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「北朝鮮が韓国との通路を遮断」も韓国は意外と冷静

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朝鮮民主主義人民共和国が韓国との通路を遮断した。メディアでは「緊張が高まっている」とされているが韓国の受け止めは意外と冷静だ。明らかに経済格差がある上に北朝鮮の行き詰まりが広く知られているからだろう。尹錫悦政権は「とにかく北朝鮮を刺激したくない」という対応になっている。

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北朝鮮が韓国との連絡通路を遮断した。韓国側は休戦協定違反だと批判しつつ北朝鮮の体制批判のビラの配布を制限しているという。事態がエスカレートすることを恐れているのだろう。

CNNの記事を読むと北朝鮮が両岸の道路すべてを破壊している印象も持つのだが、実際には韓国との接点を爆破しているだけのようである。確かに大きな煙があがっていて「これはおおごとだ」という気はする。

ただ韓国の受け止めは意外と冷静だった。いくつかの事情がある。

金正恩総書記は「韓国を敵国とする」憲法改正を指示していた。独裁国家では憲法改正を「指示できるのだなあ」と感心したのだが、これが進んでいないようである。

第一に実務が追いついていないという事情があるそうだ。これまで北朝鮮当局の国家目標は韓国との統一だった。憲法改正により国家目標を転換すると法律の改正や過去の物理的な建造物を「変える」必要が出てくる。どうやらこれが進んでいないようである。つまり歴史改竄の実作業が遅れている。

だがこれよりも大きな問題がある。朝鮮労働党は韓国を「不法に占拠する当局」より優れていると言っていた。だから「南側に取り残された人たち」は平伏してくるだろうと見込んでいる。つまり路線変更してしまうと朝鮮労働党を正当化する理由がなくなる。

このため韓国側では「金正恩氏の指示は実現できなかったのだろう」と見ているようだ。実際に憲法改正は行われたがその内容は公表されていない。「憲法が秘密」では一体なんのための憲法改正かわからなくなる。

繁栄する台湾を対岸でみている中華人民共和国の指導者たちはその格差に焦りを感じているのだろう。軍事的な優位性を示すために台湾を取り囲んでみせた。北朝鮮も韓国並みに成長するのはほぼ不可能だ。飢餓に苦しんでいるとされる北朝鮮の人民はその日を生きるのに必死でとても経済成長に余力を振り向ける余裕などないはずである。

2024年のノーベル経済学賞を受賞した「成功する植民地とそうでない植民地」の例を引き合いに出すまでもなく同じ民族で条件が似ているはずの韓国と北朝鮮の格差は国民に対する搾取構造が何をもたらすのかを我々に教えてくれる壮大な社会実験になっている。

北朝鮮当局は必死でこれを隠蔽しようとしているが韓国側は冷静に彼らの対応を眺めているといえるだろう。

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