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丸山和也議員とアメリカが怖い人たち

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丸山和也参議院議員が参議院の憲法審査会で一席ぶったらしい。全文がここから読める。要旨は簡単だ。日本がアメリカの一部になれば、現在の憲法議論の矛盾が一切なくなるというのである。日本は軍事的にはアメリカと実質的な自由連合関係にあるので、この説はあながち全く間違っていない。日本は独立して主権を持っているという建前があるために話がややこしくなっているのである。
もちろん問題はある。一国の議会で「日本は独立しないほうが良かったのではないか」という議論がまじめになされるのは問題だ。しかも憲法審査という日本の国柄を議論するべき場所で独立への疑念が表立って語られるというのは大問題である。
丸山議員は国会議員が国を監視できてないことを認めてしまっている。アメリカの監督さえあれば財政規律は守られていただろうと主張していいるのだから「議会(参議院だけでなく)は機能してない」「日本人には国を経営する能力はない」と言っているに等しい。議員は国民の代表なので、日本人には独立国を経営する能力などないと言っているのと同じことなのだ。
この酔っ払いのおじさんのような人がどうして議員になれたのかという点に議論はあるものの、大きな驚きはない。政治家ってこの程度なんだろうなあというくらいのものだ。首相ですら民主主義のプロセスとそれを担保する言論の自由についてよく知らないのだ。一介の議員さんに「国の独立」に関する見識がなくても当たり前なのだ。
もっとも、参議院議員の中には「どのようにしたら参議院に独自性が出せるのか」をまじめに議論している人たちもいたようなので、気の毒だなあという気はする。
この話で一番問題だと思ったのはその後の周囲の反応だ。オバマ大統領を奴隷呼ばわりしたことで周囲がざわついた。マスコミは憲法審査会の議論には見向きもしなかったのに、予算委員会で取り上げられてようやくニュースになった。日本人は国の形についてはたいした関心がなく、予算だけが重要なのだ。しかもその中身も「オバマ大統領を奴隷呼ばわりして怒られないのか」という従属国根性丸出しの主張だった。
オバマ大統領はさんざんいろいろなことを言われている。黒人だから嫌いだという白人層は多いし、ミドルネームがフセインだということで「イスラム教徒だ」と誤認されることも多い。面と向かって奴隷だと言われれば反論しただろうが、多分このような主張には慣れっこになっているだろう。ちなみにオバマ大統領の父親はケニア人なので奴隷の子孫ではない。
安倍首相は勇ましく「日本に自主憲法を取り戻す」といっているのだが、そんなのは空論に過ぎない。議員もマスコミも国民も「アメリカを怒らせると何をされるかわからない」と怯えているのだ。そのような空気の中で行われている議論を素直に聞いているうちに「じゃあ、なぜ日本はアメリカの一部にならないのか」などと考える議員が出てくるのである。
「別に独立してなくてもいいや」という程度の認識の人たちが国会議員をやっているということが周知できただけでも、丸山和也議員の功績は大きいのではないだろうか。
最近の日本では「保守」と呼ばれる人たちがおおいばりしているが、彼らの認識や愛国心はこの程度のものなのだろう。

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