ざっくり解説 時々深掘り

【ご意見募集】石破政権の新しいスター川上内閣官房参与について

Xで投稿をシェア

カテゴリー:

今日は行楽日和なので政治についての記事を読む人は少ないだろうと「流し気味」に記事をいくつか書いた。その後でXを見ると川上内閣官房参与という人に反発している記事をいくつか見つけた。

ただよくわからないところがあるのでQuoraかXでご意見をいただきたい。Quoraはスレッド形式になっているので議論が見やすいが会員登録が必要なのでXで@hidezumi宛に呟いていただくのが良いかも知れない。

Follow on LinkedIn

コンテンツのリクエストや誤字脱字の報告はこちらまで

|サイトトップ| |国内政治| |国際| |経済|






まず川上内閣官房参与という人がサイゾーに記事を書いている。タイトルは「石破茂首相のブレーン・川上高司内閣官房参与が語る“日本一わかりやすい”米大統領選挙報道の見方」であり、テーマはアメリカの大統領選挙だ。

ハリス候補の優勢ぶりはメディアが作り上げた虚像だとしたうえで、トランプ氏が大統領になる可能性が高いとしている。トランプ氏は日米同盟にさほど関心を示さないとしたうえで次のように結んでいる。

そこで、防衛力の抜本的強化という議論になるわけですが、そのためにはアメリカだけではなく、中国、ロシア、北朝鮮とのパワーバランスを上手に取る必要があります。そうなったときに、日本にチャンスが来るはずです。日本が「真の独立国」となって、主導権を握ることができます。

石破茂首相のブレーン・川上高司内閣官房参与が語る“日本一わかりやすい”米大統領選挙報道の見方(サイゾー)

この結論が日米同盟推進派の人たちを刺激したようだ。2024年の新しいスターである玉木雄一郎氏はこう言っているがどこにQアノンを賛美する発言があるのかがよくわからない。

これを産経新聞が拾って「「ディープステートとの戦い」石破政権の外交ブレーンが陰謀論 玉木代表が「危うい」投稿」と記事にしている。

サイゾーの記事にある「日本人はハリス候補が優勢だと思っている」は間違いだと思う。ある程度状況がわかっている人は「メディアがハリス推しなのに実際にはハリス優勢になっていない理由」を知りたがっているしテレビの報道も「アメリカ人の本音」を盛んに報道している。また賭けサイトを根拠にして「トランプが勝つに違いない」という投稿も多い。日本ではどういうわけか隠れトランプ支持者が多い。安倍・トランプ関係が(少なくとも政権の途中までは)良かったからだろう。トランプ氏の周りには日米同盟重視の共和党の人達が多かった。トランプ大統領が豹変していったのは選挙が近くなり「関税云々」という話をし始めたころだったが、現在はその延長線上にある。

また、川上氏の「ハリス氏が戦争を望んでいる」というのもよくわからない。結果的に戦争を容認していることは確かだがステークスを失いかけていてコントロールできなくなっている可能性が高いのではないかと思う。つまり「やめさせたくてもやめさせられない」というのが正確なところ。ただ、「民主主義を守る」という民主党が掲げる大義を信じなくなっている人が増えているのはおそらく本当だ。

川上氏の発言で最も問題がある箇所を引用する。玉木氏はこれをQアノン賛美と解釈したのだろう。

実はあのとき、もし議会を占拠して革命政権を樹立させていれば、トランプ政権はできていたのですよ。というのも、合衆国憲法には「抵抗権(革命権)」が記載されているからです。そのため、当時の私は「ついに、革命が起きたのか」と思いながら見ていましたが、人数が足りなかったのと、手際も悪かったので、どのみち無理だったでしょう。

石破茂首相のブレーン・川上高司内閣官房参与が語る“日本一わかりやすい”米大統領選挙報道の見方

この発言のどこが問題なのか。

合衆国憲法は確かに抵抗権を認めている。とはいえその民衆が抵抗権を行使するための法理的な基準についての議論もある。この川上氏の発言はこれにチャレンジする内容になっている。確かに石破茂総理が川上さんから聞いた内容をアメリカの政府高官にそのまま披瀝すると嗤われるか相手にされなくなる可能性は高い。

しかしながら「法律的な話」と「実際にそれが起こり得るか」は全く別の問題である。つまり法的にめちゃくちゃでも政府を掌握してしまえば力で押さえつけることは可能だ。特にアメリカ人が政府に対する暴力を正当化するようになっているというのはやニュースでもなんでもない。これは2022年のBusiness Insiderの記事だ。

  • アメリカでは3人に1人が”政府に対する暴力は正当化される”と考えていることが、最新の調査で分かった。
  • “政府に対する暴力は正当化される”と考えている人の割合は、2015年の調査では23%、2010年の調査では16%だった。
  • 支持政党別に見ると、共和党支持者では40%、民主党支持者では23%が”政府に対する暴力は正当化される”と考えている。
アメリカでは、3人に1人が”政府に対する暴力は正当化される”と考えている —— 最新調査(Business Insider)

おそらくトランプ氏が大統領になった場合に日米同盟を大切にしなくなるという箇所も「事実」と言ってよいだろう。ここから先の「真の独立云々」は意見なので石破茂総理がどの程度この意見にシンパシーを感じているのかは気になるところである。ただ、これは冷静に議論すればいいだけの話であってワイワイ騒ぐのがどうしてなのかがよくわからない。

そもそも、Qアノン界隈の人たちが政権に入り込むという話に人々が動揺するのかがよくわからないのかというとそもそも次期トランプ政権では問題のある人たちが少なからず政権入りするとされているからだ。

例を挙げると、コストカッターとしてイーロン・マスク氏の閣僚入りが取り沙汰されているが彼は虚偽のニュースを拡散している。また、公衆衛生の責任者としてロバート・ケネディ・Jr氏の起用の可能性もある。RFK Jr氏も陰謀論混じりの主張をしている。

つまり「暴力的に政府を掌握する」か「多数決によって「民主的に」掌握するか」の違いしかないということだ。

今騒いでいる人たちは「こうした事情を知らない」のかあるいはもっと別の理路整然とした反論があるのかが知りたいと思っている。これだけ「アメリカ政治は分断している」などと騒がれているのに「日米同盟だけは無事だ」と思っているのであればそこには明確な根拠があるはずである。

なお一部には川上氏が日本の核武装論について話し合っていたという話がある。核武装を「主張」していたのか「議論をしよう」と呼びかけていたのかは気になるところだ。

コンテンツのリクエストや誤字脱字の報告はこちらまで

Xで投稿をシェア


Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です