自民党の総裁選挙が始まった。まずは推薦人集めが始まっている。当初、麻生太郎氏の後援を受けて盤石の選挙戦に望むと見られていた茂木敏充氏だが、どうやらはしごを外されてしまったようだ。
茂木敏充氏は東大・ハーバードと進学した優秀な経歴を持つ。専門分野はアメリカとの通商交渉だ。相手を研究したうえで相手に花を持たせつつ日本が欲しいものもきちんと獲ると言う信条を持っていて「タフ・ネゴシエーター」としてトランプ氏の政権とも互角に渡り合えるのではないかと言う期待があるそうだ。
しかしながら、同僚や部下たちからの評判はあまり良くない。あまりにも頭の回転が早く優秀なのだろう。何でも自分でやってしまうため同僚や部下の出る幕がなくなってしまうのかもしれない。このため小渕優子・青木一彦氏に離反されていた。
この「面倒見の悪さ」から支持の広がりに欠けるという点は石破茂氏に似ている。
この茂木氏が頼みにしていたのが麻生太郎氏だ。岸田総理を支える密接な関係で知られていた。ところがFNNは「麻生氏は茂木氏を支援しないことを伝えた」と報道している。表向きの理由は「河野太郎氏が立候補するなら河野氏を応援するのが筋だから」というものだ。
ただ「麻生氏は本当に河野太郎氏に期待しているのだろうか」とどうしても考えてしまう。
麻生太郎氏は総裁選に出たがる河野太郎氏に対して「まだ早い」と諌めてきた。麻生派としては菅政権や岸田政権を支える主流派にとどまったほうが得策だからである。
確かに、河野太郎氏は一時は自民党のホープとして期待されていた。わざと難しい課題を両総理に押し付けられて潰されたという人や物事の進め方が強引過ぎて自滅したと言う評価もある。いずれにせよ、ワクチン担当としてもデジタル担当としてもめぼしい成果がない。
仮に国民の期待が河野太郎氏に乗っているのであれば麻生太郎氏が「いよいよ出番が来た」と考えた可能性もあるが、世論調査では河野太郎氏への期待は伸び悩んだままだ。しかし、茂木氏から距離を置くために麻生氏が河野支持を言い訳にしたと考えることもできる。
一方で総裁選挙には加藤勝信氏が意欲を見せている。
テレビ東京の「【独自】加藤元官房長官が総裁選出馬へ最終調整 茂木派が事実上分裂へ」によると茂木氏は岸田総理大臣のもとに寝返った小渕・青木氏に続いて加藤氏からも離反されたことになる。菅義偉氏は加藤勝信(茂木派)・小泉進次郎(無所属)、武田良太(二階派)、萩生田光一(安倍派)と会合を行い話題になったことがあった。仮に、加藤氏が出馬表明し小泉氏が出馬しなかった場合は菅義偉氏の仲介で派閥を越えた連携ができたということになるだろう。茂木氏はこちらの陣営からも選ばれなかった。
この他、現在出馬に意欲を見せている人を時事通信がまとめている。
- 岸田派宏池会からは林芳正官房長官を推す動きがある。上川陽子氏も独自で支援者集めをしている。
- 石破茂氏は支援者集めに苦労していたが一定の目処がついたとしている。旧石破グループの斎藤健氏も立候補に意欲を見せているが、石破茂氏との関係は報道されていない。
- 高市早苗氏も具体的に支援者集めに動き始めた。
- また小林鷹之氏は安倍派から「刷新」を印象付ける候補者として注目されている。だが、安倍派から推されたというイメージを払拭するために他の派閥や無所属からの支援を強調すると見られているそうだ。
なお、岸田総理は表向きは後継者を指名していない。