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旧田中角栄邸全焼 昭和の派閥政治の象徴が仏壇の線香で消え去る

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旧田中角栄氏の邸宅で火災があった。夫婦とも無事だったそうだが田中真紀子氏は「線香の火を消し忘れた」と証言している。旧田中角栄氏の邸宅は文京区目白台にあり「目白御殿」と呼ばれていた。

田中角栄氏には「日本列島改造」という良いイメージと「ロッキード事件」という悪いイメージが混在している。おりしも自民党の政治と金の問題が取り沙汰される中で「仏壇から出火」には何か因縁めいたものを感じる。日本から派閥政治がなくせるのかという議論が展開される中、昭和の派閥政治を代表する建物がこの世から消えてしまった。

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NHKによると「旧田中角栄元首相邸が全焼 真紀子氏「建物内で線香あげた」」建物は全焼したが夫妻は無事だった。当時夫妻だけが滞在しており出火当時の様子はよくわかっていないが、田中真紀子氏は「線香をあげていた」と証言しているそうだ。

朝日新聞はもっと詳細に書いている。火災は田中真紀子さんが見つけたそうだ。たかがお線香だが冬の東京は乾燥が激しい。

角栄氏の長女で元外務大臣の田中真紀子氏(79)は8日午後5時半ごろ、朝日新聞の電話取材に「ぜんぶまる焦げ。私がお仏壇にお線香をあげて消し忘れた。(火災を)発見したのも私」と答えた。夫の直紀氏(83)とともに無事だという。

この邸宅は「目白御殿」として知られる。東京都に「目黒区」はあるが目白区はない。目白駅は池袋と同じ豊島区にあるが、目白台は文京区側になる。だが目白というと目白駅ではなくこの「目白御殿」を思い出す人も多いのではないか。それくらい有名な建物なのだ。

NHKが書いているように昭和時代の目白御殿は全国から陳情者や支援者が訪れる「田中派の総本山」のようになっていた、田中角栄氏は佐藤栄作氏の派閥を簒奪する形で自派閥を立ち上げたあとに日本列島改造ブームを起こした。

田中角栄氏は地元長岡を経由する新幹線計画を主導した。このように国家事業の対象になれば単なる田畑だった土地には何倍もの価値がつくというのが「昭和ドリーム」の正体だった。また田中角栄氏は石破茂氏が「総合病院」と評価するシステマチックな選挙対策にも力を入れた。つまりは派閥が主導する形で高度経済成長を利用して「選挙から利権誘導まで」を一つのセットとして提示した。田中派の成功は自民党の派閥政治と日本の高度経済成長の一つの頂点だったといえるだろう。

もともと自民党の派閥はリーダーを総理・総裁にするための集まりだった。だが、この頃から徐々に「選挙互助会化」してゆく。このシステムを引き継いだ人や再現しようとする継承者の中には小沢一郎氏のようなひともいる。小沢氏は自民党の外に田中型の政治集団を作ろうとしたのだ。

おりしもこの「日本列島改造」が現在ブームになっているそうだ。

岸田総理が「新所得倍増」というビジョンを提示できなかったこともあり「今太閤」と呼ばれた田中角栄氏のようなビジョンを持った政治家に対する期待が高まっているのかもしれない。娘の田中真紀子氏のもとに日本列島改造を再出版しませんか?という誘いがあったそうだ。日本列島改造論は2023年3月に出版されている。田中真紀子氏は「今の政治はもうだめだ」と怪気炎をあげて再びマスコミの注目を浴びていた。

しかしながらこのシステム的成功ははやがてロッキード事件という大型の贈収賄事件につながってゆく。田中角栄氏は逮捕されているが有罪判決は出ていない。裁判途中で田中角栄氏が亡くなってしまい公訴棄却になっている。他にも被疑者死亡で棄却されたケースがありロッキード事件はいまだに多くの謎に包まれている。アメリカ陰謀説などの謀略論が語られるのはそのためである。

今回の火災の原因はまだ特定されておらず、田中真紀子さんの「そういえば線香が」という発言が紹介されているだけなのだが、やはり仏壇から出火したという話には何か因縁めいたものを感じる。特に時節柄「トップリーダーのビジョンのなさ」と「政治と金の問題」が語られており、田中角栄元首相の光と影に注目が集まっているからだ。

ポストバブルの日本の政治は派閥政治に振り回されてきた。中選挙区の弊害を見て育った議員が多く当時の若手は「日本の政治は派閥から脱却して近代的な政策ベースの政党に生まれ変わらなければならないのではないか」と考えるがなかなか実現できない。

宏池会と清和会の争いのさなかに「なんだかしらけてしまった」として派閥と距離を置いていた菅義偉前首相は「派閥などなくしてしまえ」と主張する。TBSの調査によると59%が岸田総理の刷新本部に期待ができないとしており派閥を解体すべきとする人も52%程度になっている。今後現状維持を試みる岸田・麻生連合と菅義偉氏のどちらが有権者の支持を集めるのかに注目が集まる。

平安時代からこの国の政治には「みやこにひろまるまつりごととたたり」の話がつきものである。昭和の派閥の象徴だった田中邸はとにかく線香の火で焼け落ちてしまった。今後自民党の派閥はどのような運命を辿るのだろうか。

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