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これまでの死者は55人 ハワイの山火事はなぜこれほどまでに広がったのか?

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ハワイで大規模な山火事が起きこれまでに55名の死者が確認されている。ハワイ州では最悪の災害であり全米でも史上二番目の犠牲者の数だそうだ。原因はハリケーンの強風だとされている。だが、このほかに耕作放棄地に広がるギニアグラスという外来種が被害を拡大させたという話も出ている。被害は中部と西部に広がっているが特に旧都ラハイナでは街が壊滅的な被害を受けた。死者は全てラハイナから出ており、復旧には数年かかるであろうと言われている。ハワイ州と連邦は緊急事態を宣言した。またハワイ州は観光など「不要不急」のハワイ来訪を控えるようにと呼びかけている。シンボルツリーである樹齢150年のガジュマルの木の生存が懸念されている。人々は復興のシンボルとなるように生き残ってほしいと願っている。

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ハワイは日本人にも馴染みの深い観光地なので日本のメディアもこぞってこの問題を取り上げている。特に全米第二位(第一位の火災は2018年のカリフォルニア州で起きた85人)の大規模火災であり、旧都ラハイナの風光明媚な建築物などが焼けた点などは大きく報道された。

今回の火災の原因は乾燥と強風だ。マウイ島はこのところ極端に乾燥していた。今年は特に夏の降水量が平年値を下回っていたという。遠く南海上をハリケーン「ドーラ」が通過したことで強風となり山を吹きおろす風によって被害が拡大したようだ。

カナダのCBCとロイターは別の要因も挙げている。それが「ギニアグラス」という聞きなれない外来種の草である。ハワイでは山火事が徐々に増えていた。さらに森林伐採、耕作放棄地、外来種の草が入ることにより火災が起きやすい環境が作られていたのだろうと指摘している。

ギニアグラスの草丈は最大3メートル程度になる。雨季に盛んに成長するが乾燥すると火がつきやすくなる。つまり、極端な雨季に急速に成長し極端な乾燥で発火源になるというのだ。

ロイターによると乾燥と強風に警報は水曜日遅くに解除されていた。ロイターもギニグラスが被害を広げたようだと言っている。

ハワイでは山火事を引き起こし生態系を破壊する厄介な外来種とされておりハワイ大学ではギニアグラスと山火事の関係について研究を行っていたようだ。

Invasive grasses, wildfire, and native forest restoration in Hawaii

山火事の被害はマウイ島の中央部と西部に広がっている。西部はラハイナと呼ばれる歴史地区になっている。ハワイ王国の首都があった場所なのだそうだ。火災が広がり逃げ場を失った人が海に飛び込んだという情報もある。死者は今のところ全てこの地区から出ているようだ。

シルビア・ルーク副知事は8日に緊急事態宣言を出し州兵を招集した。バイデン大統領は10日に大規模災害宣言を出し「必要な支援は全て行う」と約束している。

被害の状況はまだよくわかっていない。ハワイ王国の首都で今では観光資源になっているラハイナが焼けた航空写真などが出回っており被害の回復には何年もかかると見られている。

この火災の影響で10000人以上がハワイを後にした。被災者のための住居などが不足しているため、観光客に「ハワイに来ないように」呼びかけている。しばらくは観光産業にも大きな影響が出そうだ。

CNNの最新の情報によると、州政府はまもなくラハイナへの帰還を許可するようだ。グリーン知事は「これまで人生で見たことがないような荒廃を目にするだろう」として帰還民に覚悟を呼びかけている。逃げ出した人たちが「戦場のようだった」と証言していることから決して大袈裟な表現ではないのだろう。

ラハイナの人々は樹齢が150年近くになるガジュマルの木についても気にかけている。焼け落ちることはなくそのままで立っているそうだ。少しでも株が生きているなら復興のシンボルとなるのかもしれない。1873年にインドから輸入され港と裁判所の側に植えられたそうだ。

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