし「セルフ恩赦」を阻止したい考えだ。現在3月失職5月大統領選挙という案がでている。時事通信は他にも案があると伝えているが世論と内乱捜査という2つの時計がチクタクと音を立てている状態であり長期間の引き伸ばしは難しいという判断なのだろう。
そして、「3月の退陣後、5月に大統領選挙」または、「4月の退陣後、6月に大統領選挙」の2つのシナリオが盛り込まれたロードマップの草案が、10日、韓東勲(ハン・ドンフン)代表に報告されたということです。
与党「来年上半期に大統領選挙」 政局収拾のロードマップで(KBS)
予算と権力の空白の内、予算は確定したが政府の意向に沿ったものとは言えず半年程度は混乱が続くことになりそうだ。権力の空白については未だに収拾がついていない。アメリカ合衆国側は「カウンターパートは大統領」と宣言したようだが、内乱容疑の首謀者であるという容疑がかけられ出国禁止命令もでている。韓国が「普通の国」であればよいのだが朝鮮戦争は休戦状態に過ぎず北朝鮮側は長年の統一政策を放棄している。この半年の間に「有事」が起きないことを願うばかりである。