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ヒズボラのイスラエル攻撃 勝者ネタニヤフと敗者バイデン

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ヒズボラがイスラエルを攻撃した。ヒズボラ側からは320発のミサイルが発射されたそうだが双方の被害状況はよくわかっていない。

ヒズボラは第一弾攻撃だとしており次の攻撃を示唆している。つまりもう終わったのかまだまだ続くのかもよくわからない。

この攻撃の敗者はおそらくバイデン大統領で勝者はネタニヤフ首相だろう。一方イランの状況はよくわからない。イスラエル・アメリカの過剰な報道の一方でおそらくイランからはまともな報道は出てこないだろう。

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一連の問題についてはアクシオスが世論形成に重要な役割を果たしている。アクシオスはバイデン政権寄り民主党寄りの立場に立ちつつそれがイスラエルに有利になるように先導する役割を果たしている。今回の件では「イスラエルはアメリカと緊密に連絡を取り合っていた」と伝えている。

イスラエルとヒズボラ双方が成果を誇大宣伝(Axios)

また「イスラエルは全面戦争に入るつもりはない」とも強調する。これまで最大の攻撃だったが「双方ともに抑制的だった」と強調している。全面戦争に突入すれば当然バイデン政権の外交宣伝に大きな傷がつく。

ヒズボラの攻撃は抑制的(Axios)

Axiosはハマスとの交渉が大詰めを迎えておりイスラエルは和平提案を歓迎していると宣伝してきた。しかしハマスは5月の和平提案にこだわっており交渉のテーブルについていないのだからそもそも「バイデン新提案」などあり得なかった。そもそもトランプ氏が大統領に返り咲く可能性がありレームダック化したバイデン政権の交渉当事者能力は大きく毀損している。

しかしながらAxiosが交渉継続を強調するのはDNC(民主党党大会)に華を添えるためだろう。和平を望む関係各国もアメリカの大統領選挙の行方をにらみ「バイデン大統領は当事者になれない」などとは言わない。トランプ氏が介入すればますます状況派が混乱するだろう。

ネタニヤフ首相はこれまでイランを刺激し各地でハマスやヒズボラの幹部を殺害してきた。レバノンのベイルートにあるイランの外交施設やイランの首都テヘランの攻撃から彼らの真の目的はハマスやヒズボラではなくアメリカ合衆国と敵対するイランを戦争に引き込むことと考えても良いのではないか。

イスラエルはアメリカと緊密に連絡を取っていたのだから320発とも言われるヒズボラの攻撃を撃退できなければ「バイデン大統領はイスラエルを見放した」ということになりかねない。するとユダヤ系の支持者たちはトランプ氏支持に傾くだろう。

戦争にアメリカを引き込んでいる間はネタニヤフ首相の支持は盤石だ。国際政治学者の鈴木一人氏は「このところネタニヤフ首相の支持率は回復傾向」と指摘している。

アメリカもイランもそれを理解しているが、ネタニヤフ氏の野望を阻止しきれていない。

イスラエルに対して対抗策を持たないバイデン大統領は「制御不能なイスラエルに加担し続ける」という印象を払拭できない。表に出ていなかったハリス氏が大統領候補になったことで最悪の事態は防がれたが、それでもDNC(民主党大会)では親パレスチナ派のデモ隊がフェンスを突破するというような事件が起きていた。またイスラエルが暴走し続ける限りアメリカはイスラエルを防衛するために多額の資金援助を迫られる。さらに中東地域に展開している米軍施設もイスラム形成力のターゲットにされるだろう。

外交的に無策さはイスラエルの暴走を止められないばかりかさらなる泥沼にアメリカ合衆国を引き込もうとしている。

この件ではわからないこともある。識者たちは「イランも全面戦争を望んでいない」と考えているようだ。イランのペゼシュキアン大統領は外交経験が豊富で問題を外交的に解決したい。

だがイランにも当然ながら革命防衛隊のような血気盛んな人たちがいる。だが報道が全く出てこない以上はイランがヒズボラの暴走を抑えることができなかったのか自ら進んで外交的努力を放棄し武力による解決を優先したのかについて我々が知ることはできないだろう。

「水は低きに流れる」という。外交と武力の両方の選択肢がある場合はどうしても武力のほうが優先されてしまうと事がわかる。

また、21世紀型の戦争の形も極めてわかりにくいものになっている。ウクライナとロシアのように防衛という名のもとで宣戦布告なき戦争が行なわれている地域もあれば、中東のように、いつどこでどんな攻撃があるかわからないという地域もある。またそれぞれの戦争を側面支援している勢力もあり「誰が戦争に参加しているのか」すら不明確だ。

軍隊を持たない我が国も「戦争には参加していない」はずだが知らず知らずのうちに西側陣営に深く組み込まれている。

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