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日米のトランプ氏報道にみる光と影の強烈すぎる濃淡とギャップ

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日本とアメリカのトランプ氏をめぐる報道を見ていると強烈なギャップを感じる。

日本では金ピカなニューヨークのトランプ・タワーが映し出されやや緊張気味の麻生太郎副総裁が歓待された様子が報道されていた。一方、アメリカではトランプ氏の口止め料裁判に最初の証言者が「小切手ジャーナリズム」で虚飾に満ちたトランプ氏のイメージを作り出そうとしてきた実態が赤裸々に示されていた。

どちらも「事実」なのだが人は見たいものしか見ないものなのかもしれない。

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トランプ氏は金ピカのトランプタワーに世界からの指導者を集めている。イギリスのキャメロン外務大臣やポーランドのドゥダ大統領などがすでに訪問しているそうだ。麻生太郎氏はこのトランプ詣の列に加わった。

ところが光が濃ければ濃いほど映し出す影も色濃いものになる。

トランプ氏の口止め料裁判では最初の証言者でありトランプ氏の古くからの友人のディビッド・ペッカー氏に注目が集まっている。デイビッド・ペッカー氏はスーパーマーケットタブロイドと呼ばれるゴシップ紙を運営しており最終的に何を掲載するのかを決める権限も持っていた。

BBCによると元々ペッカー氏とトランプ氏は1980年代からの「友人」だった。

リアリティ番組で人気が出ると出演者の情報を独占的に得ることで番組と雑誌の売上が共に伸びたのだという。このWin-WInの成功体験から選挙キャンペーンでトランプ氏を盛り上げれば雑誌の売り上げも伸びると考えたペッカー氏は次第に共和党内部のキャンペーンで評価を下げる記事を押さえ込み評価を上げる記事を押し出すようになっていった。

泡沫候補だったトランプ氏はこれらのイメージ戦略のおかげで共和党の他の候補者たちを押し退け大統領当選も夢ではないという高みに到達する。

そこに出てきたのが「アクセス・ハリウッド・テープ」と呼ばれるテープだった。

「自分はスターになったので女性たちは思いのままになる」というような主張が卑猥な用語と共に録音されていたとされている。このアクセス・ハリウッド・テープの出現により陣営は「緊急事態モード」に入った。今まではできるだけ不都合な記事を取り上げないという方針だったが、次第にお金を使って記事を握りつぶすようになっていった。

アメリカでは「引き寄せの法則」という人気のスピリチュアルムーブメントがある。ソースとか宇宙と言われる善い存在がありそこに波動を合わせることで自分もその善いものの一部になれるという考えかただ。トランプ氏をみていると「引き寄せの法則」は実際にあるのだろうと感じる。だがその根源はソースでも宇宙でもない。人々の願望だ。

人は「良い波動」を持った人が好きである。成功体験に引き寄せられてその一部になれるならと喜んでお金を差し出す。その豊かさで次の豊かさのイメージを膨らませてゆけばやがて大きな目標(例えば女優を抱いたり大統領になったり)も達成できる。それは現代版の魔法であり奇跡である。ところがその魔法にはやはりタネがある。またその過程でトランプ氏は好ましくないものも多く引き寄せてしまう。

次にアメリカの「友人関係」も興味深い。トランプ氏とペッカー氏は古くからの友人だが今のペッカー氏はペラペラと昔の行いについて話している。自分は今回の件で罪に問われる可能性はない。自分が助かるためなら相手は犠牲になっていい。これが「友人関係」だ。おそらく彼は小切手ジャーナリズムと呼ばれる手法にそれほどの罪悪感も感じていないのだろう。自分はお金が欲しかったし社会的にも成功したかった。それが自由に実現できるのがアメリカ合衆国だ。

リアリティショーのスターだったトランプ氏と関係をもちたがった女性が多かったのも間違いはないのかもしれない。愛やセックスさえも成功した生活の一部だ。だが、トランプ氏の気持ちが離れるとそれに恨みを持ちトランプ氏に恥を書かせたいと考える人も増えてくる。

欲望の追求は必ずしも悪いこととは思えない。ある意味彼らは非常に純粋で正直に自分達の欲しいものを欲しいと言っている。だが欲望には限りがない。集団化した欲望をコントロールするのは簡単なことではないようだ。

今回の件でABCニュースはフェイク写真を使ってテッド・クルーズ氏を陥れようとしていたなどと紹介していた。テッド・クルーズ氏は共和党で大統領候補者をトランプ氏と争っていた。つまり同じ政党内の政敵をスキャンダルで潰そうとしたことになる。イギリスのインディペンデント紙がこの件について伝えている。

テッド・クルーズ氏の父親はキューバからの移民だそうだがJFケネディの暗殺者と関係があったという噂を掲載されたそうだ。クルーズ紙は「古代の歴史=昔のこと」として詳しく言及しなかった。

このように強烈な成功者のイメージを作りお金儲けをしてきたトランプ氏だが、それ以外のものも多く「引き寄せて」しまった。

今では裁判のために多額の資金が必要となり、共和党全国委員会からの資金も裁判に流し込もうとしている。だがこのような醜い側面が連日のように報道されてもなお「繁栄の一部」になりたいと考える人は多い。トランプ氏は共和党の大統領候補であり多くの裁判を抱えたまま11月に当選する可能性がある。

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