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イソンギュン氏は「麻薬をもられて脅された」と主張 韓国芸能界薬物汚染報道は与野党の批判合戦に発展

韓国の芸能界に麻薬疑惑が広がっている。芸能人やセレブの間で密かに流通した結果、激しい報道が繰り広げられている。ついには「知らないうちに麻薬をもられて脅された」とする人まで現れた。麻薬の価格も下落し法務大臣は「麻薬の値段はピザ一枚」と言っている。政治が制御できない社会問題が起きると与野党間で激しいの罵り合いが起きることはよくある。韓国も例外ではないようで「前政権のせいだ」いや「スピンだ」という不毛な議論が続いている。いずれにせよ韓国では社会に薬物汚染が広がっているが政府は対策を講じることができていない。

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過剰な競争社会が薬物蔓延の背景にあると主張する日本のメディアもある。だが韓国で薬物汚染が蔓延する原因はよくわかっていない。現地報道では麻薬と言われているが日本では覚醒剤に分類されるものも全て麻薬と表現されているようである。

韓国政府は対策に躍起だが、なぜか与野党の批判合戦に発展している。与党(国民の力)は前政権の失策であると批判。逆に野党(共に民主党)からは「このタイミングは偶然なのか」という反論する。つまり「政府の失策を隠すためのスピンではないか」というわけだ。

韓国においてこのニュースが大きく取り上げられるようになったきっかけはパラサイトにも出演しているイ・ソンギュン(李善均)氏の疑惑報道だった。もともと遊興施設の女性室長がイ・ソンギュンを脅していたと言う内容だったのだが、調べているううちに「どうやらイ・ソンギュンも麻薬を使っていたらしい」と言う話になった。イ・ソンギュン氏は穏やかな低音ボイスと家族想いの発言で知られているだけにそのギャップは大きかった。撮影中止や広告の取り下げなどの騒ぎに発展している。

ただこの話はどこかおかしなところがある。もともとイ・ソンギュン氏は「脅迫されていた」として相談をしており、実際に遊興施設の20代の女性室長も逮捕されている。隠すつもりならば自ら相談などしないだろう。

TBSは次のように伝えている。

「イ氏の友人によると、イ氏は『江南にあるクラブで、誰かが酒に薬を入れた。それを知らずに飲んだ。その後、クラブの女性から脅迫された』などと話していたということです」

日本でも逮捕の後に報道が解禁され大きな騒ぎになったりするが、韓国の場合は捜査対象になった時点で「ほぼ有罪」の烙印が押される。簡易検査では陰性判が出ており今後精密な鑑定が行われるという。本人はまだ何も話していないようだ。

この「薬をもられた」という話はまんざら嘘でもないかもしれない。4月に塾で麻薬が蔓延しているとして話題になった。この時に受験生に麻薬入りの飲料を飲ませた上でバラされたくなければお金を払え」と脅す脅迫事件が起きている。

成分はヒロポンだったため日本では「覚醒剤入り」と伝えられているが、韓国では覚醒剤も麻薬と表現されるようだ。4月にこのニュースを伝えたFNNは「学歴至上主義のプレッシャーが背景」と分析している。

日本でこのニュースが大きく取り上げられるようになったきっかけは、BIGBANで有名なG-DRAGONが対象になったからである。TBSのニュースもイントロ部分でG-DRAGONのエピソードを使っている。本人は容疑を否定しているそうだがファンの中には「どこか様子がおかしかった」と指摘する人たちもいるそうだ。

今回の事件で薬物を提供した人は現役の医師であると言うことがわかっている。人目につかない会員制のルーム・サロンで広がっていたようだが「金銭を受け取らずに薬物を提供していたようだ」と言う情報もある。

仮にイ・ソンギュン氏が麻薬をもられていたとしてもイメージダウンは避けられそうにない。麻薬疑惑もさることながら「庶民が出入りできないVIPルームでの派手な遊び」もイ・ソンギュン氏のイメージに取り返しのつかないダメージを与えるだろう。飾らない庶民的なイメージで知られていたため報道と現実のギャップが大きかった。

解決策が見つからない問題が起きると政治家同士の罵り合いに発展することがある。韓国も例外ではなく与野党間で激しくかつ不毛なやりとりがある。現在の韓国の与党は保守(国民の力)であり野党が革新(共に民主党)である。

まず与党側が「麻薬犯罪が増えたのは前政権のせいである」と指摘した。報復を恐れた文在寅政権は検察の力を弱めようとしていた。大検察庁強力部の整理統合が犯罪増加につながったのではないかと与党側は主張している。

反論する野党側は「与党こそ何かを隠すためにこうした報道を利用しているのではないかと言っている。よく日本でも聞かれる「スピン」疑惑である。さらにアメリカでも薬物犯罪が蔓延しているがこれも検察のせいなのか?と反論する。

与野党の不毛な言い争いをよそに韓国ではかなり安価に麻薬が手に入るようになっているそうだ。韓東勳法務大臣の「麻薬の価格がピザ一枚」という言葉はさまざまな記事で盛んに引用されている。食品医薬品安全処は下水の調査を行なっているが下水処理場でメタンフェタミン、アンフェタミン、エクスタシー、コカイン、LSDなどが検出されているそうである。

フジテレビが指摘する過剰な競争社会のせいなのか、あるいはアメリカの薬物蔓延文化が韓国に輸入されたのか、前政権の検察改革の負の遺産なのかなどわからないことは多いが、とにかく密かに麻薬が広がり始めているようである。

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