かねてより黒い噂があったアダムズ・ニューヨーク市長がついに連邦から起訴された。ニューヨーク市長は辞職をしないまま法定闘争を選択するようだ。「自分は戦う改革者だ」というペルソナを維持したいのだろう。
だが、そのペルソナとは裏腹に選挙キャンペーンと市政運営はボロボロだった。高官の多くが捜査対象になっており市政の停滞が懸念されている。
アダムズ市長は自身を民主党の新しいリーダーだと位置づけている。リベラル系のメディアはできるだけアダムズ市長の民主党的背景には触れないように報道している。またホークル州知事も罷免しない考えだ。大統領選が近いため共和党からの攻撃材料が増えることを懸念しているのかもしれない。今選挙を行えばアダムズ批判が盛り上がり「移民の聖域都市」であるニューヨーク市に共和党系の市長が誕生する可能性もある。
自身を市民のために戦う改革者と位置づけてきたアダムズ市長だが、かねてから数々の疑惑にさらされてきた。選挙キャンペーンは外国から支援を受けていたものと疑われている。CNNの英語版が詳細にまとめている。
特に9月に入ってからは警察関係者、元消防関係者、交通関係者などに捜査対象が広がっている。高官だけでなく市長まで逮捕されてしまうと市政はかなり混乱するものと思われる。
ニューヨーク州知事のホークル氏にはアダムズ氏の解任権限があるようだが行使するかは不透明な状況だ。民主党系の市長が負けて共和党系の市長が誕生する可能性も否定できない。大統領選挙まで残り40日余と言うタイミングでありこの期間の選挙戦は避けたいのが本音だろう。移民が送り込まれているニューヨーク市に共和党系の市長が誕生し大統領の国境政策を批判すると言う悪夢のような状況も懸念されるだろう。
気がかりなのは民主党系の政治家と外国との関わりである。
アダムズ市長はトルコとの関係を疑われている。ホークル知事の側近は中国のエージェントして在宅な暮らしを送っていた。ニューヨークに台湾の勢力が接近するのを妨害していた疑いが持たれている。ホークル氏はこのエージェントの切り離しに成功しているが、実際の関係はよくわからない。また隣のニュージャージー州選出の民主党議員メネンデス氏はエジプトやカタールの影響を受けた富豪たちから賄賂を受け取った罪で有罪評決を受けている。
このように民主党の政治家の中には外国との癒着が疑われる人達がいて共和党の攻撃対象になっている。
よくトランプ氏の支持者たちは陰謀論に汚染されていると言われることがある。これは確かにその通りだ。アメリカの政治事情を研究している前嶋和弘上智大学教授によると地上波とケーブルテレビが混在するアメリカでは裏打ちのない「報道」が増えている。また共和党支持の人たちはメディアを信じない傾向にあるそうだ。
しかしながら、民主党系の政治家の中に外国から資金を受け取っている人がいるのも事実だ。問題はこうした「一部」の政治家の問題が全体の問題として解釈されてしまうことなのだろうが、全く火のないところに煙が立っているわけでもない。
アダムズ市長は、自身を改革者であると位置づけており法廷闘争を通じて無実を世間に訴える方針のようである。これは選挙を選んだ斎藤元彦兵庫県知事によく似ている。
日本の兵庫県知事の事例を見ると日本人は清潔な改革車がスマートに問題を解決するしてくれることを望んでいることがわかる。斎藤元彦知事はこのペルソナを懸命に維持しようとしている。一方のアダムズ氏は何があっても戦い抜く闘志という言うペルソナを維持しようとしている。
改革スタイルに違いはあるが「イイネ」政治の結果、地方行政統治が失敗し政治が停滞すると言う共通点もあることがわかる。
日本の国政は議院内閣制のためこうした弊害が出にくいが地方政治はアメリカと同じ二元代表制のため「アメリカ型の政治的混乱」が起こりやすいのだろう。