大統領選挙の結果が判明するまで「凪」のはずだったイスラエル情勢が動いている。ガラント国防大臣が更迭されたようだ。後任はカッツ外務大臣となる。ガラント国防大臣はアメリカの政権と近くネタニヤフ首相とは距離があると見られていた。
何か変化があったことは間違いがないがそれがどのような影響を与えるのかは全く見えてこない。
イスラエルでは現在警察がネタニヤフ首相を捜査している。10月7日開戦後の動きがすべて捜査対象になっているようだ。アクシオスのバラク・ラビド記者は開戦直後の「リストづくりから始めよう」という投稿を紹介していた。原語はヘブライ語だが最近は機械翻訳で中身がわかる。
ただし、これはオンゴーイング(進行中)の事象に過ぎずネタニヤフ政権と戦争の行方にどの様な影響を与えるのかはわからない。あくまでも「経過観察案件」だ。少なくとも当初の「首相府が軍の情報を盗んだ」という問題は「首相府がリストを作って組織的に情報を盗み出そうとしていた」という問題に拡大しつつある。
ところがこの関連投稿にこのようなものを見つけた。
ガラント国防大臣が「クビになった=fire」という。程なくしてロイターが伝え事実ということがわかった。ロイターは「2人の間に溝が広がった」と書いているが、溝はもともと存在した。特にガラント氏は独断でホワイトハウスとコミュニケーションを取ることがあった。
だがそれでも彼らは付かず離れずの関係を保っていた。利害は対立するものの「お互いに利用できる何か」があったのだろう。それがなくなったためにネタニヤフ首相はガラント氏を切ったかあるいは逆にガラント氏が泥舟から逃げ出したということだ。
バイデン政権が終わりを迎えトランプ政権が誕生すれば、ネタニヤフ首相はガラント氏の人脈に頼る必要がなくなりガラント氏を切ってもいいということになる。
一方で警察の捜査がネタニヤフ首相に及べばネタニヤフ政権は瓦解する可能性がある。裁判所がネタニヤフ首相に不利な判断を下す可能性がある。この場合はガラント氏が政権にしがみつく理由がなくなるばかりか「巻き込まれ回避」のために閣外に出た方がトクということになる。
つまり前者に立てば「ネタニヤフ路線がさらに強化された」ことになり、後者に立てば「いよいよ瓦解する」ことになり、結論が全く異なってしまう。いずれにせよ何かが動きつつあることは間違いがないようだ。