オースティン国防長官がバイデン大統領に報告せずに入院していたとして話題になっている。ポリティコが伝え各紙が追従したようだ。選挙キャンペーンに忙殺されているバイデン大統領は数日の間気が付かなかったようである。選挙が優先され国防や安全保障が二の次になっていることがわかる。
CNNが「バイデン大統領は数日間オースティン国防長官の入院に気が付かなかった」と報道しているのを見つけた。最初の報道をXで見つけた時には「さすがに報告はしていたのだろう」が「バイデン氏が無視したのだろう」と考えたのだが、どうやら報告そのものを行っていなかったようだ。NHKによると最初に伝えたのはポリティコなのだそうだ。NHKは「ホワイトハウスに衝撃」と書いている。アメリカでもさすがに当たり前のことではなかったことがわかる。
アメリカ合衆国は大統領選挙の年になり全てのスケジュールが大統領選を中心にして回り始める。言い換えるならばそのほかの問題は全て後回しになる。そしてその「全ての問題」の中には同盟国との関係維持や安全保障問題が含まれる。
アメリカ合衆国はイスラエル、ウクライナなどの安全保障上の懸念を抱えている。また紅海ではイスラエル関連の船が襲われており「繁栄の守護者作戦」が展開されている。
イスラエル問題はイスラエル・アメリカ対イスラムという図式が作られつつある。例えばイラクでの駐留が打ち切りになる。アメリカとイスラムの対立が先鋭化する中でアメリカ合衆国がイラクのテロリスト掃討作戦を勝手に実施したことにイラクが怒っている。バイデン大統領はテロリスト掃討を許可したのだろうがイラクとの関係をどの程度考慮していたのかはよくわかっていない。とにかくイラクのスダニ首相はものすごく怒っている。
国際情勢が緊迫しており国防長官の存在は極めて重要なはずだが、国防長官は入院を上司に知らせず大統領も認識していなかった。
アメリカのテレビ局であるABCがやや詳しい報道を出している。オースティン国防長官は「全ての責任は自分にある」と言っている。また執務は再開したが土曜日時点ではまだ入院中のようだ。さらに共和党議員は「安全保障上の懸念」を指摘している。安全保障と国境対策が懸念される中、バイデン大統領を攻撃する材料がまた一つ増えたことになる。これは「もしトラ」懸念の増大につながる。
現職閣僚が数日不在でも意外とバレないものなのだなと感じる。普通の勤め人であれば「病欠」を届け出るのは当たり前だがオースティン国防長官と国防総省はこれを怠っていた。台湾(中華民国)の総統選が予定されており日本にとってもアメリカの混乱は決して他人事ではない。