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私になにかあったらあんたもただじゃ済まない フィリピンで大統領と副大統領のバトルが勃発

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共同通信が「副大統領「殺し屋雇った」 フィリピン、大統領と対立」という短い記事を出している。フィリピンの副大統領が「大統領を暗殺する」と発言し物議を醸しているというニュースだ。大統領と副大統領の間に深刻な対立が起きているようだが、大統領と副大統領のやり取りというよりマフィア同士の抗争のように聞こえる。

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日本では共同通信が短く伝えているのみで何があったのかはよくわからない。政治家同士の言葉のやり取りというよりマフィア同士の抗争のように見える。

フィリピンのサラ・ドゥテルテ副大統領が23日未明のオンライン記者会見で殺し屋を雇ったとの趣旨の爆弾発言をし、自分が殺された場合にマルコス大統領らを殺すよう命じたと表明した。

副大統領「殺し屋雇った」 フィリピン、大統領と対立(共同通信)

検索したところCNNAPの記事が見つかった。英語圏ではそこそこ話題になっているようだ。APは対立の詳細について書いているが「何か色々とゴタゴタしているんだろうなあ」ということはわかるものの何が起きているのかはよくわからない。

またCNNにもAPにもこの騒ぎに国内が騒然としているというような情報は含まれていない。今後異なる情報が出てくるのかも知れないが政治家同士が勝手に揉めているという印象だ。

ボンボン・マルコス大統領は独裁者として知られたマルコス元大統領の子息。日本でもイメルダ夫人が大量の高級な靴を残して国外に逃亡したと話題になった。しかし、若者世代はマルコス時代を覚えておらずSNSで支持が広がったこともあり大統領に就任した。NHKは「支持率トップは”独裁者の息子” なぜ? フィリピン大統領選挙」という記事を出している。

一方のサラ・ドゥテルテ副大統領もドゥテルテ前大統領の娘。ドゥテルテ前大統領は超法規的な反乱勢力の取り締まりも厭わない大統領で国民の強い支持があった。しかし、マスコス独裁をきっかけに大統領の多選が禁止されたフィリピンでドゥテルテ氏は大統領選挙に出られなかった。選挙に出られないドゥテルテ大統領に代わりサラ・ドゥテルテ氏に期待が集まったことになる。

フィリピンの副大統領は大統領とは別に選ばれる。公的な役割はないそうだが、大統領が亡くなったときには後継の大統領になるという規定があるそうだ。つまりマルコス氏がなくなればドゥテルテ氏が大統領に昇格するということだ。

マルコス家とドゥテルテ家の間には亀裂が高まっている。ドゥテルテ氏はすでに内閣からは撤退しているが副大統領の地位は維持している。マルコス陣営側は副大統領府の予算を削り圧力を強めていたようだ。ただなぜ対立が起きているのか。つまりそもそものきっかけがよくわからない。

産経新聞(ソースは共同)はドゥテルテ大統領が逮捕される可能性を指摘している。身の安全を図りたいドゥテルテ前大統領は「マルコス氏はよくやっている」と主張し「サラ・ドゥテルテ氏は大統領になるべきではない」と声明を出した。「マルコス氏を追い落とす野心はない」と示そうとしたのだろう。裏返すとマルコス氏側は「このままサラ氏を放置すると取って代わられてしまう」と危機感を感じていたのかも知れない。

ドゥテルテ家には、前大統領が「麻薬戦争」で進めた容疑者の超法規的殺害を捜査する国際刑事裁判所(ICC)が準備中とされる前大統領らの逮捕状について、マルコス政権が執行を容認しかねないとの疑念が広がっていた。

ドゥテルテ前フィリピン大統領が現職を「優秀」と評価 長女出馬も否定、妥協図る(産経新聞)

日本でも斎藤元彦氏の再選に際して「倫理よりも正論(つまり既得権に盗まれていたものを取り戻す)が優先されるべきではないか」という素朴な庶民感情があり「確かにその通りだ」と言いたくなる。

同じようにフィリピンでも「法律より治安維持のほうが重要なのではないか?」という気持ちを持った人が多かったのかも知れない。だが、倫理を欠いた政治は誰も幸せにしない。結果的にフィリピンでは「私が殺されたらあんたたちもただでは済まない」という政治家同士の泥沼化が進行している。

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