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トランプ次期大統領とメキシコ大統領が「関税」を巡りバトル

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トランプ次期大統領とメキシコのシェインバウム大統領が関税を巡り論争を起こしている。トランプ氏はおそらく本気で25%の関税をかけるつもりがないということがわかり好材料だが「意地の張り合い」から貿易戦争に発展しかねないリスクもはらんでいる。

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トランプ次期大統領が「メキシコとカナダに25%の関税をかける」と宣言し波紋が広がっている。当初「大げさに言っているだけ」と思われていたが「意外と本気だったのかも知れない」ということになった。

メキシコのシェインバウム大統領は「誠意ある対応ができる大人の政治」をしたかったのだろう。早速トランプ次期大統領に連絡を取った。しかしこのあとが問題だった。トランプ氏が一方的にメキシコが問題を認め対応を約束したと発表してしまったのだ。シェインバウム大統領はこれを否定した。曰く「メキシコはすでに問題に対応済みでありしたがって問題そのものが存在しない」と言っている。

このことは2つの示唆を与える。

メキシコへの高関税はアメリカ国民が負担することになる。テレビではすでに大々的にそう報道されている。アメリカの有権者の中には全くテレビを信頼しない人もいるが(気象情報すら疑ってかかる人がいるそうだ)さすがに普通のリテラシーを持っている人はインフレとトランプ氏の政策を結びつけるようになるだろう。

しかし今回の一連のトランプ氏の発言を見ていると「トランプ氏は関税を使ってメキシコから譲歩を引き出したかっただけ」ということがわかる。交渉の天才・ビジネスの天才であると宣伝したかったのだ。

トランプ次期大統領の政治目的は自己ブランドの強化なので「この線」に沿って話を合わせてあげればトランプ氏は満足する。トランプ第一次政権時代の安倍総理はこの線で対応していた。要するに一方的な自己宣伝を聞き流していたのだ。有名な逸話に「安倍総理大臣がトウモロコシを買うと言ってくれた」がある。日本側はこの話をスルーした。実際にそんな約束はなくトランプ大統領が勝手に盛り上がっていただけのようだ。

トランプ次期政権の財務長官候補は「トランプ氏は本来的には自由貿易主義者」だが「関税を交渉ツールとして利用している」と説明しており、これが市場に一定の安心材料として受け入れられている。アメリカの株価が再び好調さを取り戻しつつあるのはこのためだ。

しかしながらメキシコにはメキシコの事情がある。

カナダの政治家たちはアメリカの政治家たちと同等という意識がある。しかしメキシコはおそらく「一段下」に見られていると自覚している。このためメキシコの大統領ある程度強気の態度を見せなければ国内から大きな突き上げを受けるだろう。

国民再生運動を率いるシェインバウム氏はロペスオブラドール大統領の後継であり「ロペスオブラドール氏の影響」から脱するのに苦労してきた。男性から女性に代わることで「相手に舐められた」とは見られたくないはずだ。

トランプ次期大統領の一方的な宣伝によってメキシコの態度が硬化すれば誰のトクにもならない貿易戦争が実際に起きる可能性がある。結果的にメキシコの雇用は失われアメリカの有権者は物価高に苦しむことになる。

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