ABCニュースが「バイデン大統領の主治医のもとにパーキンソン病の専門家が頻繁に訪れている」と伝えている。これが何を意味するものなのかはよくわからないという補足がついているがABCの意図は明らかである。バイデン大統領の健康不安説を広めキャンペーンから撤退させたいのだろう。民主党支持者たちの動揺が伝わってくる。
ニュースの内容は極めてシンプルだ。バイデン大統領のもとをパーキンソン病の専門家が訪れていることが出入りの記録からわかった。過去8ヶ月のうちに8回訪れているそうだ。だがこれが意味するところはなんなのかわからないと言っている。さらにこれに続けて民主党内で広がるバイデン大統領退陣論について触れている。
今週はバイデン氏にとって極めて重要な週になる。わからないならわかってから伝えればいいのにと感じる。政治家にとって健康問題はプライバシーなのだから確証がないのにみだりに報じられるべきではない。ましてやバイデン氏を支援する立場ならなおさら慎重な対応が求められる。支持者の間に動揺が広がりかねないからだ。
ABCはこの人の詳細について「ケビン・カナード氏である」と書いている。
だが続けて、ホワイト・ハウス側が「セキュリティ上の理由から専門家の詳細についてはあかせない」としているとも伝える。つまり本当にこの人がパーキンソン病の専門家なのかすらわからない。
このところバイデン大統領には疲れが溜まっている様子がありありと分かる。表情がどこかぎこちなイノが特徴的だ。そのためかねてより健康問題について様々な憶測が飛び交っていた。
だが、影ではさまざまに囁かれてきた健康問題だったがこれまで公式には語られてこなかった。トランプ前大統領は根拠のない話を持ち出すことで有名であり彼がなにか言ったとしても真に受ける人はいないのも不幸中の幸いだった。
ABC、NBC、CBSはアメリカの全国ネット地上波放送の三大ネットワークであるが日本のように政治的な中立性はさほど重要視されない。ABCは民主党に親和的な放送局と考えられている。
民主党支持者たちが何よりも恐れているのはトランプ氏によってアメリカの政治や社会がめちゃくちゃになってしまうことである。だからトランプ氏に勝てる候補でなければ応援したくない。支援者たちの間に8月の全国大会前に「勝てる候補」に差し替えたいという気持ちが高まっているのであろう。
民主党の幹部たちはバイデン大統領の撤退とカマラ・ハリス副大統領への差し替えを望んでいるようだ。やはり民主党よりのCNNが「米民主党幹部、バイデン氏撤退を下院トップに訴え 非公開会議で」という記事を出している。一方のバイデン大統領も民主党幹部を「エリート」と呼び敵対している。バイデン大統領は自身を民主党員から選ばれた政党な候補者であると位置づけたうえで「エリートたちにはイライラする」と不満をぶちまける。さらに「挑戦したいやつがいるなら受けて立つ」とまで宣言している。
ABCは当初ジョージ・ステファノプロス氏という元民主党クリントン政権の広報の責任者を使ってレスキューを試みた。だがバイデン大統領はステファノプロス氏の質問に正面から答えず「レスキューは失敗」ということになった。政治家にとって健康に関する問題は最大級のプライバシーといえる。ましてや民主党を支持する人たちがバイデン大統領に不利になる報道を好んで行うとは考えにくい。
実際にこの報道がどのような意味を持つかはわからないが(つまりバイデン氏がパーキンソン病と決まったわけではない)少なくともこれを伝えたABCにはかなり動揺が広がっているのかもしれないと感じる。
更にこれがもし本当だったとするとこの事実を隠してきたバイデン大統領の選挙関係者は厳しく断罪出されることになるのかもしれない。テレビディベートの直後にも休ませなかかったスタッフが悪いとか症状悪化を隠してきたとしたらスタッフに問題があるのではないかと言うような声が飛び交っていた。