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私を探さないでください 末松参議院予算委員長が委員会開始前に突然いなくなる

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安倍派に所属する末松信介参議院予算委員長が委員会会前にいなくなった。記者たちには「後で会見しますから話を聞きたい人はこの紙に名前を書いてください」という紙が配られたそうだ。急遽与党の筆頭理事が議長席に座ったところから後任調整もしていなかったものと見られる。

後に会見し「自分は何も知らなかったしやましい使い方はしていない」と説明したようだが「だったら予算委員長を辞める必要はないのに」と感じる。これを収めるために自民党では「安倍派の幹部たちを離党させるしかないのではないか」という案も浮上しているという。誰かを人身御供に出すしか祟りを鎮める方法はない。日本古来の問題解決方法だ。

岸田総理は事前にこの動きを知らされていなかったのではないか。来年度予算を決める常会は波乱の幕開けとなったといえる。

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突然の出来事だった。予算委員会直前に委員長がいなくなった。蓮舫参議院議員は「前代未聞の国会軽視だ」と憤りを隠さない。正確な表現を抜き出すと「意味不明・国会までも愚弄しすぎ」となる。

参議院予算委員会の能登半島地震・羽田事故に関する審議は予定通り始まったが議長席に末松氏の姿はなく代わりに与党筆頭理事が座っていた。誰もがその異常さを感じていたはずだが自民党の質問はそれに触れず粛々と会議が進行した。立憲民主党から質問に立った杉尾秀哉氏がようやく委員長の不在に触れ岸田総理に受け止めを聞いていた。おそらく岸田総理は事情がわからなかったのではないかと思う。「国会でお決めいただくことですから」とその答弁は要領を得ないものだった。

岸田総理の元に重要な情報が入ってこないことや、少なくとも一部の議員が裏金問題の重大性を重く受け止めていることが浮き彫りになった。岸田総理は誰が何を考えているか全くわからなくなった国会で期日通りに予算を通すことが求められることとなる。

末松委員長は「違法と考えておらず、事務所口座に入金し、すべて政治活動のために使った。私的支出はない」と他の安倍派議員たちと足並みを揃えた表現を使った。であれば辞める必要はない。だがおそらくこれでは国会審議がもたないと判断したのだろう。とはいえ「悪うございました」と言ってしまうと他の議員も謝らなければならなくなる。「惻隠の情」を発揮して末松氏の心情を斟酌するならば随分苦しかったのだろうとは思う。岸田総理が徹底調査しなかったために「本当は責任を取るべきだ」と考える人が苦しむことになる。

当然野党は色めき立ち「他の裏金委員長もやめろ」「自民党は裏金を調査しろ」と要求している。

岸田総理は麻生氏を抑えきれず派閥の全廃に失敗した。人事をめぐっても「リストがダメなら電話にすればいいじゃないか」との声がでているという。生き残った派閥の人たちは「勝ったつもり」になっているようだ。さらに裏金調査をすればおそらくその使い道をめぐって大勢の処分者をださなければならなくなる。このため改革案は誰の目にも不十分なものに留まっている。

自民党が国民に納得がゆく刷新を行えばおそらく三条河原に大勢の首が並ぶ。それを避けるためにはどうすればいいか。敗軍の将に責任を取ってもらうしかない。このため自民党では安倍派の幹部を離党させてるという案が検討されている。茂木幹事長も「いいですねわかっていますね」と安倍派幹部に伝えているが、党内からは「安倍派幹部が自ら政治責任を取らなければ離党勧告を検討せざるを得ない」という声も聞かれるようになっているそうだ。

民意の懲罰欲求を背景にした野党軍が俄然勢いを増しており、誰かを処分しなければこの問題は解決しそうにない。当然「麻生氏を抑えられなかった責任を安倍派幹部に押し付けるのか」という話になるのだが、安倍派への風当たりは強い。世耕氏ら参院・清風会の関係者からも存続の声は出なかったという。

今回の問題では「野党への支持は広がっていない」「政権交代の機運はない」と言われてきた。確かにその通りなのだが、だからこそ自民党が針の筵に座らされたまま国会という法廷に立たされ続ける苦難の2ヶ月が始まったとも言える。いつまでも判決のでないある意味とても残酷な法廷だ。

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