「自分は神に守られている」と宣言したトランプ氏が共和党をカルト化するのではないか。Quoraでそんな指摘をもらった。
実は「すでにカルト化している」と返事を書いたのだが、そのときに調べた記事の写真が面白かったのでブログでも紹介することにした。出典は「In photos: Trump bandage “newest fashion trend” at RNC」である。人々がうっとりした表情で壇上を見上げている。
なぜこの写真が(Axiosにはもっとたくさん写真が出ているのだが)が面白いのか。それは神に守られたトランプ氏の崇拝を通じて人々が大きな安堵感を得ている事が写真から伝わってくるからである。人々はうっとりとした表情で壇上にいるトランプ氏を見つめている。つまりこれはカルト的・宗教的なのではなくトランプ氏の個人崇拝であり宗教そのものなのである。
分断の危機にあるとされたアメリカ合衆国が救世主トランプの存在でまた一つになれる。そんな希望があるのだろう。
緊張のあとの緩和からの開放感や周りを同士に囲まれた安堵感がユーフォリア(多幸感)を生み出している。
極めて皮肉なことにこの状況を作り出したのは1人のAR15による攻撃だった。トーマス・マシュー・クルックス容疑者のスマホからは民主党大会、バイデン大統領、司法長官、FBI長官など複数の検索履歴が見つかっており特に特定の政党に対する政治的な意図がなかったことがわかってきている。
暴力による解決が蔓延する自己主張社会で「名前を残して大きなことをやり遂げる」ためには重要人物を攻撃するのが最も効果的だと考えた可能性があるが、捜査当局は「一体彼は何がやりたかったのだろうか」と当惑しているそうだ。政治的分断が進む中で一生を台無しにするような事件を起こしたのだから当然何らかの政治的意図があると思いこんでいるのだろう。
非常に興味深いことにこの多幸感は経済や政治の世界を大きく動かしている。テック産業にはトランプ氏への献金が多く集まっている。トランプ氏は初日にEVを潰すと宣言しているがテスラのイーロン・マスクCEOもトランプ氏への支持を表明している。また政治家の中にも「ディール中心の外交になれば自分だけはうまくトランプ氏に取り入ることができるはずだ」という人達が増えているそうだ。
トランプ前大統領の二期目の経済対策は強いインフレを生み出すと言われている。真っ先に被害を受けるのは真っ先に被害を受けるのは多幸感に浸っている人たちであろう。だが、実際には暗殺未遂が神話を生み出しており人々は今「神の恩寵」を感じ大いなる安堵感に浸っている。
なお、トランプ氏は自分は本来この場所に立っているはずがないが偉大なる神の恩寵のお陰でここにいると宣言した。現在は第三次世界大戦が始まる瀬戸際だが自分が大統領になればすべての戦争を終わらせることができるだろうと楽観的な見通しを語っている。
投稿で、自分が大統領になれば「世界に平和をもたらし、多くの命を奪った戦争を終わらせる」と表明。ロシアとウクライナの「双方が歩み寄ることで暴力を終わらせ、繁栄へ道を切り開く合意をまとめることができるはずだ」と述べた。
トランプ氏、ウクライナ大統領と電話会談 「戦争終わらせる」(Reuters)