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今度はドリルかハンマーか 池田佳隆議員逮捕の理由は記録媒体破壊

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大方の予想を裏切り「政治と金」の問題で池田佳隆衆議院議員が逮捕された。官邸側は「逮捕までは行かないだろう」と考えていたようで今回の件でかなり慌てたようだ。池田氏を即刻除名処分にした。岸田総理は遺憾の意を表明したが除名で自民党側の責任を果たしたと考えており議員辞職勧告などは行わない方針と伝わる。

自民党にとっては想定外となる異例の逮捕だったようだが逮捕理由もわかってきた。議員と会計責任者を共謀を証明する証拠がありなおかつ関係先で記録媒体を破壊したこともわかっているのだという。池田氏側がは小渕優子議員の会計関係者がハードディスクをドリルで破壊したのと同じようなことをやっていたことになる。

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池田佳隆議員は三興コロイド化学の経営者の家に生まれ20代で経営を引き継いだ。その後日本青年会議所の会頭を経験していて企業に幅広いコネとツテがあったあったと考えられている。パーティー券の売り上げが突出して多かったため、当初から週刊文春などが池田氏に注目していた。

今回の逮捕理由は金額ではなく捜査への協力姿勢の欠落だった。

同じく不記載で逮捕されている薗浦元衆院議員のケースでは議員が捜査に協力姿勢を示したことで逮捕はされず略式起訴ですんでいる。この場合の公民権停止は5年ではなく3年程度に減刑されておりこれが「前例」となっていた。

今回のケースで多くの議員が「捜査に協力します」と申し出ているのはそのためだ。やはり逮捕されて収監されることだけは避けたいと考える人が多いのだろう。薗浦元衆院議員は略式起訴されたが正式な裁判を求めなかったため罰金刑で確定している。

池田佳隆衆議院議員は事件発覚後姿を見せなくなり地元有権者や支援者にもなんら説明はしていなかった。検察の情報によるとすでに会計責任者と議員の間に共謀があったことを示す証拠がある。さらに関係先で媒体破壊が行われていた。これでは罪の認識がありそれを隠そうとしたという証拠になってしまう。

記録媒体破壊というと「ドリル優子」事件が思い浮かぶが今回は媒体が何でどうやって破壊されたかは伝わっていない。NHKの表現は次のとおり。UBSメモリなら足で踏み潰すこともできるがハードディスクであればなんらかの器具が必要になりそうだ。

特捜部は先月、池田議員の事務所など複数の関係先を捜索し、捜査を進めていましたが、捜索の前に、関係先にあったデータを保存する記録媒体が壊されていたことが関係者への取材で新たにわかりました。

小渕優子氏ケースでは、政治団体に不明朗な資金処理があったとして家宅捜索が入ったが、すでに関係者がハードディスクを電気ドリルで破壊したあとだった。この事件では会計責任者が在宅起訴されたが小渕氏本人は嫌疑不十分で起訴ができなかった。ただ、この後小渕優子氏には「ドリル優子」というあだ名がつけられている。罪には問われなかったが政治家としては大きな傷になった。

政界に「裏金」が蔓延する背景には証拠さえ隠滅してしまえば議員本人は起訴されないという成功体験もあったのだろうが、今回は秘書と議員本人の共謀が疑われており、おそらく検察は物証を持っているものと考えられる。

今回の件で最も慌てているのは自民党と官邸の側だったようだ。薗浦元衆院議員のケースから「捜査に協力すれば罪が軽くなり逮捕まではされない」ことがわかっている。にも関わらず捜査から逃げ回り挙げ句の果てに「具体的な罪証隠滅」まで露見してしまった。時事通信は「初の逮捕者、自民に衝撃 震災さなか、首相対応に追われる―派閥裏金事件」と書いている。

自民党は慌てて池田氏を除名にしたことで、今後「どこまでの範囲の人を除名にするか」という難題を抱えることになった。例えば逮捕されず立件になった人は除名するのか、あるいは立件に至らない「軽微な(具体的には1000万円を下回る)裏金」は見逃すのかということだ。二階元幹事長も捜査対象者になっていることから「岸田総理が二階元幹事長を除名にできるのか?」ということにもなる。

田崎史郎氏が「議員の逮捕はないだろう」と考えていたように、自民党・官邸にはある種の楽観論があったことは間違いがないが「証拠隠滅」という不測の事態に見舞われまた一つ面倒な問題を抱えることになった。

池田氏は地元の支援者に全く説明をしておらず支援者たちは口々に「裏切られた」「がっかりだ」と言っているようだ。

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