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韓国野党李在明「共に民主党」代表に二度目の逮捕状 李在明氏はハンストで逃げ切りを図る

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日本と韓国は文化的に共通要素が多いのだが決定的な違いもある。その違いの一つが感情の表し方だ。有事の際に日本人は表情を押し殺し下を向いてほとぼりが冷めるのを待つ。だが韓国人はむしろ感情をむき出しにしてジタバタと大騒ぎをしてみせるのだ。李在明「共に民主党」代表に逮捕状が請求された。北朝鮮に対する不正送金の疑いなどが保たれている。李在明氏の逮捕状に対する対抗策はハンストだった。日本人の感覚から見ると「なぜそうなるのか」とは思うのだが、望み通りに意識が混濁し病院に運ばれた。こうなるともう裁判どころではない。韓国政界はいまこの話題で持ちきりになっているようだ。

日本ではまず見られない韓流ドラマ型の政治劇場の流れを観察したい。

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「共に民主党」は文在寅大統領の時の与党だった。韓国政治は保守と革新に分かれており共に民主党は革新系にあたる。保守は米韓同盟支持で北朝鮮に対峙すべきという主張だが、革新系は北朝鮮と融和しゆくゆくは南北統一を図りたいという立場である。

与党系の大統領候補だった李在明氏にはかねてよりいくつかの疑惑があった。城南市長時代の土地開発疑惑などが囁かれている。

一連の疑惑の中に北朝鮮への送金疑惑がある。革新系(北朝鮮との融和を目指す)の大統領候補なので、北朝鮮に招いてもらい太いパイプを誇示しようとしたのではないかなどと指摘する記事がいくつか見つかった。政治的ポジションを示すだけでなく一種の北朝鮮利権のようなものがあることが窺える。お使いに出された疑いが持たれているのは大手下着メーカーサンバンウルの社長である。安い工賃で工場を作ることができれば利益になる。サンバンウルがなぜ北朝鮮に接近したのかはよくわかっていない。また「スマートファーム事業」という農業支援分野で公的資金を引き出し仲立ちになれればそこからも利益を得ることができる人はいるだろう。

元々大統領候補だった時から疑惑はあった。だが、ついに隠しきれなくなり春先に逮捕状が出ていた。ただ国会議員には不逮捕特権があるためこの時には執行されなかった。ただしあと一票同意が多ければ可決され逮捕されていたという僅差だったそうだ。

ただ「逮捕できない」だけで疑惑が払拭されたわけではない。裁判は行われ初公判が開かれる予定になっていた。

そこで李在明代表が思いついたのがハンストだったようだ。自分は国民のために大統領と戦っているのだ、命をかけているのだという主張のもと「ひとり国民抗争」を始めた。そしてハンストで調子が悪いからという理由で公判が延期された。

ここからの流れが非常に興味深い。

明らかに誤魔化そうとしているのだから身内から「もうやめなさいよ」という声が出てもおかしくない。実際に共に民主党の国会議員たちは止めに入る。だが「さすがにそのままではやめてくれないだろうからなんらかのきっかけが必要だ」と発想したようだ。そこで、首相に対する解任動議を出すことにした。完全な八つ当たりである。解任建議は実際に提出されており今後国会で審査されることになる。

17日、ハンガーストライキ18日目に突入した野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表に、医療スタッフが「ただちにハンストを中断」するよう勧告したが、イ代表はこれを拒否した。共に民主党は日曜日のこの日、予定になかった最高委員会議を2回開き、イ代表を説得する方法を議論した。共に民主党は、ハン・ドクス首相の解任建議案などの超強硬カードを持ちだし突破口を探っているが、大統領室と与党「国民の力」は、共に民主党の要求を受け入れたり対話で問題を解決する考えはなく、当面は「極限対立」の政局が続くものとみられる。

さて、周りを巻き込み大騒ぎを起こしている李在明氏だが無事に当初の目的を達成した。意識が混濁し救急隊が踏み込んできたがこれを拒否する。だがそのまま意識が混濁し病院に運ばれたようだ。

検察は二回目の逮捕状を請求し国会で審議が行われる。審議が通り大統領が許可すれば逮捕になる。ところが国会では「ここまでよく頑張った」「健康が損なわれているのに逮捕するのはかわいそうだ」という同情論が出ているそうだ。

一方、李氏は尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権に対する抗議のハンガーストライキを19日間行っていたが、この日、健康状態悪化のため病院に搬送された。このため党内の意見が変わって反対票が増えるとの見方もある。

最大野党代表の逮捕同意案 21日にも国会で採決か=韓国(聯合ニュース)

元々は不正蓄財と不正送金なのだから粛々と逮捕して取り調べれば良いように思うのだが、そうはなっていない。こうなると一般の韓国人がこれをどう思っているのかが気になるところだ。調べてみたところ「陣営ごとにこの逮捕が不当なのかそうでないのか」に対する意見は大きく分かれるようで、韓国の政治が陣営ごとに分断されていることがわかる。

[여론조사꽃 CATI] “이재명 구속영장” 부당 47.3%, 부당안해 41.3%… 20~30대 “부당안해”, 40~50대 “부당” 우세

結局、李在明氏の逮捕と韓悳洙(ハン・ドクス)首相の解任が国会で決議されるかということになった。

国民を巻き込んだ壮大な政治茶番にしか見えないのだが、国民の政治期待が冷め切った日本の政局ばかりを見ているとどこか羨ましさも感じる。すぐにも韓流ドラマになりそうな感情的には山あり谷ありの展開だからだ。

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