韓国の戒厳令騒ぎが安物の韓流ドラマのような展開になってきた。主役は韓東勳「国民の力」代表で悪役は国防部長官だ。韓東勳氏はかつての上司である尹錫悦氏を庇いたいが庇い立てできる根拠が見つからない。国民の力の内部でも意見が割れており事態の収拾ができないまま決議期限の72時間が迫っている。
昨日は韓東勳氏が前言を撤回し弾劾に賛成したのではないかとする報道が出て一時騒然となった。結果的に国民の力はポジションを変えていないと発表しているそうだ。
今回の騒ぎで韓東勳氏は自身も拘束されそうになっている。かつて上司だった尹錫悦大統領に経緯を聞いたそうだが「戒厳司令部が勝手に判断したのだろう」と返されたそうだ。ただし戒厳司令は「突然命令を渡されて何がなんだかわからなかった」と証言している。
国民の力では協議が続いているが結論は出なかった。弾劾は72時間以内に結論を出す必要があり政党として議事に参加するかどうかが最大の争点となっている。
おそらく韓東勳代表を最も悩ませているのは高校の同窓生3人だけで協議したという報道だろう。金龍顕国防部長官は尹錫悦大統領の1年先輩だそうだ。
軍隊はほとんど何も知らされていなかった。国務総理を始め内閣のメンバーは直前に知らされて大統領を諌めたものの聞く耳を持たなかったとされる。最終決定は大統領の権限になり内閣は拒否権を持たない。
司令官でさえ知らされておらず「法律的な妥当性がよくわからない」と抵抗したが受け入れられなかった。憲法は国会への説明を求めているため国会の制圧は憲法違反・内乱に当たる可能性が高いにもかかわらずだ。
背景にある事情もわかってきた。尹錫悦大統領はもともと朴槿恵大統領への捜査で有名になった人だが文在寅政権では検察の捜査権限が縮小していた。今回の捜査でも検察の権限は限定的で警察が主に捜査することになっている。過去の人脈を通じて野党に抵抗しようと思っても思うようにことが進められず「だったら国会ごと粉砕してしまえ」と思いついた可能性がある。
内乱罪については、警察だけが捜査権限を持っているため、検察は、ソウル高等検察庁のトップを本部長とする、特別捜査本部を立ち上げ、直接捜査が可能な「職権濫用罪」の捜査を開始し、その後、「直接的な関連性がある犯罪」として内乱罪を捜査する計画です。
検察 尹大統領に対する内乱罪の捜査を開始(KBS)
また国防部長官も北朝鮮にかなり強い敵意を持った強硬派だった。
金氏は、尹氏の高校の1年先輩という間柄。陸軍出身で、対北朝鮮強硬派として知られる。「従北勢力を一挙に撲滅する」。尹氏は戒厳発表の談話の中で野党側を「北朝鮮に従う勢力」と断じ危機感をあらわにしていた。こうした発言には、金氏の影響力が反映されているという見方もある。
戒厳司令官も「知らなかった」 国防相ら少数で決定か―準備不足のまま暴走・韓国(時事通信)
大統領が野党に追い詰められてゆく中で従来の偏見が形となりこの2人のほかもう一人の同窓生が結びついた。極端な集団思考による視野狭窄を起こしたことになる。
韓東勳「国民の力」代表は自分が拘束対象者となりながらもかつての上司を助けたいという気持ちもあるのかも知れない。自身が代表を務める政党での意見もまとまりを欠いているがその中でどうにかして大統領から納得が行く説明を引き出そうとしたがその試みは失敗してしまった。
それどころか焦った大統領が議会に乗り込むのではないかという報道もあり議会は一時騒然となったそうだ。
韓流ドラマにありがちな濃密すぎる人間関係からくる愛憎劇といった様相だが、展開次第では大勢の死者や拘束車が出ていた可能性もある。
Comments
“まるで安物の韓流ドラマ 韓国の戒厳令は高校の同窓生3人だけで協議された可能性” への2件のフィードバック
選挙管理委員会にも軍が乗り込み一時的に占拠していたようです。先の総選挙での不正選挙疑惑を捜査するか判断するために軍を派遣したそうです。6時間で非常戒厳が解除されたとはいえかなり危険な展開になっていたんだなと感じました。
結果的に犠牲者がでなかっただけで市民に銃口が向けられたりしていますもんね。それにしても、高校の同窓生3人組は本気で従北勢力論を信じていたんですかね。