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リベラルに対する深い恨みを持ったJ.D.バンス氏が正式に共和党の副大統領候補に指名された

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先ほどJ.D.バンス氏がアメリカの副大統領に指名された。APポリティコを読んだのだがアメリカの民主主義は本当に終わったかもしれないと感じた。アメリカはローマ共和制の終わりの時期にありトランプ氏は最大4年ホワイト・ハウスにとどまるだろうと言っている。これは大統領として4年も務められないだろうという意味に取れる。だが、バンス氏が極めて強いトランプ氏の崇拝者だとすると「アメリカは4年しないうちに大統領制を止めるだろう」とも解釈できる。

ではそんなバンス氏の人となりはどのようなものかということになる。よくある崩壊しかけた白人労働者階級の出身である。彼を有名にした著作からはアメリカのエリートリベラルへの深い恨みを感じる。神格化されつつある大統領候補と強い力を熱望する信者の組み合わせである。

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J.D.バンス氏は現在39歳のミレニアム世代。オハイオ州で16歳の父親と13歳の母親から生まれた。両親は離婚してしまい母親の新しい夫の養子として引き取られた。母親は薬物中毒に苦しみ実際に彼を育てたのは祖父母だった。両親は労働組合所属の民主党員だった。

2016年に自伝「ヒルビリー・エレジー」で有名になった。2020年11月にネットフリックスで映画化されている。監督はロン・ハワード。ヒルビリー・エレジーは民主党に見切りをつけたアパラチア山脈の白人コミュニティが舞台になっているとAPは表現する。ポリティコはアメリカの工業経済の衰退は白人労働者階級の社会的病理に深く根ざしていると伝えている。バンス氏は文化戦争は階級闘争であると信じている。エリートたちが白人労働階級を貶めたと考えている。

海兵隊員としてイラクで勤務したが「イラクに行って自分が騙されていたことを知った」という。後にイェール大学のロースクールを卒業し弁護士資格を持っている。2022年にオハイオ州の上院議員に当選すると熱心なMAGA共和党員としてトランプ氏の政策を支持している。政治的な実績はほとんどないがメディアでは盛んにトランプ氏を擁護している。

だがかつてはトランプ氏にも敵対的だった。完全な詐欺師、道徳的破綻者、アメリカのヒトラーと呼んでいたという。ポリティコは「トランプは文化的なヘロインだ」という表現を紹介している。

トランプ氏は自身への強い支持を追い風に「有名な候補者」ではなく「自分に忠実な候補者」を選んだ。トランプ氏がこれ以上知名度を得るために活動する必要はなく一期目のペンス副大統領のように土壇場で彼を裏切る(ペンス氏は議会襲撃に消極的だったと言われる)こともない候補者が選ばれた。バンス氏は2020年の選挙は盗まれたものと考えている。だがその一方で熱心にトランプ氏を支持しているわけではなく冷笑的な態度でトランプ氏を選んでいるだけという声もあるようだ。

アメリカのリベラルな民主主義擁護には極めて懐疑的でウクライナについても「ウクライナで何が起きようと私はあまり気にしていない」とスティーブ・バノン氏に語っている。またバイデン大統領の国境政策については「バイデン大統領が意図的にフェンタニルの越境を認めている」と示唆した。そうすれば中西部でMAGA支持者を大量に抹殺できるからという理由だ。

あまりにも主観的な意見だという気がするが彼の生育歴(父母は民主党支持の白人労働者階級だが社会的には成功できなかった)を考えるとそれも当然なのかもしれないと思う。一時はトランプ氏にも反発していたようだがやがてトランプ氏が大統領として熱心に指示されるようになると態度を変え雄弁なトランプサポーターとなりついに副大統領候補となった。

彼の妻はヒンドゥ教徒でありヒンドゥ式の結婚式を別に挙げているそうだが、自身は2019年にカトリックに改宗した。

彼の政治的主張はよくわからないが、傷ついたアメリカ白人の労働階級が多様性を敵と考えるならば白人の優位性を回復するためには大統領以上の強い権限を持った皇帝のようなリーダーを必要としているということになる。つまりこれが共和制の終わりの意味であり、大統領の皇帝化ということになる。最高裁判所保守派の「大統領の大幅な免責権限」も聖書教育の復活や十戒の掲示もこのコンテクストでだいたい理解ができる。

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