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メッカ大巡礼が死者550名以上の惨事に

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イスラム教ではメッカへの巡礼が信者への義務とされる。特に巡礼月(ズー・アルヒッジャ)に行われる巡礼をハッジ(Hajj)と呼び特に神聖視されているそうだ。アルジャジーラによると今年のHajjの期間は6月14日に始まる。これに合わせて巡礼月3日に「犠牲祭」イード・アル=アドハーが行われ、3日続く。このためイード・アル=アドハーは16日から18日ということになる。つまり14日から18日までがハッジ期間だが18日があけたあとの19日もハッジ期間とされている。イード・アル=アドハーはラマダン明けのイード・アル=フィトルに続くイスラム教で二番目の重要行事だそうだ。ところが今年はこのメッカ大巡礼で550名以上の死者が出たとAFPが伝えている。

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アルジャジーラによると2023年には185万人のイスラム教とが巡礼を行った。90%は海外からきているが、サウジ・アラビアは聖地を管理し巡礼者を保護するために特別な役割を負っている。しかしながら無制限に人を受け入れることはできないのだから当然許可制になっている。AFPによると不法巡礼者の排除も行われているという。

AFPによると特にエジプトを中心に不法巡礼者が増えている。こうした不法巡礼者たちはサウジ・アラビアが用意した冷房施設に入ることができない。エジプトも保護施設を作っているそうだが不法巡礼が増えたせいでサービスが崩壊したそうである。

この結果として十分な庇護が受けられなかったエジプト人を中心として多くの死者が出た。550名の死者のうちエジプト人は322名だった。もう一人群衆事故のけがが原因で亡くなった人がいる。平均気温は42度程度だそうだがメッカのモスクの温度は51.8度まで上昇していたという。

このところ地球の気象条件は激変している。インドのデリーでも5月末に非公式52.9度・公式49.9度という酷暑が記録されている。アメリカABCのニュースを見ていても、西部の異常高温と乾燥による山火事、東部・南部のトルネード・洪水・異常高温の組み合わせが連日報道されている。アメリカの例を見ると一部の地域に雨が集中すると別の地域では全く雨が降らないようである。今年の夏もまた厳しい夏になりそうだ。

時事通信によると去年のハッジではインドネシア人が240名亡くなっている。ただしハッジの季節は徐々にずれてゆく。ずれの周期は約32年だという。つまり16年後のハッジは比較的涼しい(とはいえ30度程度あるそうだが)季節に行われることになる。

イスラム教国が巡礼を大切にしており多額の費用をかけて巡礼者に対応していることがわかる。また中には正規ルートでは入れないがどうしても巡礼をしてみたいという人も多いことがわかる。我々の知らないイスラム教国とイスラム教徒の事情が少しだけわかる。

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