最近ニュースをXで知ることが増えた。バイデン大統領が大統領選挙から撤退したらしいという投稿があり大統領自身のXの投稿が引用されていた。大統領選挙から撤退しカマラ・ハリス副大統領を支持するという内容だった。さらにCNNのアップデートをGoogleの自動翻訳で読むと、だいたい何が起きているのかが理解できる。便利な時代になったものだ。
さてCNNでは今も最新情報が乱れ飛んでいる。
まずバイデン大統領は48時間以内に最終決断を行った。テレビで民主党の実力者たちがバイデン大統領の撤退に傾いているという情報が乱れ飛んでいた時期だ。一方で大統領選挙のキャンペーンスタッフたちは「大統領は絶対に撤退しない」と主張していた。どちらも「明日の仕事」がかかっているのだから必死だっただろう。バイデン氏の選挙スタッフは発表直後に撤退を知らされたようだ。これは彼らにとって「次の仕事探し」の開始を意味する。
周囲からの様々な圧力の中、バイデン大統領は最終的に自分でデータを集め検討せざるを得なかったようである。新型コロナの隔離は情報バブルからもバイデン大統領を「隔離」したことになる。
さて、では今後どうなるのか。
CNNによるとほとんど何も決まっていないそうだ。これから民主党内で協議が行われ民主党党大会までの方針が発表される予定になっている。NHKは再選を目指す現職大統領が選挙戦の途中で撤退するのは1968年のジョンソン大統領以来、56年ぶりの事態ですと書いている。つまり半世紀以上も前例がない。
形式的にはバイデン氏は各州の民主党の代表者たちの「バーチャル点呼」で代表に選ばれることになっていた。つまり現段階では民主党の正式候補者ではなくその資格をハリス氏に引き継げない。現在はハリス氏を推す声が高いようだが(続々と支援する声が上がっている)民主党院内総務のハキーム・ジェフリーズ氏はハリス氏の支持を表明しなかった。
民主党の関心は「民主党政治の推進」ではなく「トランプ政治の阻止」なので、今後誰がトランプ氏に勝てるかで意見がまとまらない可能性がある。すでにいくつかトランプVSハリスの世論調査も出ておりハリス氏も水面下で選挙活動を始めていた。だが、この線でまとまるかは未知数だ。前例がないのでやってみなければわからない。
テレビ討論会での予想外の失敗を目の当たりにした民主党幹部たちは「バイデンでは勝てない」と色めき立ってはいたものの「では実際に誰を候補にしてどんな政策を打ち出すのか」については意見がまとまっていないようだ。
これについてはエントリーを複数に分けることにするが、簡単に説明する。トランプ氏に対抗するためには当然トランプ氏が有権者に何をオファーしているかを研究しなければならない。だがトランプ陣営は宗教的に盛り上がっており有権者の不満も漠然としたものである。このためトランプ氏が実際に何をオファーしているのかは明確ではなく有効な打ち手がないという極めて特異な状況になっている。
なお、今回の交代劇に密かに抵抗していた人がいる。それが共和党のジョンソン下院議長である。ジョンソン氏は大統領選挙が続けられないなら大統領などやめてしまえと主張していた。民主党の民意を踏みにじって大統領選挙から撤退することは許されないとして訴訟を検討しているなどと発言しているという。つまりジョンソン下院議長は「弱いバイデン氏ならトランプ大統領誕生の可能性が高まる」と考えていたことになる。